序章7
「なんですと?」
ヒナトの発言に長は何がなんだか分からない顔をしている。
それを聞いたヒナトは話し出す。ユズも全く分からないようだ。
「あの洞窟には化け物なんていませんでした、あったのは大量のモンスターの死骸です」
「化け物がいなかったですと?」
ヒナトはゆっくり頷きそう答える。
「村の人が見たのもこの死骸の山でしょう、
そしてこの死骸から毒素が発生してました。一体あの死骸はなんのためにあそこにあるんですか?」
それを聞いた長はあっけらかんとしていた。
「何って、祭壇への供物ですよ。この集落があるのはあの祭壇に守られているのですからね」
ガっとヒナトが長に向けて殴りかかろうとしたのを
ユズが止める。
「ヒナト...それはダメだよ」
「ちっ」
ユズはヒナトが明らかに不機嫌だった原因がわかった。
「長、この毒が世界中に広まった原因はこの集落であの洞窟に死骸を供えていたからなんですよ。たったそれだけで何人もの生き物が死んだんだ」
長も少しは慌てていた。
「ちょっと待ってくれ、だが今はもう解毒薬も有るし昔とは違うんだ。別にこれくらい良いじゃないか」
ヒナトの思っていた言葉は聞くことが出来なかった。
また殴りそうなのを堪え、話す。
「そう思っているから人は死ぬんだよ。人間なんて弱い生き物だぞ。そんな事も分からないのか」
と吐いて捨てるようにユズの手を引いてヒナトは出ていった。
なんでこんなにムカついているのかヒナトにも分からなかった。だが自分の伝えたいことは伝えたつもりだったのだ。2人はまた旅に出るのだった。
もうヒナトはこの集落に自分から来ることは無いだろうが、それでもこの日を境に祭壇への供物は無くなったそうだ。




