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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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天王の来訪

 町の中央広場はこれ以上にないほど人でごった返しており、俺は建物を背にするような形で立ち、馬車が到着するのを待つことに。


 会議場に目を移すと、入り口周辺が青色の天幕のような物で覆われている。王達が馬車から乗降するところを見られないようにする……そこが一番狙われやすい、というわけだ。

 とはいえ会議場に入った後、上階のバルコニーから姿を現すのだが……そこについてはきちんと魔法を使って安全を担保している。下では人々もいるということで警戒しているというわけだ。


 やがて、大通りから町の中央に豪勢な馬車がやってきた。同時に歓声が聞こえ、この町にやってきた人々は声を上げる。

 俺は広場の中で端の方にいたのだが……馬車の姿はきちんと捉えることができた。一台目がゆっくりと広場に進み、まず天幕の内側へと入った。


 馬車について知識がないため、どの国の王なのかは不明だが……少しすると王を下ろした馬車が広場から離れていく。それと同時に別の馬車が一台、中央広場へとやってきた。

 周囲の人々があの馬車は誰々が乗っている、みたいな話をしている。俺をそれを耳にしつつ、王が乗る馬車を眺める。


 ――改めて、天王という存在について振り返る。俺達がいる大陸の中心と言うべき四つの国。エルフ、竜族、神族と人間の王様が統治する国々であり、また同時に天王達は百年以上顔ぶれが変わっていない。

 人間という種族は元の世界と同様に百年生きることができればすごいというレベルなのだが、この世界には長寿の効果を与える秘薬や老化を止める魔法がある。それによって人間の国――フリューレ王国の王も、代替わりしていない。


 それによる政治的な弊害などがあるかもしれないが、多くの人は天王の統治を支持し、繁栄を享受してきた……けれど十年前の戦争で多くの悲劇が生まれた。魔王による大陸侵攻――天王達はそれに対し毅然と立ち向かい、戦い……やがて勝利し、復興の道へと進んでいる。

 ロードガーデンは町並みだけを言えば、復興したと言えるだろう。けれど十年という歳月では全てを元通りにすることはできない……いや、戦争の爪痕を残しながら、新たな統治を進めていくのだろう。


 考えているとさらなる馬車が姿を現す。これで三台目であり、遠くからさらなる歓声が聞こえたため、天王全てが到着したようだ。

 俺は周囲にいる人々を見回す。天王の到来に沸き立つ様子は、彼らの存在を疑っていない――今の復興は天王達の尽力である、という風に感じている人も多いかもしれない。


 それは間違いなく事実だろう……けれど、十年前における戦争の真実。それを踏まえると、話が少し違ってくる。


「……ま、公にはしないけどな」


 小さく呟く。そうこうしている内に四台目の馬車が到着し、全ての天王が会議場へと入った。それと共に人の流れが変わる。馬車の通り道だった場所にも人が足を踏み入れ、誰もが会議場の上階へと目を向けた。

 天王達が顔を出すのを待っている……俺は腕を組み、彼らと同じように会議場上階にあるバルコニーへ目を移す。


 俺は天王会議については一度しか見ていない。それは二十年前、魔王の旅路を進んでいる時のことであり、十年前の戦争ではそもそもロードガーデンが魔王に制圧されていたため、俺が戦っている間は開かれることがなかった。

 つまり、俺がこの場面を見るのは二度目なのだが……その時と、何一つ変わっていないように見える。人々が集った光景も、熱狂ぶりも。


「……つまりそれだけ、天王達の威光は発揮されているわけだ」


 十年前の戦争……それが引き起こされたことで天王への支持だって影響はあったはずだ。なぜ魔王が復活し、侵攻を許してしまったのか……戦争の途中で、こうなってしまったのは天王の怠慢ではないか、と主張する者だっていた。

 そうした人々が消えたわけではないと思うが、少なくともこの大陸においては天王という存在はなくてはならないものであるのが、目の前にいる人々の存在から理解できる。


 彼らの統治が完璧である、というのは間違いないだろう。戦争はあったが、それでも魔王の脅威から平和を長年維持し続けた功績がある。

 むしろ戦争の時、俺に向かって誰も何も言わなかったが「魔王を倒したからこうなったのだ」と俺に矛先を向けられてもおかしくなかったが……天王は俺に対してもある程度配慮したのか、この旅路で敵意を向けてくる人はほとんどいなかった。


 魔王を二度倒した勇者……それは天王達にとって、どういう風に映っているのか? 十年前の戦争の後、元の世界に帰る前に俺は天王達の考えを知ったが、それは今でも変わっていないのだろうか?

 疑問を抱く間に、会議場の上階に変化が。何者かが外に出てくる。いよいよだ、と心の中で呟くと同時、人々の歓声と共に、天王達が姿を現した。


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