第六十話 何回会えば気が済むのですか
「あれ、なんか塩対応されてる?」
「カイト、いつものことよ」
「イース辛辣じゃない?」
塩対応はしてない!
ちょっとめんどくさいと思っただけだ。
うん。
断じて塩対応をしたわけではない。岩塩対応をしたわけでもない。
普通の反応だ。
さて、我々の人生で何回目なのだろうか。
ゆーて二回目か。
金央からしたらもうちょいあるかな。
それでも二桁いかないと思うけど。
そもそも勇者様とここまでよく合うのっていかがなものなのか。
この世界の人平均どれくらいのペースで勇者様と会うんだ?
多分私たちのペースは異常だと思う。
だって一か月しかスパンないもん。
異常でしょ。
これどれくらい異常かって米国大統領に「よっ」って手を振られて向こうから友好的に話しかけられるのが一か月に一回たまたまあるくらい。
これ異常だろ。
一般市民なのに何を思ってか親しくしてくる超有名人。
これは異常だよ。
米国大統領はホワイトハウス付近うろうろしてたら会えるかもしれないけど…勇者様は基本ふらふらしてるから会える率低くね?
そう考えるともうちょい確率低いのか。
そんな人に二回会っている私は何なのか。
しかもほとんど店の方には顔出さないらしいからマジ奇跡。
そんな天文的確率叩きださなくていいんだよ。
秋白のLUK極振りは何処行ったんだよ。
それともこれが幸運だって?
どこが?
こんなこと言ったら殺されるね☆
「…してませんけど」
「今の間何?」
まあこのなっがい思考時間の後だったらそうなるわな。
でも氷人はそういう子なんです。
まあ、でも、今回は間が長かったから完全否定もできんけど。
多分氷人の…の部分には“塩対応は”が入るんだと思う。
どことなく冷えた空気にカイトさんが「あれ、俺って嫌われてんの?」という顔をしている。
違います。
会う回数が多いのとそれまでのスパンが短すぎて唖然としているだけです。
後、ちょっとめんどくさい(本日二回目)。
結局塩対応じゃないかという声は聞こえなーい。
「…カイトさんはどうしてここへ?」
お、氷人ナイス。
まあうすうす疑問には思ってた。
だってあの人話聞く限り世界回り終えちゃって呼ばれたら即テレポートできるから自宅or拠点待機してるっぽいし。
なら何でここにいんのって話になる。
わざわざ港国から行く必要性がある場所ってどこよ。
今は船も運転見合わせしてるし、行ける場所少ないはずなんだけどな。
行けるとしたらちょっと遠くにあるイチリア帝国くらいじゃないかな。
べつに武装国家に行けなくもないんだけどそれならカイトさんはテレポートした方が早いでしょ。
マジで何が目的だ?
「ん、君らの見学」
「は?」
は?
え。
ん?
‥‥。
えーと?
はい?
思いっきり困惑の表情を見せると彼はアハハと笑う。
後ろにいるほかのメンツは苦笑い。
知らない人が一人いるけど、ニャズさんに似てるから多分姉妹じゃないかな。
いや、そんなことより見学って…。
見学せずにあなたたちが倒したほうが早いのでは?と思うんだけど。
というか、私らに回したのあなたですか?
可能性はなくはない。こういうのしそうなのカイトさんかナカビさんくらいじゃね?
ナカビさん会ったことないからわからんけど。
どっちにしろ末代まで呪う。
流石に呪ったら罰当たりそうだからしないとして、ほんとうにこの人はつかみどころがない。
18歳なのに10歳を相手してる感じがする。
時々いる子供大人、その典型例がこの人じゃないか?
コウ君の方がまだ大人なのでは?と思ってしまう私はたぶん正常。
世界中の皆様も同じこと思ってるでしょ。
「ちょ、今失礼なこと考えなかった?」
「イヤベツニー」
何で勘が鋭いんだか。
そういうところの勘の良さはいらない。
思わず棒読みで言っちゃったじゃないか。ばれるよ。
失礼なこと?事実を言っただけなんだが、なにか?
「…見学とは言いますが、あなたが倒したほうが早いのでは?」
「クエストの邪魔するわけにもいかないからね~。危ない時以外は基本傍観するけど」
氷人の正論を軽く欠伸をしながら受け流す。
まあ、危なくなったら助けたげるよっていう意味だと思う。
そこは優しいよね、この人。
ただ、それだけの理由なら付き合わされているのは後ろのメンツだからおいてきてよかった気がする。ついでにニャズさんの姉妹だと思われる人を連れてくる意味が分からない。
そんなことを考えていると、彼は答えを教えてくれた。
「まあ、それも一つあるけど、ちょっとこいつらの帰郷に付き合うの」
「付き合うって言ってるけど自費でついてくるのはいつもお前にゃ」
「あ、ちょ、ニャズそれ言わない!」
ナカイイナー。
このパーティ可愛いな。
これが最強か~。
だいたい最強って一周回って子供っぽくなるよね。
それはどの漫画や異世界でも共通なのかな。
「氷人、そろそろ3時なるよ」
「…ん」
現在14時50分。
乗船は開始されているはずだ。
私達が踵を返して船の方向に進み始めるとカイトさん達もついてきた。
まあ、マジで危なくなったら丸投げすればいいやと思う。
でも、目標は自力で討伐だけど。
湖からの風が吹いた。




