序章2
「おらぁぁあ!」
雄叫びを上げながら俺はモンスターにとどめを刺す。
「や、やったね!」そういい、サクは息を切らしながらこっちに来る。あの日から俺達は少しずつ成長していっていた。
「そろそろ日が沈むし、セーレに帰ろうか。」
そう言ってサクはセーレ村に帰る準備をしていた。
「そうだな、、」
いつもなら帰り道ですら2人で今日の戦闘の話をしているはずだが、今日は違った。明日はヒナトが村から出て行く日なのだ。前々から準備もしていたし、明日は村から王都までの馬車が出るらしい、つまり今日が最後の戦いだったのだ。
「サクはさ、ずっとこの村にいるの?」
ポロッとそんな言葉が出てしまった。
「、、ああ僕はこの村の兵士になりたいんだ。
確かに昔は外に出て色んな冒険をしたいと思ったけどやっぱり僕はこの村が好きなんだ。だからごめん一緒には行けないよ。」
もし、サクが一緒に行きたいと言ったなら誘おうと思っていた事はバレバレだったようだ。
「さすが俺の相棒だな。サクがそう言うなら俺はなんも言わないよ。だからさ、、」
その続きを言おうとしたその瞬間だった。
ドゴォォン!!!
村から爆発音がした。
「な、なんだ!」
2人でお互いを見る。2人とも訳が分からない顔をしていた。
すると後ろから、武器を手にしたモンスターが現れた。その姿を見たサクは震えながら、ヒナトに向けて言った。
「ま、魔王軍だ。逃げるぞ!!」
「なんだよ、そんなにやばいのか?」
「あいつらは、ただのモンスターじゃない人と同じ感情もあるし言葉も話す、何より魔王軍が現れた所は地獄の様になるって言われているんだ、、、」
すぐ後ろではセーレ村が火の海になっていた。
「お、おいじゃあ村は、、」
「、、、、、」
サクは何も言わなかった。ヒナトの頭の中は爺ちゃんの安否が気になって仕方なかった。
「ヒナト!!」
サクが叫ぶ。
「今は目の前のやつをどうにかしないと」
「あ、ああそうだな」ヒナトは今にでも走り出したかった。
「もう逃げるには距離を詰められすぎている。
ヒナト戦おう。」こうゆうピンチになるとサクは冷静になってくれる。このおかげでどれだけヒナトが救われたことか。「行くぞ、サク。早くこいつを倒して爺ちゃんのとこ行かないと。」
サクは無言で頷く。いつものようにヒナトが敵に向かって走り出す。自身の体重と勢いで敵に切り掛る。だが、敵はそんな攻撃をなんなく手に持っている剣で防ぐ。そしてその剣を押し、ヒナトごと吹き飛ばす。
「グガァァァア」敵が雄叫びをあげ斬りかかってくる。確実に敵の剣がヒナトに届く。だが、ヒナトは笑っていた。
「俺じゃあ、無理なことくらい知ってんだよ!!」
モンスターの振り上げた右腕にどこからともなく矢が刺さる。考えてすらいなかった攻撃にモンスターも1本後ずさる。どこから打ってきたのか分からない状態で戦うのは良い策ではないことくらいわかるようだ。だが、その一瞬だった。モンスターはさっきまで目の前にいた。ヒナトを見失っていた。当たりを見渡してもどこにもいない。すると、後ろからの殺気を感じたのか後ろを振り向くと矢が飛んできた。死角からの攻撃で避けることは不可能。剣でその矢を切る。切ったと思った時には、ヒナトが目の前に現れモンスターの心臓に剣を指していた。
何が起きたのか分からないままモンスターは倒れていった。
「よし!」木の上ではサクがガッツポーズをとっていた。
「俺達の攻撃が魔王軍にも通用する!」
行ける、2人なら倒せるぞ。ヒナトは確信していた。この村を救えるだけの力があると、次の瞬間にはその思いは無くなっていた。ちょうどヒナト達がいる場所は村の入口付近。そこは上り坂になっており下には、森がある。その森から、さっきのモンスターがぞろぞろと出てきた。あと数分もすればあの大群がこの村に襲ってくるだろう。
そんなことを考えただけで希望なんて消えていってしまった。サクも同じことを考えていたのだろう。ヒナトと同じ目をしていた。
「ヒ、ヒナト。早く村長のところへ行こう。この村が今どんな状態なのか、知りたいしこのことも伝えないと!」
「ああ!行くぞ!」
2人は走り出した。いつもの村が全く違うように思えた。周りは火の海になっており、焼けた人とモンスターの匂いでよく分からない匂いがした。口の中は火の粉が入り時々むせる。でも、止まらない。早く爺ちゃんの家に行きたかった。そのせいで壊れかけていた橋の下からヒナトを狙っていたモンスターに気づかなかった。
「ヒナト危ない!」サクが勢いよくヒナトを飛ばす。ヒナトは橋の向こうまで飛んだがサクは橋の手前で倒れた。その衝撃で橋が壊れていく。
「ヒナト!先に行け!僕も後から行く!」
そう言いながら、モンスターの額に矢を刺す。
「何止まってんだ!早く行けよ!!」
ヒナトの頭の中では色々なことが起こりすぎていて、何をしていいのかわからなくなっていた。
ただ、一つだけわかっていたのは爺ちゃんの家に行かないと行けない事だった。
口の力を振り絞り、叫ぶ
「先に行ってる。早く来いよ!!」
サクはいつも通り無言で頷く。
(爺ちゃん、爺ちゃん!生きていてくれよ。)
そう思いながら走り続け、ヒナトはようやく家の前まで着いた。上がっていた息を整え玄関を開ける。
そこでは、普通のモンスターよりも何倍もでかい奴が爺ちゃんを槍で刺していた。




