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死ねない
人形がしゃべった。
人形が、私に向かって手を伸ばしてきた。
その瞬間、私は死んだ。
マンションの屋上から落ちていく途中、光が見えた。
それは異世界への入り口だった。
気づくと、私は森の中に立っていた。
見渡す限り、緑。木々の匂いが濃い。
腕の中の人形が、また話す。
「ここは別世界。人生をやり直そう」
私は異世界に来てしまった。
けれど、やり直したい人生なんてない。
私はただ、早く死にたかった。
異世界でも、それは変わらない。
そのとき、前方の茂みが揺れた。
現れたのは、ウサギの顔をした、ライオンのような怪物だった。
――殺してくれるのか。
そう思った瞬間、怪物が倒れた。
私が何かをする前に、人形が動いたのだ。
人形は私を庇い、怪物を殺していた。
私は理解する。
この人形は、私を生かそうとしている。
これは、
私がこの人形を殺し、
そして私自身も死ぬまでの物語だ。




