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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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都市を治める者

 俺達は話し合いをした日はひとまず休むことにして、翌日から行動を開始する。相変わらず人混みが多い中、俺は一人ロードガーデンの行政を担う場所へ向かう。

 辿り着いたのは、大通りからいくらか逸れた先にある白い建物。そこにこの都市を治める人物がいる。


 唯一、問題があるとするならアポなしで「勇者トキヤです」と言って聞き入れてもらえるかどうか……まあその場合は別の手段を考えてあるし、なんとかなるだろう……そんな風に思ったが、そこまで懸念する必要はなかった。

 というのも、建物を訪れた時点であっさり入ることができた。客室に通されると、すぐさま人がやってきた。


「久しぶりだな、トキヤ殿」


 部屋に現れたのは、黒髪にひげを蓄えた御仁。彼は十年前もこのロードガーデンでトップを務めていた。名前は――


「ああ、久しぶりだなラザロ」


 俺の言葉に彼――ラザロはうんうんと頷く。


「ロードガーデンを奪還した時以来……いや、魔王討伐後に一度顔を合わせていたか」

「そうだな……あれで今生の別れになると思っていたけど、何の因果か舞い戻ってきてしまったよ」

「ならば今度こそ、この世界に留まってもらわなければ」


 冗談混じりに言うラザロ。俺はそれに肩をすくめ、


「ま、今回の旅が終わったら考えるさ」

「……ここを訪れたのは天王会議だろう? 王達に会うつもりなのか?」

「一応。もちろん、すんなり顔を合わせることはできないだろうと思っているけど」


 ――この点については嘘をついた。実を言うと会って話ができる手段はある。


 まあ公になっていないからな、そのことは……ちなみにロードガーデンの長であるラザロの耳にも入っていない。


「天王会議は例年通りであれば五日間くらいはあるだろう? その期間中に話ができないか色々頑張るさ」

「目的は、魔王に関することか?」

「ああ、魔王が復活した……ということで俺は再召喚されたわけだが、魔王を二度倒した俺からすると、なんだか魔王の動きが変だと思って調べようと」

「……そういう理由で旅をしているのなら、天王の方々も進んで話をすると思うぞ」


 そう述べた後、ラザロは腕を組んだ。


「今回、ここを訪れた理由は?」

「会議が始まるまでの期間で、人も多いしもめ事もあるだろう。ちょっと俺自身のことを売り込もうと思ってさ」

「……治安維持のために仕事をしてもらえると?」

「内容にもよるけどな……とはいえ、ラザロの仕事はいつも完璧だろう? 期待はあまりしていないんだが」

「いや、頼みたい仕事がある」


 そうラザロは持ちかけてきた……俺のことをあっさりと通したのは、仕事を任せられると思ったためか。


「内心わかっていると思うが、こうして顔を合わせたのは仕事をしてもらえないか頼もうと思ったためだ」

「……それ、もしかして内容を聞いたら後戻りできないタイプか?」

「そうだな」

「言っておくが、後ろ暗いことはしないぞ」


 と、俺はきっぱりラザロへ言う。


「汚れ仕事自体はまあ否定はしない……政治の世界は複雑怪奇だからな。けど、現在俺は仲間と共に旅をしている。変に面倒な仕事を請けてしまった場合、仲間に迷惑が掛かるかもしれない」

「そこは大丈夫だ」


 ラザロは答える。そこで俺は、


「魔族絡みか?」

「現段階では不明だが……ロードガーデンに対し敵意を持っている存在の仕業であることは間違いない」

「具体的には?」

「いいのか? 話を聞いたら……」

「まあ、ラザロが後ろ暗い話じゃないと言うのなら」


 その言葉に、ラザロは頭を下げた。


「すまないな、十年前もそうだが……恩を何一つ返せていない」

「それが勇者の役目だからな気にするな……で、詳細は?」

「ロードガーデン周辺に魔物が頻繁に出現している。それだけならこの町の騎士団で対応できるのだが……」

「どうした?」

「魔物が非常に強い……数日前、郊外にある森で発見した魔物については、討伐隊を編成し、万全の状態で対処しなければならないほどだった」

「その魔物は、一体か?」

「そうだ。他の場所……フリューレ王国では魔族により魔物が多数発生していたようだが、この場所では魔物の質が非常に高い」


 ふむ、それはずいぶんな内容だな……。


「どう考えても自然発生したとは考えにくい」

「どこかに魔物を生成する存在がいるという話だな……この話、天王達には話したのか?」

「側近を通して伝えてある。対処が終わるまで待った方がいいと進言したんだが……」

「でも、会議は期日通り行うと」

「今までも多少の問題なら開催していたからな……」


 ふむ、強い魔物か。そういうことであれば、


「俺の出番だな……わかった、その仕事を引き受けるよ」

「すまない、ありがとう……ギルドを通して勇者に依頼しようとも考えたのだが、下手に外部の人間を頼ると騎士団は何をやっているのかと文句を言われるし、騎士団内からも反発がある」

「面倒だな……今回の依頼は、ひとまず内密なものってことだな?」

「その方が助かる」

「わかった。なら……可能であれば天王会議までに解決しよう――」


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