10/7 1:57
今回のコメント
・ちょっと前の美国日記編がシリアスすぎたので、今回の前半はコメディ要素がはいってます。
バランスを取る意味でもいいかなと。
今の日記部の三人では落ち込んだままなので。
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「どうしたの? さぁ、言いなさい」
「ふう……」
僕はとりあえず、一歩下がった。
「何も言わないのかっ!」
滝川先輩のツッコミももっともだ。でも、反論できるほど、自分に主張できる材料が無いのも事実だった。
御堂真理は口をぽかんと開けたまま数秒動かないでいた。美国進に肩を叩かれ、ようやく我に返り、羽扇子を広げた。
「まさか何も言われないとは思わなかった……意外と策士ね」
「違うと思いますよ御堂先輩」
「し、知ってるわ。美国はいちいち言わなくてよろしい!」
御堂真理は黙っていたら、勝手に色々解釈してくれそうなタイプらしい。しかし、冷静に突っ込みを入れる美国進がいるためにバランスが取れている。
「立候補者がこれなら、推薦人は高が知れてるわね。で、誰なの? 美国の推薦人である私、御堂真理が見定めてあげる」
御堂真理は再び滝川先輩を見つめる。しかし、滝川先輩は視線を避けるように道をあける。
「後ろに控えるのが、推薦人だ」
滝川先輩が体をどけると、未だに座ったまま俯いている高月先輩がいた。御堂真理は再び口元を羽扇子で隠し、見定めるように上から下へと高月先輩を見つめた。
「へえ……覇気のない子ね」
「今日は元気ないって言ってましたよ。たしかに顔色が優れないですし」
美国進が少しかがんで高月先輩の顔を覗き込もうとしたので、僕は視線の間に立って視界を塞いだ。同時に御堂真理も美国進の顔を隠すように羽扇子を被せる。
「止めなさい。紳士のたしなみとしては、みっともないわよ」
「あっ、すいません。以後気をつけます」
こんなデリカシーのない奴が美国進だというのか? 僕は高月先輩の好みが分からなくなった。ワイルドなのが好きなのかな?
それに御堂真理の言うことはちゃんと聞くんだよな。この二人の関係も不思議なものに思えた。なんて僕が考えていると、御堂真理は再び滝川先輩へと向きなおしていた。
「で? 結局アンタはなんなの?」
「私は二人の応援者だ」
「立候補者でも推薦人でもないの?」
「当事者なくて悪かったな」
滝川先輩が横を向いて、バツが悪そうに言い返す。御堂真理は「ふうん」と言いながら、優雅に羽扇子をあおぎながら一言言った。
「雑魚ね」
「ざ、雑魚……だと?」
僕からみても滝川先輩の口が歪んでいた。よくみると拳が握られ震ええている。これはいかん。僕はすかさず、御堂真理、滝川先輩の間に入った。
「滝川先輩落ち着いてください」
「どけ。亜也と自分が馬鹿にされて、黙っていられるか!」
次からでいいので僕も入れてください。とか思いながら滝川先輩の肩を必死で抑えた。
今回はこれまで。(少な目)