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鬼取屋  作者: 石馬
第壱幕「出逢い」
14/63

怪ノ弐「鬼丸京介〜心霊相談請負事務所鬼取屋〜6」

 昨日まで地獄絵図と化していた学校は今、平凡そのものに姿を変えていた。

 これが世界の安定。不用意に妖怪がいた痕跡を残すよりも、こうして被害者の存在を消してしまった方が、世界にとっては都合が良いのだ。

 鬼丸京介は、最初に惨劇が起こったであろう教室の中にいた。終わったはずのこの場所に彼が来た理由、それは、まだこの場所が終わっていない事を物語っている。

 時刻はもう夕方に差し掛かっている時、夏休みということもあって、人気は無くなっている。

そんな時間に明かりも点けず、独り教室に立っている京介。

 少しずつ、部屋の中に闇が差し込みだした時、それは現れた。

 それは、蒼白く光る人魂、殺された、この教室の生徒達のものだ。


「待たせちまったな。もうちょっと早く来たかったんだけど、どっかの小娘がグズっててさ。

 彼奴、立ち直ってると良いけど……」


 京介は優しくそう言うと、両の手を胸の前に構える。すると其処から橙色に輝く炎がユラユラと現れた。

 昨日、碧鬼を焼き祓った荒々しい炎とは違う、柔らかく、温かな炎。その炎に誘われるように、人魂達は吸い込まれていく。

 妖怪に殺されたヒトの魂は、その場に縛り付けられて成仏する事が出来ないものが殆んどだ。だから京介は、こうして苦しむ魂を楽にさせるためにこの場に来たのだ。

 一つ、二つと、温かな炎に救われていく魂、そして最後の一つが炎に吸い込まれた時、京介の前に一人の男が立っていた。

 それはあの日、美雨に警告をしていた碧鬼の後ろにいた男。

 京介は、今まで以上に優しく、静かに微笑み、男に話し掛ける。


「久しぶり。何時ぶりかな、最後にあったのは小四の頃だから…もうかれこれ十年か。

 やっと会えたね。『けんちゃん』」


 『けんちゃん』、そう呼ばれた男は、京介の顔を見るなり、京介同様に柔らかな笑顔を浮かべる。


「昨日の事、感謝してるよ。君が俺に碧鬼の事を教えてくれなきゃ、俺はまた、一人も助けられないで終わってた。だから言わせてくれ。有り難う。あと、『あの日』の事、本当にごめん」


 そう言って頭を下げる京介に、けんちゃんは首を横に振って応える。とはいえ、頭を下げている京介にその動作が見えるわけもなく、困った様な顔をして、京介の肩に手を置いた。

 それに気が付いた京介に、けんちゃんは何やらパクパクと口を動かし、何かを伝えようとしている。

 辛うじて、京介にはこう聞き取れた。




「こちらこそ、有り難う。」




 其処に立っていたのは、十年の時を経て成長した青年の姿をした男性ではなく、『あの日』、十年前の姿をした、少年だった。

 京介は瞳に涙を浮かべ、少年を炎の中へと潜らせる。少年の方も、満足した表情で炎を潜り、そのまま光の中へと姿を消していった。

 教室に残った京介は一人、肩を震わせて泣いていた。

 鬼であった時の力強さが嘘だったかのように、弱々しく、然しそれ以上に美しい姿だった。


怪ノ弐「鬼丸京介〜心霊相談請負事務所鬼取屋〜」・了

いやぁ〜、何時にも増して中途半端な話になってしまった感がありますね。


己の文章力と発想力のなさにただただビックリです。


あとなんか色々要らんところで伏線引きまくっちゃってますよねぇ〜。

総てを回収できる日は来るんでしょうか?


感想は何時でも待ってます。

次の更新が何時になるか分かりませんが、よろしくお願い致します。

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