10/4 2:49
今回のコメント
・ちなみに僕は小学生の頃ですが、選挙管理委員長を務めたことがありました。
候補者を一堂に集めて、選挙内容を説明したり、ポスターなんかを配りました。
あと、立会演説会の司会もやりました。(意外にそういうの好き)
ちなみに委員長になったのは、ジャンケンで負けたからです!
でも結構面白かったですね。
実はその時に好きな子が立候補していて……とか言う話は、また今度。
(と言いつつ、特にするつもりはない)
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「これってもしかして、三年前の選挙か?」
高月先輩は黙って頷いた。
滝川先輩はため息をついて、頭を抱えた。僕だけ置いてけぼりだった。ここは恥を惜しんで事実を確認するしかない。
僕は最初に高月先輩へ尋ねようと思ったけど、ポスターを見つめる表情を見て止めた。いつのまにか瞳を細め、なんとも嬉しそうな表情だったのだ。結局、滝川先輩に訊くことにした。
「三年前の選挙ってなんですか?」
僕の質問に滝川先輩は眉を八の字にして呆れた表情を向ける。
「お前は何も知らないんだな」
「入学前のことなんて知らないですよ」
「美国先輩がなんて呼ばれてたか知ってるか?」
「え? 美国進にも別名があったんですか?」
ほとほと呆れたのか、小さくため息をついて滝川先輩は答えた。
「『政界王子』と呼ばれていた。なんせ一年生で生徒会長になった男だからな。それから二期連続で生徒会長を務めた」
輪転高校の生徒会選挙は文化祭が終わった十一月に行なわれ、三学期から任期開始となる。一年の終わりから三年の二学期まで、美国進は学校生活を生徒会長で過ごしたことになる。
「ちなみに制服を変更させたのも美国先輩だ」
あの面倒くさい制服の変更が美国進の策略だったとは。なにからなにまで、僕の邪魔ばかりするんだな、コイツは!
「五十年ほど変わっていなかった制服を生徒会の活動で変えたんだぞ。学校経営陣まで説得するのに二年かかったらしい」
なんだ、その完璧超人ぶりは。僕は溜まらなく、いちゃもんを付けたくなった。
「そんなのでよく日記部の部長が務まりましたね」
「私が知る限り、部活は欠かしてなかった気がする」
「ぐぬぬ……」
丁度今の僕と美国進が生徒会長になった時期が同じだった。それだけに比べられると正直僕にはまったく分がない。確かにそんな人物なら高月先輩が好きになっても仕方ない。
「どうした草弥、俯いて」
「放っておいてください。世の中の不公平を呪っているんです」
すると僕の頭に滝川先輩の手が置かれる。
「大丈夫だよ。お前はお前だ。自信を持て」
余計に悲しくなるんですけど。言葉に実が伴っていないからだ。本当の慰めなんですね。
僕が余計に落ち込んだところで、背後から声が聞こえた。
「あ~、見つけた~! 三人さん、ご案内~」
振り向くと、そこには黒を基調とした着物を着ている平光先生の姿があった。
今日はこれまで。