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鬼取屋  作者: 石馬
第弐幕「鬼取屋」
44/63

怪ノ陸「神龍寺吹雪〜抜けば玉散る氷の刃〜1」

どうも失礼しますm(_ _)m

石馬です(^_^)


今回の話は新キャラを出します。

皆さんに気に入って貰えれば幸いです。


序盤なのでかなり短いですが、宜しくお願い致しますm(_ _)m

 人々は彼とすれ違う度に振り返った。

 男にも女にも見える中性的な顔立ち、周りを吸い込むような黒く深い瞳、然しそれ以上に道行く人々の眼を奪ったのは、彼のその髪だった。朝日に照らされた銀雪のように輝くその銀色の髪は、周りを引き込む何かを持っている。


 彼は足を止めて、眼前のビルを見上げる。

 ビルと呼ぶには些か頼りない、如何にも何かが出そうな古くて汚いその建物を、彼は静かに見上げていた。


「久しいな、此の場に戻って来るのも……」


 彼は無感動に、ただ一言だけそう言って、建物の中へと入って行った。










 …………誰もいない部屋の中に、私は一人ぽつんと座っていた。

 今ほかの方々は仕事に買い出しに遊びにと、それぞれ外に出ていってしまっている。

 もう一度確認のために言おう。今、私は事務所の中に一人だけぽつんと取り残されている。

 そんな私、榊美雨がすることと言えば一つ。


「たぁんけんだぁああーーー!!!!」


 そう、探検です!た・ん・け・ん♪英語で言えばアドベンチャー!

 今私は一人の旅人となって誰にでもなくこの事務所、『鬼取屋』の中を解説していこうと思います。


 まず鬼取屋の事務所の外観はただの古臭い5階建ビルですが、なんと1階が銭湯になっています。

 事務所にはシャワーさえないので、大変お世話になっています。

 

 2階は事務所の応接室になっています。

 さっきまで私がいた所ですね。他にもお客様にお茶を出すため用に給湯室があって、舞ちゃんがよく私や京介さんにお茶を淹れに行ってくれてます。だけど切丸さんのためにお茶を淹れたことは一度たりともありません。

 …………よっぽど嫌いなんだな、舞ちゃん。


 3階は皆さんの仕事部屋です。京介さんの机の上には山のような書類と黒電話、そして箱形の大分古いパソコンが置いてあって、もう他に何も置けないんじゃないかというくらい散らかってます。

 舞ちゃんには特別場所は決まっていません。基本的には応接室での受付が仕事みたいなので…………。

 ただ京介さんが出かけている時に調べものをするために、いつも最新式のノートパソコンを持ち歩いてはいますね。はい。

 切丸さんは………………、知りません。いつも漫画か雑誌を読み漁っている我が家の穀潰しです。って舞ちゃんが言っていました。


 4階には医務室と仮眠室があります。

 といっても、空いた部屋に薬やら包帯やらベッドやらを詰めこんだだけの部屋なのですが…………。

 因みにその中の一室を今私が使っています。

 一応事務員用の宿舎があるのですが、何でも物置代わりに使っているから片付け終わるまではここだそうです。

 まあ私としてはテレビもあるし、とても快適な毎日を送っているのでどうでもいいことですけどね。


 5階は最上階で、鬼取屋の皆さんの宿舎があります。全部で7部屋あります。

 この建物にも一応エレベーターという文明の利器があり、ちょうど真ん中に当たる504号室の前に来るように出来ています。

 その504号室に住んでいるのが切丸さん、隣の部屋である503号室に住んでいるのが京介さんです。505号室から507号室までの部屋には人が住んでいないみたいで、物置小屋状態になっています。

 その内1部屋を私の部屋として使おうという寸法ですね。

 あと舞ちゃんの部屋は角部屋である501号室です。502号室には人が住んでいるみたいですが、今遠くに出かけているみたいなので私はお会いしたことはありません。

 とっても気になるので物色しようとも何度か思ったのですが、しっかり施錠させられていて一度も中へ入れたことがありません。



 …………とまあこんな感じが、妖怪の事務所鬼取屋の大まかな解説ですね。




 ああ楽しかった。それじゃあそろそろ買い出しに行った舞ちゃんが帰ってくると思うので、応接室に帰ろうと思います。


 私が移動しよう思いエレベーターに近づくと、タイミングよくエレベーターの扉が開きました。

 ヤバ、京介さんが帰ってきたのかな。そう思った私の予想はあっさり外れました。




 ――そこにいたのはとっても綺麗な銀色の髪をした、とっても綺麗な顔の人だったんですから。

 その綺麗な人は私の顔を見るなり、物珍しそうな顔で口を開きます。


「ん? 見ない顔だね。迷子かな? いや、迷子にしては少々大人なような気もするな。

 と、いう事は君が京介の言っていた、我侭な居候君かな?」


 よく透き通るその声は、男性の声でした。

 驚いた、こんな綺麗な男の人って、本当にいるんだなぁ。

 ていうか、大分失礼なことを言われた気がする。いったいこの人は誰だろうか?

 京介さんの名前を出したってことは、知り合いかなにかなことは間違いないと思うけど…………。


「えっと、あのぉ……」


 私の困った顔を察してか、綺麗な男の人は軽く会釈をしながらまた、話し出す。


「ああ、名乗るのが遅れてしまったね。

 俺の名は神龍寺(しんりゅうじ)吹雪(ふぶき)

 この事務所、鬼取屋の職員の一人だ。更に言えば、この宿舎の502号室は俺の部屋さ」


 その綺麗な男の人、神龍寺吹雪さんは、涼しげな笑みを浮かべて私に、そう言った。


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