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願い事がない青年に、夢を大きく持ってと励ました件

初めてのお客様の予約時間。

私は占いの館のレンタルスペースで、到着を緊張して待っている。

奥のダンボールには、ティッシュやビラ、契約書が整理されている。


約束の時間から5分、カーテンがゆっくり開き、

青年が覗き込む。


目が合うと、少しホッとしたようだ。

私は笑顔で、テーブルを挟んだパイプ椅子に座るよう勧める。


「場所はここで合ってますよね?」

「はい」

「保険の窓口ですよね?」

「はい」

「占いとは無関係だよね?」

「はい」


「リバース・ススメール保険です。カンナベ・ナナミがご案内します」


――最近は地獄が快適になりすぎて、転生希望者が少なくなっているんです。

私たちRSHは、あの世唯一の“現世サポート企業”として、人々の願いを叶えつつ、死後3年での転生契約を結んでもらう業務を担当しています。


青年は眉を少し上げたが、すぐに肩の力を抜いた。


「地獄ですか……まあ、ちょっと変わった世界観の保険ですね」


“面白そうだから、とりあえず聞いてみよう”と割り切った様子だ。


「そうですね。信じる必要はありません。契約内容を確認するだけで大丈夫です」


私が軽く補足すると、青年は小さく頷いた。


契約説明を始める。

死後3年経過での転生、

現世で一つだけ願いを叶えられる補償、

禁止項目も丁寧に説明した。

•法律違反はNG

•他人への危害もNG

•物理法則逸脱や超能力系はNG

•時間跳躍もNG

•願いによる直接・間接被害も保証対象外


「規約違反の願いを叶えたら、現世に新たな歪みが生まれます。

結果、法律違反や人的・物的被害につながる可能性があります」


青年は首をかしげ、少し呆れたように眉を上げた。

「……なるほど、自由度はあんまりないってことですね」

「そうですね。でも、現実的に叶えられる願いなら何でも可能です」


「現実的かあ……」

青年は目を伏せ、考え込むように小さく息をついた。


私はにこやかに、でも真剣に言った。


「だったら、もう少し夢を持ってみませんか?

小さくても、大きくてもいいんです。

夢があるからこそ、転生後も前に進めるんです」


青年は契約書に手を伸ばすのをためらい、口ごもる。


「……今日はちょっと考えさせてもらいます」

「もちろんです。無理に決めなくても大丈夫ですよ」


青年は入口に向かいながら、少し微笑んだ。

「また連絡します」


カーテンの向こうへ消える背中を見送り、私は心の中で決意する。


「しっかりサポートして、契約を取るぞ」


初めての商談だったが、良く出来たと思う。


今日はコンビニスイーツを買って帰ろう。


こんにちは、ナナミです。

やっとお客様とのファーストコンタクト達成!

契約書にサインもらえる様に頑張ります!


さ〜て、次回の転職死神おねえさんは


ep7 お客様の願い「1億円欲しい」について

   考えてみた件

ep8 お客様の願い「ハーレム欲しい」について

   考えてみた件

ep9 お客様の願い「世界一の頭脳が欲しい」について

   考えてみた件


の三本でお送りします。


次回 2026年3月8日 公開をお待ちください。

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