序章6
お互いの全力を出す戦いは決着が着くのが早い。
当然のことだが自身の全力を何時間も出し続けることが出来る人などいないからだ。
もしいるとすればそれは人ではなく化け物だろう...
この2人の戦いも終わりを迎えていた。
ヒナトは常にベレのうなじを狙い、ベレはそれを勘というとんでもない能力でヒナトの隙を伺っている。
「はぁぁああ!!」
お互いの体力が無くなってきていることに2人は気付いている。
ヒナトがトドメとばかりに全力の走りでベレの間合いに入る。
「何回も見てきたぞそれは!!」
ベレの巨大な腕がヒナトの身体を掴みかかる。
(掴んだ!)
そうベレが思った時にはヒナトの身体はなくベレの掴みは空を切った。
ヒナトは掴まれる寸前にバックステップを決めすぐに攻撃姿勢に入る。
(まさか、この時のために今まで同じパターンの動きをしていたのか!)
ベレがその事に気づいた時にはヒナトの拳はベレのうなじに届いていた。
「終わりだぁぁあ!」
ドォンとあの時と同じ音が辺りに響く。
観客はまたベレの勘で防いでいるのではないかと砂煙を見続ける。
そこにはベレが横たわりヒナトが立っていた。
「おつかれさん」
そう言ってボロボロで倒れているヒナトに向けて水を渡すソーヤの姿があった。
「ありがとよぉ」
先程の戦いであばら骨数本を折ったヒナトはすぐにベレと仲良く治療室に移され適切な処置を受けたところだった。
「ベレは俺の弟子なんだ。あいつは元々の力がありすぎてイキってた時に俺がボコボコにしたらなんか着いてきちまったんだよ」
(あのベレの師匠がこの俺よりもひ弱そうなソーヤってんだからどんなバケモンだよ)
「まぁ今は傷を治すことに専念した方がいいね。
ただ君にとっていい体験だったんじゃないかい」
とソーヤは笑っていた。
「確かに今までの俺の戦い方は陰に隠れ隠密の能力での奇襲だったな」
うんうんとソーヤが頷く
「ああ、それとヒナトの能力が隠密って言ってたけど」
「うん?」
急にヒナトの能力についてソーヤは話し出す。
「ヒナト。君の能力は隠密だけではないよ。」
「なんだって?!」
「さっきの戦いを見て感じたが君の知らない能力を持っているね」
?しか浮かばない。
「この世界で使える能力って1つだけじゃないのか?」
「まあ昔からそうは言われているけどそれは昔の話だろ?今は違うかもしれない」
全然納得できないが確かに隠密以外にも俺の知らない能力が出てきた時はあった。なんならさっきの戦いだって明らかに体の動きが違っていた。
「まぁ僕がわかるのはそれだけだね」
と言いながらソーヤはクルッとターンを決め医療室から出ていった。
「僕のとの勝負はまた今度だねー」
ソーヤがいなくなった医療室は急に静かになった。




