表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/57

対策と鍛錬

 俺とメルはバルドと顔を合わせた日、手配してもらった宿に入り一泊。翌日には作戦まで暇することになり、宿屋に併設する飲食店で朝食をとることに。


「さて、今日は何をしようか」

「作戦開始まで休んでいても良いのでは?」


 俺の言葉にスープを飲みながらメルが応じる。


「討伐作戦そのものは長時間に及ぶ可能性があるようですし、旅の疲れをなくしておくのが重要かと」

「……かといって、食事の後に二度寝するという気もないしなあ……ちなみにメルは?」

「部屋に戻って適度に休みつつ魔法の構築をしようかと」

「魔法?」

「討伐作戦の際、魔族が介入してこないか……それを確認するための魔法です」


 メルはそう言いつつ、食事を進める。態度からすると、既に頭の中でどういう手法にするのか決めている様子。


「時間はありませんが、今までの経験を活かして準備をしておきます」

「……今回、俺とメルは実質別行動になるな」

「はい、援護できないため無理はしないでくださいね。あるいは、バルドにしっかり援護してもらうか」

「そっちの方がいいかなあ……メルとしては援護も魔族の監視も両方やりたそうだけど、さすがに時間がないか」

「しっかりと準備ができれば可能かもしれませんが、さすがに難しいですね……」

「そこは仕方がないさ。で、メル。もし魔族が出現した場合は――」

「戦場に飛び込んでくるか否か、ですね。それによって対応も変わります」

「俺は前線に立って戦うだろうから、魔族がいるという連絡を受けても動きようがないかもしれない……誰に連絡をするかなど、きっちり決めておくべきか」

「バルドと改めて打ち合わせをしておきます」

「ああ、頼む」


 ――やがて朝食を終え、俺は宿の部屋に戻る。そしてこれから始まる作戦について思考してみる。

 魔物の発生……フリューレ王国は相当手を焼いている様子で、バルドのような人物も駆り出されるような事態。正直、これが自然発生した魔物による仕業だと、素直に頷くことはできない。


「十中八九、魔族が関わっているだろう……問題はその関わり方だが」


 ――ジェノン王国にいた魔族は、何やら魔物に関する実験をやっていた。それを踏まえると、フリューレ王国内にいる魔物についても、実験の産物である可能性がある。

 疑問は、ではなぜ実験をするのかという点についてだが……もしそうならジェノン王国にいた魔族と合わせ、魔族が大々的に何かしているということなのかもしれない。それが新たな戦争を起こすためのものか、それとも……、


「けど、やっぱり違和感が拭えないな」


 正直、魔王が命令したとは思えない……魔王を二度倒し、色々と真実を知っているからこその呟きだった。


「むしろ魔族達が魔王の命令に従わず、結託して戦争準備を始めているとかの方がしっくりくるな……」


 もしそうであれば、ジェノン王国とフリューレ王国の騒動は繋がっているかもしれない。だとすれば、この実験を指示する存在がいるはずだ。

 その場合、そうした魔族を倒すことが騒動解決の道筋となるだろう……ま、ここについては討伐作戦中、メルが魔族を観測できるかどうかで考えればいいだろう。


「他にやることは……少し、体を動かすか」


 寝ていてもいいけど、少しくらい剣は振っておくべきだろう。俺はそう思いつつ、ベッドの傍らに置いてある剣を腰に差して、部屋を出た。

 その足でまずバルドの下へ向かう……昨日彼がいた建物内にいる人に声を掛けると、あっさり同じ部屋に通してくれた。


「おう、どうした?」

「剣を振れる場所を探しているんだけど、候補はあるか?」

「鍛錬をするのか」

「体が鈍らないよう動かす程度だよ」

「それなら町外れに騎士達の鍛錬場がある。話は通しておくからそこで剣を振ればいい」

「……俺がいることで大騒ぎになったりしないか?」

「トキヤが作戦に参加することは既に伝えたが、この町の人間が勇者トキヤであるとわかる人間はごく一部だろう。まあ問題はないんじゃないか?」

「それもそうか」

「ただ別の意味で大騒ぎになるかもしれんが」


 ……どういうこと? 眉をひそめているとバルドは解説する。


「ザナオンは思った以上早くこっちに顔を出す。街道を歩んでいる気配を捉えた。昼くらいには来るだろう」

「お、そうか……鍛錬場にいたら、ザナオンが決闘でも申し込んでくるとか?」

「それならまだ可愛いものだが」


 おいおい、何かあるのか……気になってバルドを見ていると彼は、


「そこはザナオン次第だな。まあヤツが色々やる気なら、鍛錬場にいようが宿屋にいようが関係ないだろう」

「……何が起こるんだ?」


 俺の問いにバルドは笑い、


「それは来てからのお楽しみだな。俺の想像通りの展開になるかもしれんし、ならんかもしれん――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ