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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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思わぬ提案

 そこからの旅路は、大きな障害などもなく少しずつ確実に進んでいった。


 ヘレナの魔力制御については確実に全力戦闘の時間は増え、フィリスについては仕事を一つ片付けるごとに威力の調整も上手くいくようになった。

 その間もメルは情報収集を進め……魔族が出現した、という話も手にしたのだが、既に討伐したとか、あるいは拠点がもぬけの殻だったとか、そういう情報ばかりだった。


 もしかするとフリューレ王国内の魔族を討伐したことで、魔王の指示として動いていた魔族達は一度退くことにしたのかもしれない。そうであればあの山中の戦いは非常に大きいものとなった。少なくともフリューレ王国とその周辺は、確実に平和に向かっている


 また旅の折、俺のことを知っている人から声を掛けられることがあった。中には再会を喜び涙ぐむ人も……そんな反応に困惑しつつ、俺は仏頂面なんかにならず愛想良く対応した。

 旅の中におけるそんな出来事によって、俺は自分が勇者なんだなと自認することもあった。メルが聞けば「何を今更」という感じだろうけど、本当にそんな感じだった。


 まあ一度目の旅も二度目の戦争も、なんというか日々を生きるのに大変だったからな……そんな風に色々考える間に目的地のロードガーデンは近づいていく。

 その道中、フリューレ王国の国境付近に存在する大きな町に入った。周辺には精霊が棲まう泉とか、あるいは花畑のように群生する綺麗なスポットとか……言ってみれば観光できる場所が多いためか、訪れる人が多い町だった。


 そんな場所を訪ねた時、ここで少し休まないかと提案があった。メルとかの発案なら「そうだな」と思ったのだが、今回は違った。

 提案したのは……最強になることしか興味のないヘレナであった。


「この町のことは、神族の間でも噂があった」


 思わぬ提案により眉をひそめた俺に、ヘレナはそう言った。


「だからまあ、話に上っていた場所だしちょっと見て回りたいなと」


 ……まだ天王会議まで日にちはあるし、ここで数日過ごしても問題はない。旅費についても仕事をしてきたから余裕もある。

 ただ、なんというか……急にそんな提案をしてくるものだから、ちょっと驚いた。


 というか――ここ最近になって、女性陣がコソコソ何かを話していることが多くなった気がする。年齢に幅はあるし、種族も違うから共通の話題とかあるのかなあ、などと思ったりしつつ聞き耳を立てるようなことはしなかったのだが……それが関係しているのだろうか?


「……まあ、いいんじゃないか」


 不思議に思ったが、拒否する理由もなかったので俺は同意する。よってこの町で少し滞在することとなった。

 で、滞在が決定したのはいいのだが……俺は町の入り口を見る。そこに看板があって『ファーミル』と書かれている。この町の名前だ。


 滞在中、俺はどうすべきか……考えていると、今度はメルが話しかけてきた。


「トキヤ、あなたはどうしますか?」

「ん? それを今考えているところだけど……とりあえず宿を取ってから色々考えるか」


 こちらの言葉にメルは「そうですね」と同意し、宿を確保。まあそれなりのグレードの店で、不満もなく過ごせるだろう。

 で、宿内に食堂が存在するためそこで食事をすることに……ちなみに今は昼過ぎ。少し遅めの昼食といった感じだ。


「ねえ、私もついてっていい?」


 食事中、ヘレナがどこへ向かうか思案していた際、フィリスが乗っかった。ふむ、二人で色々と話をする……交流することは良さそうだな。

 観光にそんなことを期待する俺自身、ずいぶんとバトル脳だなと思ったりもするのだが……こちらが沈黙しているとヘレナは「いいよ」と応じる。


「ねえトキヤ、二人で見て回ってもいい?」

「問題ないよ。二人の気配……隠蔽については旅を通してさらに改良しているし、歴戦の勇者が見てもまあ気づくことはない……自由にすればいい」

「念のため、連絡手段くらいは用意しておきましょうか」


 メルが言う。俺はそれに同意しつつ、


「ヘレナは魔族だけど、フィリスは神族だしまあ誰かが気づいたとしても、町中で謀略を繰り広げている……みたいな発想にはならないと思うけどな」


 俺はそう言いつつ、メルへ目を向ける。


「メルはどうするんだ?」

「……そうですね、数日滞在するというのなら、一日はこれからの旅に備えて物資を調達しましょうか。ここは観光の町ですが、ロードガーデンにも近い影響から、冒険者関係を相手にする店などもあったはず」

「ああ、それはよさそうだな」


 ロードガーデンで調達してもいいけど、天王会議期間中の町は大きく様変わりするし、人も多いから最悪、物がないみたいな可能性もある。


「それじゃあ荷物持ちをするか」

「トキヤは何かしないのですか?」

「改めて思うけど、観光というのをあまりやってこなかったし、何をしていいかよくわからないんだよな……とりあえず一日町中を歩いてみて、考えることにするよ」


 その言葉にメルは頷いた……そこで俺は違和感を覚える。

 まるで、予定通りだと言わんばかりの雰囲気……気のせいか、と思いつつその日は宿内で過ごし、休んだのだった。


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