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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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二人の課題

 翌日、レメイトを出発し旅を再開した。王都を訪れる理由もなくなったので、進路は別……目標は天王会議が開かれる自由都市ロードガーデン。

 旅の途中で天王会議の開催日も公となり、俺達は旅を進める。普通に旅をするとあっという間に辿り着いてしまうので、旅程そのものはゆっくりかつ、目的地へ辿り着くまでに一つ目標を決めた。それは――


「はっ!」


 声を発したのはヘレナ。目前には獅子のような見た目の魔物がおり、そいつ剣を振った。

 魔物の強さは並の戦士でもどうにか戦える、というくらいのものであるため、彼女の一撃によって、魔物は粉砕。あっさりと消滅する。


 けれど、魔物は一体だけではない……俺達の真正面には森が存在し、断続的な魔物が出現している。今回の仕事は、森の存在している魔物の討伐である。

 ヘレナはなおも最前線で剣を振り、魔物を駆逐していく……その一方で俺は動かない。魔物の強さは並なので出番がないという言い方もできるのだが、わざと後方にいる。


 そして――ヘレナの少し後方にフィリスが立っている。彼女はヘレナを横から襲おうとしている魔物に狙いを定め、


「ふっ!」


 掛け声と共に腕を振る。それによって生じたのは雷撃であり、的確に狙った魔物のみに直撃、あっさりと滅んだ。

 ……彼女の戦いぶりも観察する意図があって今回仕事を請け負ったのだが、この時点で十二分に技量は理解した。十三歳という見た目以上に低い年齢ながらしっかりと魔法の扱いについては教えられたらしく、制御については完璧……というか、制御面に問題があるヘレナより上かもしれない。


 だがその一方で、一つ問題も浮き彫りになってきたが。


 ヘレナが魔物をさらに倒していく。それを援護するフィリスと、さらに後方に俺とメルがいるのだが……、


「メル、フィリスについてどう思う?」

「技量面については申し分ないでしょう。私から教えることは何もありませんね」

「そこまで言うか……でもその一方で――」

「ええ、制御はできていますが、ずいぶんと威力を絞っている……」


 フィリスは再び雷撃を放つ。それは最短距離で魔物に直撃したのだが、一撃で倒れなかった。彼女はそれを確認すると即座に追撃の魔法を放つ。腕を振るだけの無詠唱魔法であり……それもまた直撃。今度こそ魔物は滅ぶ。


「魔力を知覚する能力も高いはずだから、必要な威力を見極められると思うんだが……」

「無意識の内に力をセーブしているのだと思います。表情を窺った限り、彼女自身も倒せなくて困惑した様子を見せていますし」

「……指導者が意図的に力を抑えるようしたのかな?」

「どうでしょう。むしろ年齢的に無理矢理力を開放することで体に負担が掛かるのを恐れたのかもしれません」

「であれば、無茶はさせない方がいいのかな……?」

「どうでしょうね。少なくとも今回の魔物を確実に一撃で倒せるくらいには指導しても問題はないでしょう……そういう方針にしましょうか」

「そうだな」


 俺は頷く……その間にもヘレナ達は魔物を討伐。やがて森から魔物は出てこなくなり……ここでメルが魔法で確認。殲滅した、ということで仕事は終了したのだった。






「……さて、課題は明確になったな」


 依頼を請けた町へ戻る途中、俺はヘレナ達へ発言した。


「ヘレナの方は引き続き魔力制御面の修行……でも、仲間になった時と比べても確実に制御面は改善している。メルの指導と、マヌエラと引き合わせたのが良かったかな?」

「薬を作成してもらっている間に、色々と調べてもらったからね」


 うん、順調なのは間違いないな。


「焦らずこの調子で続けていけばいい……メル、ヘレナが突っ走らないよう指導してやってくれ」

「わかっています。ヘレナ、一日でも早く強くなろうとするのは良い傾向ですが、あなたの課題は非常に繊細です。無茶をすれば逆に目標が遠のく可能性がありますから、少しずつ進めていきましょう」

「わかった」


 頷くヘレナ。うん、素直でよろしい。

 というわけで次、フィリス……魔物討伐で戦うのは、戦力としてどの程度かを推し量る、という名目だったのだが――


「……確認だが、フィリス」

「うん」


 子供のように返事をするフィリス。最初に出会った時と比べ、ずいぶんと幼く……いや、こちらが素なのだろうし、年齢的にこちらの方が普通だ。


「今回、魔物討伐に加わってもらって……メルの発案でヘレナと二人で戦ってもらったわけだが……課題が見つかった」

「魔物を一撃で倒しきれないこと?」

「お、察しているのか……メルとそこについて指導しようか、という話になったわけだが、ここで一つ問題がある。君がやる気なのかどうかだ」


 フィリスはきょとんとした表情を見せる。


「やる気?」

「そうだ。君が修行をするかどうか……それを君自身の判断に任せたい。やる気があれば俺とメルで色々と考えやっていくが、拒否するならそれでもいい」


 こちらの言葉にフィリスは沈黙。そこで俺はさらに彼女へ向け言葉を紡いだ。


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