序章6
急に静かになるとさっきまでの騒がしさが好ましく感じる。結局ヒナトはベレとの戦いで全力を出し勝ったがまさかの1回戦で戦闘続行が不可能とみなされベレとの相打ちという形で終わってしまったのだ。
そんなことを考えさっきまでの戦いを思い出す。いつもの戦いとは全く違った。あれを実践で出すことが出来れば隠密の能力は使わず真正面で戦える。この経験は生かすべきだと考えていると
治療室の扉が勢いよく開かれる。
何事がとヒナトが見るとそこにはユズが息を切らしながら立っていた。
「ヒナト!だだ大丈夫?!」
多分さっきの試合でヒナトが倒れ運ばれていくのを見ていたからだろうかユズの焦りがこっちにまで伝わってくる。
「あぁ大丈夫だよ。少し休めばすぐに治るさ」
少しでもユズの心配を無くすためにそうは言っているが全治3ヶ月位の傷を負っている。
「それならいいけど...」
ユズは少し落ち込んでいるようだった。
それもそうだろうユズが言い出さなかったらヒナトはこんな傷を負う必要はなかったのだから。
それを思っているのだろうとヒナトもわかっていた。
「なぁユズ、聞いてくれよ」
「うん?」
「さっきの戦いを見てくれてたら分かるだろうけど俺、真正面で戦ってベレに勝ったんだぜ?すごいだろう」
ニカッとした笑顔で話す。
「だから、ありがとうなユズ」
「え?」
多分ユズは少しくらいは怒られるかと思っていたんだろう。だがヒナトはユズに感謝していた。
「ユズが言ってくれなかったらこの戦い方を知ることが出来なかった、だからありがとう。」
ヒナトがどれほどの傷をおっているのかも何となくユズは分かっている。それなのにヒナトは笑って感謝までしてくれた。
どれほどいい人なのだろうと心の中で思いながらユズはヒナトを抱きしめたのだ。ヒナトも少し驚いたが何も言わずに優しくでも離れないように抱きしめていた。
あれから、1ヶ月がたとうとしていた。ヒナトは本来なら3ヶ月かかる傷を街の医師に治療魔法を使ってもらうことによってもう治りかけるほどになっていた。
ユズがヒナトの看病をしていたおかげもあるだろう。
例え、魔法があるこの世界でも傷を治すのはそう簡単な事じゃない。
ヒナトはいちいち新しい場所に来ては怪我をしていては旅に支障をきたしていまうと思い、もう少し自身の身体を大切にしようと心に決めたのだった。
そんなこんなで今日はヒナトの退院の日だ。
ゆっくりとベッドから起き上がり歩く。特に痛みもない。心配な事と言ったら身体が訛っていないかと言うくらいだ。
医師に挨拶をし、店から出るとそこにはベレが立っていた。
「よう!少年!」
相変わらずの元気さである。
「ようベレそっちはもう大丈夫なのか」
と心配するがベレに傷をおわせたのは間違いなく自分という事に少し気が引ける。
「ああ、少年のいいパンチを食らったからな3日間も倒れていたらしい。」
ニカッと笑顔で答える。
あ、この前ユズに笑った時にやけに笑顔が上手くなったと思ったがこれ、ベレの真似したんだなとこっそり思ったヒナトだった。
「ところでだ、ちょっと飲みに行かないか?」
共に良い戦いをした同士は仲良くなるとこの街のい言い伝えらしいが確かにその通りだろう。
「ああいいぜ」
とヒナトも返事を返す。
ユズも隣にいたが気を利かせたのだろうか
こっそり宿屋で待ってるねと言い
見送ってくれた。
「よっしゃ!こっち来な!」
とベレについて行き店に入るとそこにはソーヤ達闘技場の選手たちが騒ぎながら飲んでいた。




