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冒険の書 第1章   作者: 本多 泉那
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序章5

「ヨネアさん!!」

何も考えずにヨネアさんの元へ走り出す。

短剣を構えローブ野郎をその場から引き剥がす。

ヨネアさんは後ろから心臓を一突きされていた。

呼吸はしているけどその呼吸すらヒューと言う音がしている。

「ダメだ、アンタにはまだ何も恩返しができてないのに..」

ユズも遅れてやってくる。普段あまり表情を表に出さない彼女ですら涙が溢れていた。

「ごめん..よ。もう少しくらい2人を見守り..たかったんだけどな..」

そう言うとヨネアさんの手から力が抜け、指に着いていた指輪の光が消えていった。

俺がこの街に来て迷っていた時に手を差し伸べてくれたあの人は俺の前で死んで行った。

ただただ絶望しかない。なんで俺の関わったヤツらはこうも簡単に居なくなってしまうんだ。

まだ部屋にいたローブ野郎に視線を向ける。奴はヨネアさんを殺したレイピアでこちらに向かってくる。

(今度は俺たちか...)

もうどうでも良くなってきた。何も考えられない。

急にヨネアさんを抱えていた手が暖かくなる。

ユズが俺の手を握っていた大泣きしながらそれでも彼女の目はまだ光っている。

(もう少しだけ、ほんのちょっとでいいから頑張ろか)

何処からか懐かしい声が聞こえる。多分その声を俺は忘れているんだ。それでもまだ負けたくない。

足に力を込め立ち上がる。まともに戦っても勝てない、ならいつもとは違うやり方で

「かかってこいやぁぁあ」

俺は隠密のスキルは使わず走り出す。

いつもよりも力が湧いてくる何倍にも筋肉が膨れ上がっているのがわかる。

あまりの速さにローブ野郎もレイピアで止めるしか無かった。

ギィィンと甲高い音が王室に響いた。

奴がレイピアで止めることはわかっていた。

相手の肋に右手でブローを決める。

3.4メートルほど吹っ飛んで行き野郎のローブが取れた。まさかのローブ野郎の中身は女性だった。

だからといって手加減するほど俺は優しくない、まだ腹の中は怒りが燃えている。奴は俺が急に戦い方を変えたからか技にキレがなくっなっていた。

(ここでやつを倒す)

また力を込め走り出す。ローブ野郎は何歩が下がり火の玉を出現させ相手に投げつけるファイヤを唱えてきた。そんなものは構わず俺は走り続ける

傍から見ればただの馬鹿だ。ローブ野郎も少しにやけていた。そして、ヒナトにファイヤが当たることはなくヒナトの目の前で消えてなくなった。

そのことは想定外だったのか油断していたローブ野郎にヒナトは心臓を突き刺したのだった。


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