序章5
俺達はこの街最大の酒場に着いた。辺りを見渡す。周りには王直属の騎士団や、各地の冒険者達が集まって最後の晩餐かのようにみんな乾杯をしていた。
その賑わっているところにユーリアが入っていった。その瞬間に騎士団は皆、片膝をつき頭を下げる。冒険者達も遅れて同じポーズを真似ていた。
それだけでもこの王様がどれだけ信頼されているのかがよくわかる。
少しの静寂のあとユーリアが話し出した。
「皆の者、よくぞ集まってくれた。まずはそこに心からお礼を。」
王が頭を下げた事に誰もが驚いていた。俺も驚きチラッとヨネアさんを見ると笑っていた。この人すげぇわ。
「わかっているよだが、敵の数は私たちの数よりもはるかに多い、はっきりいって絶望的な状況だ。だがここで私たちが折れてしまえばこの街に住んでいるお前たちの大切なものは死んでしまう。
そんなことはさせぬために私は戦う。私と一緒に来てくれるか?」
ユーリアの声は常に落ち着いた。ただ声がよく通るのだ。そんなことを言われて誰も行かないわけが無い。
「うおぉぉぉお!」「やってやるぜ」「王様バンザイ!」
そこらじゅうから声が聞こえる。
よし!それでは明日の朝が開戦だ!
そう言ってユーリアは酒場を後にした。
「こりゃエリゴスも無事だな..」
そんな言葉が漏れる。
「ああ、あんな子供だった子がここまで育ったか」
ヨネアさんがボソッと呟いた。その目からは涙が溢れていた。
色々あったんだな。
そして、今日が終わる。とうとう明日は戦いが始まる。俺には一体何ができるか分からないがそれでも死ぬ気でこの街を守るだけだ。ここには大切なものが沢山あるのだから...
翌日
俺はなるべく早めに起き少しでも体を起こすために走ろうと部屋を出た。朝からというのに辺りが騒がしい。昨日は見なかった。魔道士達が城の方へと駆けていっていた。その内の1人の腕を掴む。嫌な予感がした。
「お、おいどうしたんだよみんな騒いで。」
「....」
下を向いている魔道士に顔を無理やり合わせる
「教えてくれ」
「実は今朝ユーリア王が何者かに殺されたんだ。」
「は?」
開戦の日は絶望的な状況で始まった。




