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10/12 3:07

今回のコメント


お話をずっと書き続けていると、思っていなかったエピソード郡が一気に繋がることがある。

それが物語の大事な部分を解決するアイデアだったりする。

つまりはそういうことですよ。


今日、なぜかふとした思い付きから、一気に繋がったんです。

それこそ「トロフィー」を終わらせるアイデアがね。


っていうか、逆に今まで考えてなかったし、思いついてもいなかった。

終わりどうしよっかなぁ~って、思いながら書いてました。


今回はそういう書き方をしているので。

ただ、これは現時点でのアイデアってだけで、書いている間にもっといいアイデアが浮かぶ場合がある。


ただ、物語が繋がった瞬間の快感は執筆する上でのご褒美となるなぁ。



***********************************



「楽しみしておけ。正々堂々、公約勝負だ」


 滝川先輩の言葉に御堂真理は羽扇子を仰ぐのを止めた。鋭い視線が僕達を貫く。やはり日記部長、威圧感が半端ない。


「まさか、公約が新制服に反対なんて言わないわよね」


 見抜かれてた。あっさりと。滝川先輩は言葉に詰まってしまい反撃できない。さらに御堂真理は一瞬目を瞑ったあと、大きく瞳を開いて、声を上げた。


「私達の公約に異を唱えるだけなんて、フリーライダーもいいところだわ!」

「くっ……」


 滝川先輩は歯を食いしばり、御堂真理を睨み返すしか出来なかった。

 確かに反対の公約を掲げるだけっていうのは浅はかだった。日記部部長ににまでなる人物が、自分達の考えに反対する勢力がでてくるなんて考えないはずがない。


 御堂真理は滝川先輩から目を伏せた。


「図星なの? 公約のタダ乗り。楽でいいわね。正直、失望したわ」


 滝川先輩の拳が硬く握られる。負けん気は強いが、今の状態ではないも言い返せないはず。しかし、先輩は歯を食いしばりながら、搾り出すように応戦した。


「馬鹿野郎、こっちだってな。ちゃんと腹案はあるんだよ」


 思わず僕は滝川先輩を覗き込んだ。なんだちゃんと二段構えだったのか。安心した。

 先輩の言葉に御堂真理は再び滝川先輩を見つめる。瞳を細め、笑っているようにも見えた。

「へぇ……じゃあ見せてもらおうじゃない」


 完全に上から目線だ。さぁ、滝川先輩、御堂真理をぎゃふんと言わせてやってください!

 滝川先輩は前を向いたまま、口を開いた。


「おい、草弥」

「はい?」

「演説しろ」


 ぎゃふん!

 なにいってるんですか、先輩?

 先輩は口を歪ませながら、僕を見ずに話を続けた。


「我々の方針を御堂真理に知らしめるのだ」

「いやっ、無茶言わないでくださいよ!」

「いいから早く!」


 滝川先輩に背中を押され、僕は無理やり先頭に立たされた。目の前には睨みつける御堂真理。周りには興味津々で状況を見守る生徒達。絶体絶命とはこのことだ。


 初めての演説。話す内容はすでにバレて、話した時点で負けとなる。


 僕の頭の中は真っ白でなにも考えられない。口の中はからからで、唇は震えている。肩にかかるたすきに違和感だけを感じている。なんとか声だけでも出さないと。


「はう……はう……」


 駄目だ。まったく声が出ない。緊張、緊張、緊張。僕は今までの人生で華やかな場面なんて一切ない。ましてや自分からみんなの前に出て、話をするなんてなかったんだ。できるわけないだろ。


 歪む視界から無数の人間が見えた。皆、僕を見ている。こ、怖い……足が自制できないぐらい震えてきた。僕は目を瞑って、震えを止めようとした。


「あら? 肝心の立候補者からは何も出てこないようね。貴方達ポリシーも無いのに選挙を戦おうっていうの? とんだクズね」


 今は何も言えずにじっと耐えるだけだった。やがて、肩まで震えてきた。もう誰の目にも僕は怯えて話すこともできない臆病な人間にしか映ってない。最悪だ。最あ――


「大丈夫」


 誰かが僕の肩にふれる。『誰かが』だって? 違うだろ、分かってるはずだ。僕に対して「大丈夫」と声をかけてピンチを救ってくれる人物なんて一人しかいない。


 長くて艶のある黒髪が僕の視界の端から見えてくる。長い睫毛、大きな瞳、整った鼻筋にやや厚い唇。


「推薦人である私が話していい?」


 もう一人の日記部部長、高月亜也、その人だ。





今日はこれまで!

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