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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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天王と変化

「魔王調査に関してはこれでいいだろう」


 と、俺へ向け口を開いたのは竜族代表のアルベル王。


「ならば次の話だ。勇者トキヤ、貴殿は……旅を終えた時、どうする?」

「この世界に残るか否かか?」

「そうだ」


 アルベル王は俺を見据える。それはどこか期待しているような雰囲気であり――


「……真実を知る人間である以上、俺は邪魔者じゃないのか?」

「君が自発的に話すようなことはないだろう? あと、一つ勘違いしているかもしれないが」


 と、アルベル王は俺に語り出す。


「私たちは確かにこの真実を隠している……が、真実を知った存在を消そうなどとは思っていない」

「本当か?」

「昔から、大なり小なり天王と魔王が手を組んでいるのではないか……という噂は存在している。まあこれは事実だし、私達は秩序を脅かす存在に対し魔王と手を組んで動いたこともあるからな。敵側からすれば、魔王と手を組んでいなければおかしい、と考えてしかるべきなケースも存在する」

「……結構あからさまに動いたこともあるってことか」

「その通りだ。そして、私達の秩序は、事実が噂に上った程度で揺らぐようなものでもない」


 決然とした物言いだった。それは色々と手を汚していようとも、それは全て秩序を維持するため……という、確固たる意思が存在しているように見えた。


「例え貴殿が何かを語ったとしても、なびく人間はいるかもしれないが、正直大きな波を立てることは難しいだろう」

「……まあ、それはそうだな。あと、俺が話さないのは戦争の原因の一端は俺にもあるからだけど」

「貴殿が魔王を倒したが故に、復讐によって戦争が引き起こされたという話だな。それは事実であるし、魔王は確かに我らを滅ぼすために動いていた」


 天王達は頷く……と、ここで次に話し始めたのは、リチャード王。


「だが、この戦いはいずれ起こっていたことだった」

「そう、だな……」

「こちらとしても、魔王と手を結んだことで繁栄をしていたからこそ、緩みもあった。今後、未来には天王と呼ばれる存在も代替わりしていくことだろう。その中で、多種族同士、敬意を払いながらも油断なく対話をする……その必要性を、多くの犠牲によって学んだ」

「――だからこそ、この会議も変えていかなければならないの」


 と、クリス女王が語る。その言葉から俺は何が言いたいのかを理解した。


「もしかしてだが、今後天王会議の席に……この席に、俺が座ると?」

「この世界に残ると決めたのなら、そうして欲しい……そうするべきだと私達は考えている」

「それをやってあなた達のメリットは何だ? 言っておくが俺は、あなた達の考え自体は尊重するが、汚い仕事をするつもりはないぞ」

「それはわかっている。私達がすべきだと考えるのは、新たな視点……王と言えど、見えるものには限界がある。だからこそ、別の視点が必要になる」


 そう語った後、クリス女王はさらに踏み込んだ発言を行う。


「いずれ、この会議に魔王……魔族の代表者も再び来ることになるでしょう」

「それは――」

「とはいえそれは、隠れて手を組むような形ではない。公にできるレベルで……表立って手をつなぐような関係性を、作り出さなければならない」

「……今までのように秘匿されたものではなく、か。そうした席に、俺も?」

「勇者という存在をこの場に呼ぶことは、幾度となく議論されてきたの。そうした中、魔王を二度倒し、戦争を勝利に導いた存在を呼ぶのは、何より適任だと思わない?」


 ――確かに、クリス女王の言及は理解できる。

 天王達も、何かしら変わらなければと考えている。その変化を呼び込むために、俺という存在を天王会議に呼ぼうとしている――


「……未来はわからないが、現在魔族は敵対している。そこについてはどうする気だ?」

「魔族を滅ぼす気はない」


 と、次に話したのはアルベル王。


「今回の事件は、魔王という支柱を失った魔族が、滅ぼされることを危惧し動いている可能性もある。可能であれば対話をすべきだと考えているが、現状交渉する相手がいない」

「そうだな……とはいえ、だ。もし戦争を仕掛けるようなことはないような魔族が陣頭に立てば、話は変わってくるか?」

「当てがあるのか?」

「いや、特定の誰かという候補はいない。けれど、今回の魔族……その行動に疑義を抱く者もいる」


 そう言った後、俺はアルベル王を見定め、


「そういった魔族は滅んだ魔王に対し忠誠を抱いている……だからこそ、魔王の姿が見えない作戦に疑問を抱き、そうした魔族の一人が俺の仲間になっている」

「なるほど、な……さすがに真実を知れば考えも変わるだろうが、魔族と交渉の余地がある……そういった可能性があるな」

「俺は魔王について調べる……が、同時に、魔族内で話をまとめられる存在を探す、というのも必要か?」

「貴殿が話をして魔族は聞き入れてくれるのか?」

「少なくとも俺の仲間は信用してくれている。魔王復活に関する詳細がわかるまでの限定だが……調査をとっかかりに、動くというのも――」

「……現状、魔族と交渉の余地はありませんが」


 と、今度はシルビオ王が割り込んだ。


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