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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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勇者の役目

「ヘレナについては、彼女が強くなりたい願い、指導を受けていた師匠から託されたから修行をしている……しかし、君の場合はなし崩し的に仲間になった。今後のことを考えると一緒に旅をする以上、今回のように仕事をする必要もあるから共に戦ってほしいけど、かといって指導するとしても、君がそれを望んでいるかは別だろ?」

「……そうだね」


 俺の言葉に対しフィリスは同意した。


「仕事をする以上、強くなってもらうと強制するわけじゃないんだ」

「君自身の意向を聞いていなかったからな……経緯はどうあれ、色々おせっかいをするのであれば、ちゃんと当事者に了解をとるべきだと俺は思っただけだ」


 そこまで言うと、俺は再度フィリスへ確認した。


「それで、どうする?」

「……なら、強くなる努力をする」

「わかった」


 理由は訊かなかった。彼女としても強くなった方がいい、という判断だろう。

 とはいえ――ここでフィリスは、


「私がいずれあなたの敵に回るという可能性もあるよ?」

「それを考えないわけじゃないが、魔王が復活していないという俺の推測を考えれば、敵対するようなことにはならないと思うぞ……君はどちらかというと、魔王をいいように利用されるなら、それを行っている同胞を倒そうとするだろ?」

「まあ、そうだね」

「であれば、敵対するようなことはない……仲間という間柄でなくとも、共闘相手くらいには収まると思うぞ」

「そうなったらいいけどね……」


 そう答えるフィリス……彼女としては、魔王を二度倒した勇者相手に戦いたくはない、と考えているだろうな。


「方針は決定したな。天王会議が開催されるロードガーデンへ向かうまでに修行を進めよう……で、その方法なんだが――」

「今回みたいに仕事をする?」


 ヘレナが問う。俺はそれに頷きつつ、


「さすがに今回のように俺は見ているだけってわけではないから安心してくれ……町で確認した仕事の内容を見る限り、魔物の脅威はまだまだ多い。十年前の戦争……その後遺症もあるが、おそらくフリューレ王国に魔族が入り込んでいた余波もあるだろう」


 あるいは、別の作戦が動いているのか……フリューレ王国内で大規模な魔族討伐を行ったが、それで何もかも全て解決というわけにはいかないだろうと俺は思っている。

 それはフリューレ王国自身も同様らしく、魔族の討伐以降も警戒は続けている……別所では大規模な魔物討伐もあったらしいし、魔族討伐をきっかけにかなり大きな動きを見せている。


 むしろ、魔族が潜伏していたという事実をきっかけに、国を守るという人々の意思を力に変え、士気を維持し長い戦いに決着をつける……そんな風に考えていてもおかしくない。


「勇者として、役目を果たす……魔族の動向は気になるが、フリューレ王国の窮地を救った以上、魔族が戦争を仕掛けるといった計画も遠のいたと考えていいだろう。だが油断はできない。気を緩ませることなく、魔物討伐を続けていく」

「とはいえ、わからないことはありますが」


 と、メルが発言した。


「エルフや神族が魔族と手を組んでいる……それはフリューレ王国に潜伏していた魔族と関係があるのでしょうか?」

「メルが山中の砦で資料を漁った限り、そうした情報は出てこなかったんだろ?」

「ありませんでしたね」

「であれば、現段階ではわからないままだな。最初全てがフリューレ王国に攻撃を仕掛けるため……と思っていたが、なんというかそんな感じではなさそうに思える」

「根拠は……ありませんよね」

「あくまで俺の勘だな」

「そういう勘が、トキヤに限ってはよく当たるんですよね……」


 メルはそう言った後、俺へ一つ進言した。


「引き続き魔族に関しての情報を収集しつつ、ロードガーデンへ向かう……私の方も使い魔などを用いて色々と調べてみます」

「各地の情勢を確認するのか?」

「はい」

「ま、それが無難かな……悪いなメル、負担が掛かるだろうけど」

「大きい負担ではありませんから、ご心配なく……昨日までで調べた限り、ロードガーデンへ向かう道筋については、今回の仕事を除くと大規模な魔物の出現などは確認されていません。小さな仕事を片付けつつ、情報収集……という流れになりそうですね」

「まあそのくらいでいいさ……よくよく考えると、再召喚されてから結果的に大きい仕事ばかりやっているな。まあ常に戦い続けているわけじゃないから、十年前の戦争と比べればずいぶんと楽だけど」

「むしろ十年前が異常だったんですよ……」

「そうかもな……振り返れば、本当に何故生き残れたのかわからないくらいの戦いだったな」

「……それだけ、陛下は憎悪していたって話だよね」


 ふいにフィリスが口を開く。


「陛下は世界を敵に回してでも戦っていた……それほどまでに苛烈だったと私は聞いている」

「それは紛れもない事実だよ。あの戦争は魔王の憎悪に始まり、憎悪に終わった……全てを滅ぼそうとする魔王を止めて、戦争は終わった」


 フィリスがこっちを見る。何か話が聞けないかという雰囲気だが、


「悪いな、戦争のことは色々あって詳しく話せないんだ。それに、生々しい話をするのも精神的にキツいしな……ま、魔王については調査が進み、話す機会はあるかもしれない。今はひとまず、情報集めを続けよう――」


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