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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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前途多難

 その後、ヘレナに対しての検証は進み、薬そのものは完成。また、素材を携帯できるようにして、薬が必要になったらいつでも作れるように、という形をとった。

 一度ヘレナが薬を飲んで試してみたところ、問題なく魔力を制御できるようになった……が、マヌエラのように半日とはいかず、彼女が予見したとおり六時間程度だった。


 さらに反動で薬の効果が切れた際には同じ時間魔力を上手く制御できなくなる。ただヘレナとしては満足がいく内容らしく……ひとまず、レメイトでやることはなくなった。


「……さて、私の役目は終わりだな」


 マヌエラの部屋を訪れた俺に対し、彼女はそう言った。

 今日ここを訪れたのは、明日レメイトを出発する旨を報告するためだ。フリューレ王国が魔族討伐を行い、その後天王会議が開催されることが告知された。その開催日が翌月ということで、俺達も会議が開催される場所へ向かうことにした。


 メル達は今日、ここに来ていない。検証を終えてレメイト滞在最後の一日、自由行動ということで町中を色々と見回っている。あとフィリスに魔族であることを隠蔽する魔法をメルが使用したのだが、それがしっかりと効いているか確認する意味合いもある。


「魔族討伐も行い、もうフリューレ王国でやることはなくなったか?」


 マヌエラが問う。俺はそれに頷き、


「そうだな。色々と情報を集めたが、この国で得られる情報はもうなくなったと考えていいだろう」


 ――魔族討伐後、国側から俺に情報がもたらされた。俺が魔王に関する調査をしているためだろう。結果から言うと、魔王が本当に復活したのか、という核心部分については詳細不明のままであった。

 フリューレ王国の国王はどう考えているのか気になったが、現時点で側近から「陛下も現時点ではわからない」と語っていたと教えてもらった。よって、これ以上フリューレ王国で調べても今以上の情報は得られないだろう。


「……魔王の真実について知っている前提で話をするが」


 そうマヌエラは前置きをする。


「天王も事情を知らない……となったら、現地へ向かって調べる以外ないのではないか?」

「その可能性は高い……が、ひとまず天王会議だ。そこで核心的な情報を得られなかったら、いよいよ魔王の居城へ入る必要があるかもしれない」

「……二十年前の再現か」

「端から見たらそうなるな」


 肩をすくめる俺。こちらとしてはその覚悟もできているのだが……、


「問題は仲間だな。メルとヘレナ……戦力としては申し分ないし、フィリスについても協力的で、問題はなさそうだけど」


 ――ヘレナの薬を作成する間に、フィリスについても少し検証した。メルによれば、彼女の魔法に関する才覚は本物であり、いずれ高位魔族に至ることになるだろうと。

 主に攻撃魔法が得意らしく、俺の知らないところでヘレナと訓練とかしているらしい……こちらとしては「怪我しない程度に頑張れ」と言って、好き勝手にやらせている。


「旅をする分には申し分ないだろう」


 そうマヌエラは俺へ話す。


「人数的にもまあこのくらいが動きやすいだろう……図らずとも女性ばかりのパーティーになってしまったが」

「両手に花、って言いたいのか? 別にそういうことに関心ないけどなあ」


 メルとは年齢も近いけど、他の二人はなあ……。


「なんだ、勇者ともあろう者が既に枯れ果てているのか?」

「そういうわけじゃないけど……ひとまず目先のことを視線がいって、他のことは考えられないな」

「……そうか」


 マヌエラは笑い出す。俺は反応に眉をひそめ、


「何だよ?」

「いやいや……思った以上に前途多難だな、と思ってな」


 前途多難? 首を傾げているとマヌエラは手を軽く振り、


「ああ、聞き流してくれ……ともあれ、勇者の人生、その行く末が気になる人間も出てくるだろう。トキヤ、この世界に残るのか残らないのかを含め、いよいよ人生の先を決めるべき段階に来ていると思うぞ」

「……そうかもしれないな」


 再召喚されて、真面目に自分の人生と、その未来をしっかり描く必要が出てきたかもしれない。

 この世界にいれば、将来安泰かもしれないけど……頭をかきながら考えると、マヌエラは苦笑した。


「まあ、おいおい考えていけばいいさ……トキヤ、旅の無事を祈っている。もし事の真相をつかめた時には、是非とも私に一報入れてくれると嬉しい」

「善処するよ……マヌエラ、改めて協力ありがとう」

「私としても楽しかったから構わないさ」

「薬を作成するための資材はどうするんだ?」

「そこなんだが、あくまでプライベートの範疇だが、色々と研究をしてみようかなと。昔ほど熱を入れるわけではないが……」

「そうか……ま、無理しない程度に」


 俺達は笑い合う……戦友として、会えて良かった。そんな風に思いつつ、俺は屋敷を後にしたのだった。


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