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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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彼女への問い掛け

 翌日、俺達は首都を離れレメイトへ戻った。マヌエラの屋敷へ赴き、ヘレナともフィリスについて話をして……ひとまずフィリスの動向については彼女も同意した。


「しかし、ずいぶんとまあ面白い展開になったな」


 説明後、俺はマヌエラに採取してきた物を渡すと、彼女は口を開いた。


「まさか薬の採取で魔族討伐を行うことになるとは」

「……大惨事を未然に防げたということで、まあ良かったのかな?」

「トキヤの負担が重すぎる気がするが……まあいい、フリューレ王国を救ってくれた礼だ。今まで以上に頑張るとしよう」


 気合いを入れ直すマヌエラ。そんな様子を見つつ俺は、


「検証が終わるまで俺はレメイトに待機する。場合によってはフリューレ王国から魔族討伐の仕事が回ってくるかもしれない」

「その時は、改めて相談すればいいだろう」


 マヌエラの言葉に俺は「そうだな」と頷き、


「それじゃあ俺は宿に戻っているから。何かあれば連絡頼む」

「食事くらいは出すぞ?」

「屋敷内で食べるとか落ち着かないし勘弁してくれ」


 そう言いつつ俺は彼女の背を向ける……マヌエラ本人に関する話は、まあいつでもいいだろう。


「ああ、それと。フィリスのことも頼むよ」


 ちなみにフィリスはメルと一緒にヘレナの検証に加わっている……割とすんなりヘレナと話をしており、さらに今からやることについて興味を持っている。


「任せろ……先ほど軽く話を聞いた限り、才覚はあるがどちらかというと研究畑の魔族みたいだからな。私が色々と教えると、どんどん吸収していきそうだ」

「研究畑……といっても彼女、十三歳だけど」

「実戦より理論を突き詰めたいようなタイプだと私は感じた。ああそれと、知識量もなかなかのものだぞ。どうやら日がな本を読みまくっていたらしく、魔法に関する理論だけを言うなら、大人顔負けだ」


 ……なるほど、魔法に関する向き合い方なんかも才覚として入れるとしたら、確かに彼女は非凡なものを持っているのだろう。


「そうか。あんまり熱心に教え込んで引かれないようにしてくれよ」

「無論だ」


 その言葉の後、俺は部屋を出た。とりあえず後は待つだけとなった。


「情報収集をしつつ、マヌエラと話す機会をどこかで作るかな……」


 そう呟きつつ、俺は屋敷を出たのだった。






 ――その後、情報収集によって得られたのは、フリューレ王国が魔族討伐に成功した、という情報だった。

 潜伏し作戦開始を待っていた魔族達を、ものの見事に騎士団は攻略したらしい……俺とメルがもたらした情報は魔族達にとって致命的だったようで、次々と討伐を果たしていった。


 俺の出番はなく、情報で得られた魔族達は全て国によって対処できた……ひとまず、国の上層部に内通者などがいて、妨害するといったこともなかったようだ。


「……状況は、私の方にも主人を通して入ってきている」


 ある日、屋敷を訪れた際……マヌエラの部屋に入ると、開口一番彼女はそう告げた。


「レメイト近くで起こっていた魔物の出現も魔族が原因だろう……実際、トキヤが魔族を討伐して以降は魔物も出現しなくなったらしいからな」

「図らずとも事件を解決できて良かった」

「レメイト側はトキヤに感謝状を贈りたいそうだが……」

「申し訳ないが断ってくれ。勘弁願いたい」

「そう言うだろうと思って私の方から断りの連絡は入れたよ」

「助かる」


 俺の言葉にマヌエラは笑い、


「……何も変わっていないようだな、トキヤ」

「本当だよ、年齢が上がっただけで、勇者としての活動内容は何一つ変化がない……ま、これが俺、という話なんだろうな」

「トキヤ、今回の旅が終わったら……どうするんだ?」

「うーん、今までは元の世界に未練があって帰っていたけど、今回は悩んでいるな」

「帰らないという可能性もあるのか」


 問い掛けに俺は頷いた。


「メルとかにも伝えているけど、あんまり広めないでもらえると助かる」

「誰かに話すようなことはしないから安心しろ……もし残るのであれば、また会いに来てくれ。うまい酒を用意しておく」

「ははは、なら取り置きしておいてくれ」


 俺とマヌエラは双方笑う……ふむ、話を切り出すタイミングとしては丁度よさそうかな?


「……マヌエラ、話は変わるんだが、一ついいか?」

「ああ、どうした?」

「マヌエラが研究者を辞めた理由について」


 その言葉にマヌエラは眉をひそめる。


「相変わらず喋るつもりはないぞ」

「そこはわかっている……ただ、一つ、俺なりに辞めた理由を察して、今から尋ねさせてもらう。はいか、いいえで答えてくれればいい」

「ああ、わかった」


 頷くマヌエラ。そこで俺は……意を決するかのように彼女へ問い掛けた。


「君が研究者を辞めた理由……それはもしかして、戦争の……魔王が戦争を引き起こした理由に、気づいたためではないのか?」


 ――俺の質問にマヌエラは目を見開く。その表情が答えで間違いなさそうだった。


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