プロローグ 俺の家の話
はじめまして、初めてなろうに投稿しました。
下手くそですがよろしくおねがいします!
世界樹ユグドラシル―――曰く、この世に存在する魔力を生み出し、曰く、その枝は何よりも固く、曰く、その葉についた露はすべてを癒す、この世界の根幹を司る一本の大木。
その世界樹の管理をしている国、ランディグルム王国。それが俺、ランカスター・ヴァンハルトの生まれた国である。
…とは言ってみるものの実際の出身国はここではない。日本、しかも桃太郎伝説で有名な岡山県の出身だ。
そう、俺は転生した。理由はよくわかっていない。死んでもいなければ誰かを助けたわけでもないのだ。ただ家でベッドの寝転びながら好きなVtuberの動画を見ていただけである。急な眠気に襲われ一瞬意識が飛び、次に目を開いたときにはもうこの世界に転生していた。
文字通り右も左もわからない、国名どころか言語も通じるのかわからないこの世界に転生したわけだが、すでにこの世界の基本情報だけは何故か頭に入っていたのは僥倖と言えるだろう。
この世界には前記の通り魔力がある。つまり魔法が使えるというわけだ。中二病でもなんでもない俺だが魔法には興味があった。もし魔法が使えたなら生活がどれほど楽になるか。
ただし、この世界の魔法はマンガやラノベで使われているものほど甘くはなかった。
なぜならこの世界の魔法は、個人の固有魔法しか存在しないのだ。
どういうことなのか簡単に説明すると、例えば自分の固有魔法が風魔法だとしよう。すると自分は風魔法以外の魔法は使えないのだ。
更に細かいことを言うとこの魔法とはあくまで基本であり、応用が効く。つまり風魔法でも使い方によっては氷や炎の竜巻は作れるし、達人レベルになると熱を風で動かし積乱雲を作り雷を落とすこともできる。
ただし、やはり本家である氷魔法よりは小さいし、物体を凍らせることはできない。風魔法にできるのは氷を創るということのみである。雷も、目標を定め狙うことはできないし、物体に雷をまとわせることもできない。下手すれば落雷に巻き込まれる、なんてこともありうる。
どうやら魔法が使えるようになるのは十歳で、魔法が使えないものはいないらしい。
「いいかランカスター、お前はこのヴァンハルト家の次男だ。兄に何かがあったとき代わりにならなければならない。だからお前は強い魔法を使えなければ意味がないのだ」
「いいですかランカスター、あなたがこのヴァンハルト家の主となれば私の立場はより高くなります。頑張るのですよ?」
俺が転生した先、つまり俺の新しい家は貴族で、このランディグルム王国の伯爵家であるらしい。
使える魔法、それが貴族の立ち位置に影響するようで、俺は強い魔法を求められた。
年子の兄はすでに10歳になり魔法を使えるようになっていた。その魔法は身体強化魔法。とはいえ、筋力の増強程度しかできず、しかもその筋力の増強も体が耐えられず、精々常人の三倍ほどしか無理なそうだ。
そうして期待されていた俺の魔法だが、親に促され使ってみても何も変化はない。王国1の魔法判定者曰く、俺の魔法は、音を操る―――ただそれだけの魔法だった。
おれはその場で親からの罵声と周りからの蔑むような視線を浴びせられ、そのまま家を追い出された。
つまり俺は捨てられたのであった。
ランカスター・ヴァンハルト、10歳の誕生日であった。
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