零香――アシュリードの日記 1ページ目
今回は話が短いです。
村から出て1日目、今日から日記を始めた。
ノートや鉛筆が無いから、代わりに白紙の本に羽ペンとインクで書いている。
用意してくれたパルサーシャさんに感謝。
文字は、少しずつシュラやクオに教えてもらった。
まだ読めない文字や書けない文字があるが、日常生活に困る事は無くなった。
仕事に使う専門用語はまだ解らない。そこらへんは、仕事をしながらリュナミスが教えてくれる事になった。
頑張って覚えないとね。
1日目は想像していたより楽だった。
最初は徒歩で進んでいたんだけど、何も無いところで足を挫いて、元の姿に戻ったクオに乗せてもらう事になった。
乗り心地は最高。毛はふかふかだし、尻尾が背もたれの代わりになったからとても楽だった。
足はすぐにカミィラが直してくれたんだけど……もふもふを堪能してました。
思い返すとものすごく恥ずかしい。
晩御飯は、コーエック鳥という鶏みたいな鳥の丸焼きでした。美味しかったけど、量が多かった。
まさしく男の料理でした(作ったのはカミィラと魔術師のお姉さん達だけど)
2日目、ハプニング発生。
正規の王都への道が通行止めで、別ルートを通る事になったのだが、スライムみたいなモノと遭遇した(10匹ぐらい)
大きいし、強い酸性の液体を飛ばしてきて、戦闘に参加していた人たちの内、何人かの武器が溶けていた。
見た目はただの青リンゴのゼリーなのに、結構強かった。見た目で判断できない敵だったな。
不思議に思ったのは、私の作り出した大鎌が全く溶けていない事。何度も液体を被ったはずなのに……不思議。
以外に気に入っているから、溶けても困るけど。
晩御飯は昨日の残りのコーエック鳥の丸焼きを、スクランブルエッグとレタスと一緒にパンに挟んだ物。
私が作ったんだけど、予想以上に高評価だった。ちょっと嬉しい。
また今度ご飯を作る約束をした。メニュー考えておかないと。
3日目、移動しながら日記を書いている。
実はもう今日の夕方ごろに王都に着くらしいのだ。クオの魔法で移動したおかげ。
まぁ、まさか20分で標高何千mの山を越えられるとは誰も思わなかったからね。てか、思わない。
便利そうだから覚えておいた方がいいんだろうけど……正直怖い。
失敗したら、絶対体がバラバラになる(私以外)……うん、やめておこう。
王都に近づいてきたから、クオは人間の姿になっている。ローブで体全体を隠しているから、あまり関係ないけど。
私とシュラも同じくローブを羽織っている。髪の毛が目立つからね。暑いけど、しょうがない。
この前聞いたのだが、今は日本でいう6月辺りで、地球と同じ1年12ヶ月365日だと言う。
私がこっちに来る前が6月4日だったから、あまり差がなくて安心した。
それにしても、騎士団ってイケメンが多い。今さっきから道往く女性全員が振り返ってます。
でもね、女性の方々。騙されないで。
この人達、普段の会話の内容が酷いです。下品です。頭の中身は残念な方たちがほとんどです。
残念なイケメンとはこんな人達を表してるんだろうなぁ。
そう考えると、何故かエリク様の行動が可愛く思える。抱きついたり、頭を撫でられたり、手を握られるくらいだからね~。
でも、私今は胸を包帯で潰してるから、見た目は男性なんだよね…髪型も変えてるし。
ほどほどにしておかないと、エリク様がホモかゲイという事になってしまうっ。それだけは阻止しないと……っ!
「……お前はなんて事を書いてるんだっ」
「うひゃぁっ!び、びっくりした…。覗かないでくださいよ」
「今さっきから変な顔で、何かブツブツ呟いてたんだぞ?気になるだろう、普通」
「それは確かに…でもですね、一つ言ってもよろしいですか?」
「何だ?」
「この最後の文の意味、解るんですか?」
「……何となく」
「……そうですか(絶対知ってるよこの人!)」
今回で1章終了です。次回から2章へと突入していきます。
閉話にこの様な零香の日記の話が入ります。
2章の話を更新する前に、現時点での登場人物の更新をしようと思っています。
ちょっとネタバレも入ります。
*21日に更新した話がまさかの1000アクセス越え…っ。
ありがとうございます!とても嬉しいです。
おもわずニヤニヤしていたら、兄に変な目で見られましたorz
感想やアドバイスなど、どしどしお待ちしております。