第六十八話 護衛だって!?武装国家なのに!?はぁ⁉
第二部第四章スタートです!
そのクエストを指さす朱夏を見つけるのにそんなに時間はかからなかった。
かかってたまるかって感じだけど。
「ん~なになに…“ファイラズアにおいて王の護衛”‥‥ふーん、護衛ね、護衛…ハァッ!?」
お前武力と言えば我が国にお任せあれって感じの武装国家じゃねぇか!
ハァッ!?
ハァッ!?(大事なことなので二回言った)
他のメンツもジト目で固まってるよ。
あ、氷人君はもともとジト目でしたねごめんなさいね。
{蒼桜~?}
{どうかしたかい氷人君}
{なんか考えたr}
{いや何も}
食い気味?
知らないな!私の辞書にそのような文字は乗っていない!
さて、横から刺さる目線が氷のように冷たくて痛いので話を戻そう。
武装国家ファイラズア。
七大強豪国五番目に作られた国で、イチリア帝国、ツゥーリア国、フォース国と同様に様々な種族が同じくらいの比率で住んでいる。
その名の通り軍事に力を入れているガッチガチの軍隊特化の国である。
だからといって昔なじみの頭カチコチのおっさんが王様でどうたらこうたらっていうのはない。
王族だからといって必ずしも優遇されるわけではないと。
優遇されるのはひとえにその人への信頼と忠誠心故っていうのを覚えておいてほしい。
基本的に王族が王位継承権を握るけど、特に長男だからとかは関係ない。
女性が王位につくこともあるし、何なら王族の婿養子や嫁いできた普通の女性が才能や人間性を認められて王位につくこともある。
別に婚約も強制じゃないし、どんな身分でも結婚オーケー。
こんな素晴らしい世界があるとは驚きだよ。
魔王いなかったらな。
さーて、そんな装備ガッチガチの武装国家がなーぜかこんなクエストを出していると。
これ怪しいよね?
全員で首を傾げ、[念話]で話し合いを開始する。
{これ怪しいよね?}
{うん、俺もそう思う}
{うちとしては報酬美味しいから受けたいっていうのが本音だけど…怪しいものに首突っ込むのもなんか…やだね}
おい、朱夏。
お前汚い大人たちと同じでお金に目が行くパターンだな!?
全国のお金に困ってらっしゃる方すみません。
そういう意味ではないです。
私が言いたいのはお金を使う方向性を間違っている時々いるバカな大人のことです。
まあ朱夏は手前でストップしてるから許すけど。
これそのまま安全を省みず突っ込んでったらちょっと軽く殴るところだったわ。
死ぬかもしれないけど知らない。
DEFがないのが悪い。
まあ加減はするさ。
流石に親友殺したくない。
{あたしとしては…まあ行ってもいいかなと思う}
{!!金央~、本気で言ってるー?}
金央が沈黙を破り、それに反応した秋白は少しおどおどとした態度で[念話]に不安の色を浮かばせた。
そりゃそうか。
最悪命の危険にさらされる羽目になるし。
ただ、金央が言っている意味も分からなくもない。
なんて言ったって、このクエストの期限が2日後なのだ。
期限、それはクエストを受けてから達成するまでの期限。
つまり、二日後に何かがあるというのと同義。
暗殺、内通者による裏切り、もしくは王自体が何らかの危険にさらされている。
そういう意味になる…はずだ。
ただ、別の懸念もある。
これがもし、意図的で嫌がらせのクエストなら?
冒険者を陥れようとしているクエストなら…。
実際このクエストの過去の挑戦ギルド数は100を超えている。
だというのにクリアできていない…?
そして、挑戦ギルド数の横にひっそりと書かれているその数。
普通の横枠をさらに区切って上と下の欄ができているその欄。
上が生存者数。
下が死亡者数。
ギルドによってチャレンジする人数には違いがあるので挑戦ギルド数よりも総数が多いのはまあいいとしよう。
下は561。
それだけ難しいんだな、とこれを見ただけでは思えるはずだ。
これを見ただけでは。
上の表記を見て私は顔をしかめる。
その文字。
生存者数、0。
これは果たしてどういうことだ?
世界に十万ほどあるギルド。
そのうちの二割はここ、七大強豪国に集まっている。
つまり、二万。
先のクラーケンでは挑戦ギルド数50で生存者数91、死亡者数148という大打撃。
他のクエストでも世界では一日に万単位の死亡者が出る。
その中で急激に数百単位で死亡者が増えている。
魔王の復活前に戦力が削られている、ということと同義だ。
これは人の仕業?
それとも、モンスター?
私の勘ではどちらでもない。
二択、二択なんだ。
1、今まで通りボスモンスター。
これならまだ念には念を入れる、で済む。
最悪まだこの国にいるカイトさんにもついてきてもらう、もしくは受けさせるという方法もある。
勇者様も勝てないようじゃどうにもならないし。
そもそも魔王より弱いなら大丈夫。
ただ、この先だとちょっと雲行きが怪しい。
2、魔王の直轄のモンスターである悪魔種の仕業である場合。
悪魔は魔王の思惑通りに動く。
それが、厄介。
それは魔王がもう復活してて、着々と人間をつぶす準備をしてるってことだから。
ああ、いやな予感が止まらない。




