第八十八話 ‥‥奇数組そろわなくっていいですって
ムツキさん一行が去った後、街をぶらぶらと歩きだした。
ナカビさんが先頭を切っているが、何処に行くのか、それ以前に何処に行こうという当てがあるのかもわからない。
「やることなくなったね」
「お前はそう言って観光したいだけなのにゃ」
「違いねぇ(笑)」
「お前もだろ」
カイトさんとナカビさんがそれぞれニャズさんとセキトさんに攻撃力抜群の言葉を吐かれて地面に伸びている。
痙攣してるんだけど。普段ならあなた方笑ってスルーするよね。
どうした。
氷人が近づいてしゃがむ。
あ、慰めるのかな、優しい。
やっぱり性格イケメン…。
「…ステータス高いのにメンタル豆腐とか…」
「やめて氷人君!傷つく!!」
氷人が追撃入れた。
この世に人の不幸を見て幸福を感じないやつがいるわけなかった!!
まあでも、氷人は素直な感想しか言わないから天然ボケってことで許してやってくれ。
お二人さん、幻覚かもしれないけど口から血が出ている気がする。
メンタル豆腐って…。
はたしてそれでいいのか。
豆腐どころかこの人の場合水。
ナカビさんの場合は吹いても塞いでも水ぶっかけても消える火だな。
我ながら言い例えだと思う。
「鬼に柊は効くんだって‥‥」
「うまい事言いますねナカビさん」
多分氷人の苗字が柊だからそれにかけたんじゃないかな。
正確には節分の時に飾る柊鰯とか鬼門に植える柊か。
その感想に氷人は「…なんかすみません」と返していた。
感謝と謝罪は一秒でも早く。
やっぱりしっかりしてるようちのリーダー。
それに比べてこの人たちは…。
「「ねえ思考で俺のメンタル削りに行くのやめて!!」」
「心でも読んでるんすか」
「「冗談で言ってるのに!!傷つく!!」」
なんだこの茶番。
メンタル修復速くお願いします。
てか冗談だったんかい。
ガチ返事しちゃったじゃないか。
{蒼桜ちゃん蒼桜ちゃん}
お、どしたんすかライナさん。
{何考えてたの?}
{うちのリーダーと違ってこの人たちは…と思ってました}
{正論ね}
イースさん入ってきた!!
そして正論って言っちゃうんかい。
ついでにライナさん腹かかえて声を殺して笑っている!!
コウ君、急に笑い出したと思って心配してるところ悪いんだけど、急にじゃないのよ。
[念話]で会話があったんだよ。
{正論って言っていいんですか?まあうちも思いましたけど}
{あたしも~}
{気が合うな同志よ}
{いいのよ。正論は正論なんだから}
四季神女子メンバーは全員そう思ってたらしい。
カイトさんとナカビさん、こんな失礼な奴らですみません。
これが天性の性格だから変えられないんだよね。
我慢してください。
世の中先輩を完璧に立てられる人材なんてそうそういないんです。
てか、ずっと伸びてんだけど大丈夫?
今日はメンタルお疲れDayなの?
海洋汚染とか酸素が足りない状況が発生してるの?
知らんがな。
「あ…そう言えば今日あの日だった」
急にどうしたんすかナカビさん。
心なしか嬉しそうなんすけど。
そのうれしい気持ちでメンタル修復はよ。
「あの日って何」
カイトさんが返事をする。
これ[認識阻害]なかったら大惨事なんだけど。
「月一でオニビが泊まりに来るんだよ…一時間くらいだけガルメラが来る…はず」
「あ、マジで?ついてっていい?」
カイトさんメンタル回復はやっ。
ナカビさんこれ知ってていったのかな?
なんか独断と偏見だけどガルメラさんがこのこと知ったら「ナカビさんの鬼!悪魔!人でなし!」って言いそう。言いそうというか思いそう。
タキト君の応用でかっこ見えないかなぁ。
無理か。
というか、カイトさんはガルメラさん好きなの?何なの?依存?
今なら尻尾をぶんぶん振ってるカイトさんが見える。
年齢は大人だけど精神年齢止まってんじゃないの?
それとも昔はボッチでできた最初の友達がガルメラさんだったとか。
あり得るなー。
なんならどっちもありそう。
ヘタすれば一部の女子が騒ぐレベルの依存度‥‥。
こりゃ重症だ。
氷人が朱夏に対する依存度が高いのと同じ原理かな?
異性と同性っていう違いはあるけど。
「いいけど、ガルメラのストレス増やすなよ?あんまり依存しすぎるのもよくないぞ」
「う゛…分かってる」
自覚あったんだあれ。
自覚無しにやってるもんだと思ってた。
ただ、ナカビさんの言葉には裏があるような気がする。
暗に他の奴にもかまってやれよと。
例えばイースさんとか。
前一緒に寝泊まりした時に無意識なのか、ずっとカイトさんを目で追ってるんだよね。
あれは恋でしょ。
朱夏も時々氷人を目で追ってるけど。
「お前らも来る?」
…。
あれ。
世界ランキングNo.1とNo.3とNo.5がそろうってこと?
奇数組って呼ぼうかな。
じゃなくて!!
何で!
前も!
言ったけど!
こういう主人公フェーズいらないんだってぇえええ!!!!
あーでもね。
これ断れないんすよ。
日本人はめんどくさくても断れないんだ!!
「ハイ」
「んじゃ俺達の家にご案内~」
ナカビさんがようやく地面に張り付くのをやめて立ち上がる。
カイトさんも同様だ。
そして、私たちはナカビさん達の家に向かって歩き出した。




