10/10 3:27
今回のコメント
現在、『トロフィー』の文章量は210KB(1KB=500文字)を超えてしまっています。
原稿用紙で言えば、270枚オーバーなのです。
文章量的には投稿するのに問題ない。
だけどお話的には問題あり。(全然終わっていない)
納得行くまで今回は書こうと思っているので、そろそろ投稿する賞をもう一回定めようと思う。
ちょっと投稿小説というよりWEB連載小説っぽくなっているのが気になるけど、それは後からいくらでも修正できるからね。
なので、これからもよろしくお願いします!
(変なまとめ方)
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お昼休み。僕は日記部の部室へ向かった。
「遅くなりました、授業がちょっと押しちゃって」
扉を開け、目に飛び込んだのは、座りながら机にうつ伏せになった二人の先輩の姿だった。
「遅いっ、購買での昼食争奪戦に出遅れたじゃないか!」
「えーっ、弁当とかないんですか?」
「お前、私達と一緒に登校してきたくせに、良くそのセリフを言えるな」
てっきり滝川家の人が用意した弁当があるのかと思ってた。滝川先輩はどこまでも僕達でやることにこだわっているらしい。合宿の目的が共同作業なんだから当たり前か。
「よし、出陣だ!」
滝川先輩の掛け声と共に購買部へ向かう。僕達が到着する頃には購買部ではすでに人だかりができていた。もちろん僕が先輩達の注文を聞いて人垣へ突入するのかと思いきや、全員で手分けして当たることになった。僕が不思議に思っていると、滝川先輩が当たり前と言わんばかりに答えた。
「みんなでやることに意味があるんだ」
「滝川先輩……後輩をこき使うだけじゃないんですね!」
後頭部を軽く叩かれる衝撃をうけて僕はこけそうになった。
と言うことで、僕達は昼食争奪戦に参加することになった。おにぎりで言えば鮭マヨ、パンで言えばカツサンドが人気商品である。僕は拳に力を入れ、人だかりに飛び込んだ。なるべく先輩達の負担を軽くするんだ、と意気込んだつもりだった。
しかし、数秒後人の流れが急に激しくなり、僕は横に押し出される。再び飛び込むべく振り返ると、あれだけ多かった人だかりが二つに分かれていた。僕が後ろから様子をうかがうと、原因は一目で分かった。
「あわわわ……殲滅の日記姫」
男子生徒の声が聞こえたところで納得。高月先輩を男子生徒が必要以上に恐れ、モーゼのように割れた人だかりの間を先輩は歩いていたのだ。難なく購買でパンとおにぎりを買った。滝川先輩はちゃっかり便乗して一緒に買っていた。
結局僕は高月先輩の波には乗れず、残り物の菓子パンしか買えなかった。
とぼとぼと部室へ戻ると二人は楽しそうに昼食を取っている。僕はなんとなく疎外感を感じた。自分の席に座るとふてくされながら、菓子パンの袋を開ける。
「なんだ、草弥。遅かったじゃないか」
「先輩達と違って僕は正々堂々立ち向かい、敗北してきた次第ですよ」
僕がぷいと横を向くと、高月先輩から何かが差し出された。横目で見るとそれは鮭マヨとカツサンドだった。
「みんなで買うって言ったのに、君は強情だね」
「先輩……」
「草弥、言っただろうが。共同作業だって」
差し出された昼食を見て、僕は胸が熱くなった。先輩達は初めから僕の分を考えて買ってくれていたんだ。それなのに僕は自分の分だけ買ってきて……最悪だ。
僕が反省して俯いたところに、高月先輩が頬杖をつきながら話しかけた。
「あっ、それアップルパイ風の菓子パンじゃない。ちょっといただけるかな?」
「どうぞ、どうぞ! こんなものしか取れませんでしたけど!」
「亜也。気を遣わなくていいぞ、こんな奴」
いいなぁ。みんなで食べるっていいなぁ。僕は合宿に感謝した。
それにしても恐るべきは購買部の人だかり。食欲に対する人の奪い合いは相当なものだ。さらには食欲をも凌駕する高月先輩の威圧感にはもっと驚いたけど。
とりあえず今日はここまで!