10/2 6:51
今回のコメント
・空が、空が明るいよおぉぉぉっ!!
でも曇ってる。
僕も結構話しているとき「すいません」をつけるタイプです。
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すると先輩はページをめくる手を一瞬止めた。用件を言えという意味か。僕はすかさず、言葉をはさんだ。
「今日、部活終わっ――」
「ごめん。勉強していきたいから」
もはや最後まで言わせてもらえない。僕がしつこく誘っているからという理由もあるだろう。だけど、断るようになった理由も言わずに、冷たくなったのはずるい気がする。本人なりの理由があるのだろうけど、せめて教えて欲しい。
と、思った矢先、先輩が日記帳に視線を落としたまま、独り言のように言った。
「ごめん。誘ってくれるのは嬉しいけど、多分これからも一緒に帰ることはないと思う」
「……どうしてですか?」
「日記帳の勉強をしたいから……ごめん」
「だったら、僕も付き合いますよ」
「ごめん。一人で勉強したいの」
最近特にわざとかと思うぐらい先輩は言葉に「ごめん」をつける。でも、やたら付けるので、もはや謝罪としての機能はしておらず、話題を終わらせるための常套句になっていた。
当然今回も取り付く隙もなく、僕はただうな垂れるしかなかった。
下を向きながら、何度も僕は美国日記の世界で、高月先輩に失礼なことをしていないか反芻した。だけどちっとも心当たりがない。再びため息が出そうになったので、先輩と反対側、つまり扉側を向いた。そこで僕は背筋が凍るような感覚に襲われた。
扉が半開きなっていて、隙間から女性の目がこっちをジッと見つめていたからだ。一瞬、席からずり落ちそうになったが、咳払いをしながら体勢を整え、あらためて扉を見返した。するとそこには見覚えのある顔が覗きこんでいた。滝川先輩だった。
「あれ? 滝が――」
僕が話しかけようとすると、先輩は口元に人差し指をあて、静かにしろとジェスチャーをする。さらには手招きをして、部室に出てこいと指示をされた。嫌な予感はしたものの僕は言うとおりに部室を出ることにした。
幸い高月先輩は僕の動きに興味がないのか、日記帳を読んでいる姿勢のままだった。……気にされないのもちょっと寂しい。
もう、寝マッスル。(オヤジギャグ)