第六十三話 いやな予感は当たるもので。
「んでそこが和菓子屋」
「ほえ~」
指さし指差し町の店や景色のいいところを案内してくれるカイトさん。
ホントはマジで善人なんだなーと失礼なことを考えると彼はまたなんか考えたろ?と怪訝な顔をする。
それに私たちはアハハ…と返すことしかできないのだ。
買った和菓子を食べながら街を見下ろす。
今現在いるのは山の上の方、すなわちこの国の国王様がいるであろう城の近くである。
ディア湖はその水の色を茜色に変えて光っている。
にしても和菓子美味いわ。
和菓子っつってもどら焼きだけど。
話がそれた。
この国はなかなか広くて一周ぐるっと回るのにおよそ2時間。
現在の時刻は18時。
夏とはいえ、そろそろ日が暮れ始めている。
今日はだいぶ疲れたな~。
‥‥そういえば今日泊まるところどうしよう。
別に紹介された宿なんていくらでもあるからその中から適当に選べばいいんだろうけど、カイトさんがそれを許してくれるかどうか。
だってこの人最悪なパターンなら一緒に泊まろうぜとか言いだしそうだもん。
流石に夜くらい休ませてくれと私は言いたい。
何でかって?
町を歩いていると皆様の目線が痛いからだよ!
勇者様は注目浴びやすいから!!
例えるならトッププレイヤーと一緒に居る見たこともないプレイヤーを見ているその他大勢的な?
そんなかんじ。
こういう空気嫌いなんだけどなーー!!!
他のメンツもそんなかんじだ。
{これどうする?}
{…どうするって言っても、カイトさんが絶対離れないと思うからどうもできない}
{現実は残酷だ…}
{おーちゃん諦めんなよォ!!!!}
{朱夏うっさい}
{もうなるようになればいいんじゃないかな~}
うん、秋白、それ賛成。
時の流れに身を任せよ。
どうなったって我は知らん!
ん?
何で会話してんのって?
今回のクエスト報酬のスキルが[念話]だったから。
これ結構世界中のギルドの皆様が使われているらしく、世情に疎い私たちは取得してなかったんだよね。
まあ、そんなこんなで無事取得し、軽い作戦会議くらいならできるようになった。
盗聴?
我らがMAT極振り野郎の朱夏様にそのような手が通じるとでも?
無論複雑な魔法回路的な奴でガードしてるから一朝一夕には解除できない。
ついでに入ろうとしたら朱夏が反応するし。
何回かちょっかいかけるようにしてカイトさんが入ってこようとしたけど朱夏がソッコーで蹴った。
物理じゃなくて[念話]上で。
それやった後にカイトさんが「この子らやっぱ強いわ…」と親目線でつぶやいていたのはしっかりと聞き届けた。
おかげで気楽に雑談ができるというものだ。
まあ、現実逃避はこのくらいにして、マジで真剣に考え‥‥
ようと思ってやめざるを得なくなった。
「今日一緒に泊まる?」
{{{{{キターー‥‥}}}}}
全員が心の中で天を仰いだ。
ないわー。
ソッコーでフラグ回収するとかないわー。
そして後ろのイースさんの視線が痛い痛い痛い!!!
死んでまう!目線で人殺すのやめてくれ!!
依存してるんですか⁉
依存してるのか先ほどからカイトさんを避けているのがばれてて失礼だとか何だとか考えているのか。
どっちにしろ恋してるじゃない。
それか別の方向見てるつもりだったりとか?
最後の線は薄いかな‥‥。
「いや…悪いですよ」
「いーじゃんいーじゃん。思い出の一つとしてしまっといてよ」
氷人が断ろうとすると断りづらい言葉を並べる勇者様。
この人言葉の使い方がうまいっ…!!
氷人がめっちゃたじってる!!
ご、ごめんよ。
ただやっぱり落ち着けそうにないから思い出にするのは…。
{ムリダー}
{あーちゃん思い出位にはしといたげてよ!}
{それもそうだわカイトさんごめんなさい}
[念話]に出てた⁉
マジすいません。
思えばなんで私たちはカイトさん敵視してるんだろ。
何で嫌ってんの?
‥‥。
単純にめんどくさいからかな。
それは理不尽だから今後は態度を改めることにしよう。
さて問題です。
この誘いを断るとどうなるか。
A。イースさんの視線が痛いです
逆にこれを了承すると?
A。まあまあいい感じに落ち着く。
よし身の安全のためにも了承しとこう。
{ということで氷人よろしく}
{なんで俺?ついでにどゆこと?}
{リーダー格だから?あとそれは気にすんな}
{わかった}
理解が早くて助かるぜ我らがリーダー。
話はそれるがお気づきだろうか。
氷人が割と砕けた話し方で[念話]していることを!!
どうも口に出すのが苦手らしいので、こういう心の中をそのまま代弁する感じなら普通の男子中学生並みの会話ができるのである!
戦ってるときとか切羽詰まってるときはそんなこともなくなるけど。
ディウラ戦最初の「伏せろ!」はそこら辺の女子なら普通にときめくんじゃね?
私としてはその後の秋白の姫抱きの方が精神的に来たけど。
その後二つ返事で氷人が了承するとカイトさんは嬉しそうに「じゃあついてきて」と笑った。
この善人の誘い断れねぇ‥‥。




