10/6 2:10
今回のコメント
・お風呂に入ってたよ!(ホント、要らない情報)
夜中、シャンプーをしていると背後か気になって仕方ないです。
でも、シャンプー時の背後の気配について、松本人志が言った「リンスです。リンスが順番を待ってます」を思い出すと、なんか安心できるね。
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「初めまして、俺は美国進って言います」
目を細めて、笑いかける美国通。高月先輩は俯いたまま向き合おうとしなかった。見かねた滝川先輩が声をかける。それでも高月先輩は反応しない。慌てて滝川先輩が説明した。
「彼女は高月亜也、三年生だ。」
滝川先輩と高月先輩を交互に見て、美国通はこめかみに人差し指を当てた。
「なんだかよく分かりませんが……」
美国通はしゃがみこんで、椅子に座っている高月先輩に視線を合わせた。
「元気出してくださいね」
瞬間、高月先輩の肩が揺れた。僕は考える暇もなく、足が動いていた。すかさず、高月先輩と美国通の間に割ってはいる。
「ごめん、今日はちょっと先輩、調子悪いんだ」
「え? そうなんだ。ごめんなさい」
あっさりと美国通は身を引いた。高月先輩と出会う前なのだから仕方ないと言えばそうなのだが……
「ごめん。大丈夫だから……」
僕の背中越しに声が聞こえる。横から盗み見ると呟いた口元が震えていた。僕はなんだか悔しくて奥歯をかみ締めた。
「あら? なんで部外者がいるのかしら?」
甲高い声が室内に響く。声へと顔を向けると、ウチの高校の制服を着ている女性が立っていた。美国通は再び僕と滝川先輩の間を通って女性へ近づく。
「御堂先輩、遅いですよ」
「美国が早すぎるんでしょうが、エスコートする気ゼロね」
黒髪で長髪、前髪はきちんと揃えられている。手には真っ赤な羽扇子を持っている。やや長めのスカートを小さくひるがえらせて、ツカツカと歩いてきた。
僕は以前の小テストで、一年前の高月先輩が言っていた、人物を思い出した。美国通の想い人、御堂真理だ。
御堂真理は平光先生の前まで来ると大袈裟に机を叩いた。
「どういうことですか? 平光先生、この日記部の部室に関係者以外を連れ込んで」
「真理ちゃん、紹介するね。この人たち、今回生徒会長選に立候補する人たち」
片手で器用に羽扇子を広げると口元を隠す。扇子越しに切れ長の瞳が僕達を見つめる。
「……なるほど。冴えない面子ね」
初対面でこれかよ! 御堂真理、相当の毒舌である。
今日はこれぐらいで。