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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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山中の魔物

 俺達は騎士達が進む森を迂回して奥に存在する山へと足を踏み入れた。街道から逸れた時点で魔法による移動を用いたことで、想定以上に早い時間で山へと到達することができた。

 山の麓でメルが再度索敵魔法を行使する。結果、山の中腹辺りに二体の魔物が距離を置いて存在していることがわかった。


「地形にもよるけど、向かえそうか?」

「山の険しさなどを考慮し、魔物を誘い込むことも考えて動きましょうか」

「ならそれで」


 というわけで俺達は山の中へ。軽装ではあるが、これは以前俺がヘレナの薬を作成するため山に入り込んだ状況と似ている。

 今回は魔物を倒すだけだし、全員が魔法を使えるのでまあ問題にはならないだろう……そんな風に思いつつ進んでいると、フィリスが声を上げた。


「……魔物の気配だけど」

「何かわかるのか?」

「うん、その……この距離からでも、同胞の手によって生み出された存在なのがわかる」


 その言葉に俺とメル、そしてヘレナは互いに顔を見合わせた。


「まあ、予想はできたか」

「自然発生で凶悪な個体が三体も、とは考えにくいですからね」

「ねえこれ、魔族も討伐しないといけないんじゃないの?」


 ヘレナからの問い掛けに対し俺は「どうかな」と応じる。


「そもそも近くに魔族はいるのか? メル、その辺りはどうだ?」

「確認した限りはいませんね。町中、郊外、さらに周辺も調べ、なおかつ地底や空も確認しましたが魔族の気配はありませんでした」


 そう述べた後、メルは考察を加える。


「魔物が出現したのは少し前だそうで、その時点ではフリューレ王国の魔族討伐も行われていなかったらしいので、もしかするとフリューレ王国と連動して何か動いていた可能性がありますね」

「なるほど……俺達はロードガーデンに関わる騒動も未然に防いだ可能性があるのか」

「とはいえ、魔物を残していくというのは疑問ですが……」


 そこでメルはフィリスを見る。


「魔族の気配を魔物から感じ取れるようですが、例えばどういった魔族が生み出したのか、ということはわかりますか?」

「少なくとも私が顔を合わせた同胞ではないよ。ただ、私はフリューレ王国の作戦に関わったけど、そこで顔を合わせた同胞は少ない。攻撃を仕掛けようとした魔族の中に、作成者がいるかもしれないけど……」

「だとしたら、フリューレ王国が魔族討伐を果たした時点で、魔物の強さなどについて情報があってもおかしくないが」


 と、今度は俺が口を開く。


「フリューレ王国は魔族討伐に精鋭部隊を用いたと思うが、それでもロードガーデンの騎士団が対応に苦慮するレベルだとすれば、フリューレ王国の騎士団も戦うのに大変だろうとは思う。場合によっては俺に話を向けてもおかしくないと思うが……」

「私は作成者が別にいると考察します」


 メルが俺へ向け言った。


「以前の作戦はどちらかというと質より量といった形でしたが、今回は質を重視している……方針が違いますし、魔物の作成者はフリューレ王国に潜伏していた魔族とは大きく違うのではないでしょうか」

「……今は推測しかできないが、とりあえずあらゆる可能性を考慮しつつ、動く必要がありそうだな」


 そう俺はコメントしつつも、一つ結論を出した。


「メルが魔族を観測できていない以上、フリューレ王国の攻撃が失敗に終わって一度退却したという形なのだと思う……魔物を残したのは、何かしら理由があってのこと……あるいは、質が高い故に気配がただ漏れだから、連れて行けなかったとか、色々推測はできる」

「どちらにせよ魔物を倒せばロードガーデン周辺の安全は確保されると考えて良いでしょう。天王会議の際は周辺状況を念入りにチェックするでしょうし、ここで魔物を倒せば問題は起きないかと」

「そうだな……よし、それじゃあ魔物へ挑むとしようか」

「作戦はある?」


 ヘレナの問いに俺は魔物がいる方角へ目を向ける。


「まだ距離があるな……メル、周辺に人はいるか?」

「気配を探る限りいません。凶悪な魔物がいるということで、山に入らないよう住民達に通告しているのでしょう」

「なら、もう少し近づいて魔物の出方を窺うか。この距離からでもある程度気配がわかるレベルなら、向こうも人間が近づくことで気づくはず」

「その反応で出方を変えると」

「あるいは戦いやすそうな場所を見つけたら、そこに誘い込むことも……ただ、魔物は二体いる。距離があるとしても、誘い込めばもう一体も近寄ってくるかもしれない」


 そう述べた後、俺は山を見据え、


「まずはもう少し近づこう。魔物が反応したら速やかに戦闘準備。こちらは迎え撃つだけの余裕があるはずだし、凶悪な魔物相手でも余裕はあるはずだ……ヘレナ、フィリス。より具体的な作戦は必要か?」


 両者は同時に首を左右に振った。魔物の詳細が現段階でわからない以上、臨機応変に対応する……そういう考えみたいで、俺も同意見だ。


「よし、それじゃあ魔物へ接近するぞ――」


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