第四十一話 主人公フェーズは続いているようで
しばらくエイフィーネの情報を集めていると、空は黄昏時を表す絶妙な紫色をしていた。
今夜はこの街の宿屋で泊まることになりそうだ。
冒険初心者という立場上そんなに贅沢もできないので、割と安い宿屋に泊まる。
安くても十分休息をとるには快適だ。
2部屋とり、女子部屋と男子部屋で別れた。
女子部屋に集まり、明日の作戦会議をする。
クエストの期限は一週間後。
まあソッコーで終わらせて観光したり文献読んだり探したりする予定。
マルアカヒーリーフはトランプのダイヤと言えばわかるだろうか、数学的に言えばひし形の形をしている。ひし形の葉っぱは見たことがない。故にすぐわかるだろう。
マルアカヒーリーフが自生しているマルアカの魔林。
基本的に狩りや採集以外では立ち寄らない危険区域。
採集するにしても護衛を付けるか、実力者が自ら採集に行くかの二択だ。
魔林、というくらいだからモンスターの宝庫なのだろう。
そして、この魔林は数年に一度危険度がかなり高いモンスターが発生するそうだ。
マルアカの暴君と呼ばれるそのモンスター、前回現れた時は勇者御一行がサクッと倒していったらしい。暴君がかわいそうだ。
「とりあえず、氷人の攻撃効かなかったら諦めよ」
「…なんか責任重大?」
「いや?あくまでも目安だから」
それを責任というのよ朱夏。多分だけどね。
作戦会議これで終了。
いいんだろうか。
よくないと思うけど。
ボスに対して軽すぎるけど。
いいんだよ、この五人だから全て許される。
比喩でも何でもなく。
「おやすみー」
「ふぁぁ…あーちゃん起こしてね…」
言った直後に即寝る朱夏と金央。
この二人マジで変わらないな…。猫型ロボット出て来る漫画の主人公並みだわ、寝付くスピード。
はぁ~…明日、頑張ろ。
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翌日、もう一度ギルド集会所に来た。
回復系のアイテムを売っているため、少し買おうと思ったのだ。
商品を籠に入れて会計に持っていこうとする。
因みに、買っていない商品はインベントリに入れることが出来なくなっている。
そこも機械神さんのシステムらしい。
この神様防犯対策すごいよな。
そう思っていたら、軽く誰かと当たってしまった。
「あ、すみません」
「いえいえ…こちらこそ」
青い髪を個性的な髪形にしている少女は軽く会釈してどこかに行ってしまった。
…フラグ成立。
アマリリスさんじゃんかよ。
現No.4ギルドネイティアのNo.2!
ねえ、前々からずーーーーーっと思ってるけど主人公フェーズすぎない?
主人公フェーズメラルドさんのところで終わってると思ったら続いてたよ☆
めでたくないからな。
正直言って注目されてちやほやされるのが目的じゃないんだ。
安全に異世界ライフエンジョイするのが目的。
そのために生活資金を稼ぐ必要があるわけで、それに一番適しているのがただのクエストってだけだよ!?なぜ主人公フェーズになるんだよいらんよ!
勇者様にでも上げてください。あの人主人公でしょ?どうせね?
まあいいや、さっさとクエスト終わらせて観光しよう‥‥。
そう思い、会計をさっさと済ませた。
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「ただいまですー…ってリーダー!紅茶飲みながら寝るのやめてくださいと何回言ったら!」
目の前で黄緑色の髪をした美女が紅茶カップを盛大に傾け、紅茶を盛大にこぼしながら寝ている。座ったまま。ノンレム睡眠中なら何より。レム睡眠に移行したとたん大惨事になるから。
これが我らがリーダーですとは言いたくないというのが本心だ。主にこういうところが。白い服を汚してなお気持ちよさそうに寝ているのはなかなかにシュール。
服は後回しにしてカップを彼女のてからはずし、次に揺さぶって起こす。
……ただ、この人ほとんど起きない。
起きない場合、強行手段としてとある言葉をかけないといけない。じゃないと本当に起きない。
「リーダー、一週間さつまいもケーキ禁止ですね」
「ま、まってアマリリス!ちゃんと起きるから!」
「リーズにいっておきますねー(棒)」
「やめて!やめてちょうだい!」
知らないです。自業自得ですから。
さつまいもケーキ毎食食べるので食費がヤバいんです。察してください。
「えー、そんなことはおいておいてですね」
「私にとっては死活問題よ!」
「あーはい。ギルド集会所で噂の五人組の内の一人らしき子に会いました」
「ふぅん?カイトさんが愚痴ってきた五人組ですね。あの人けっこう拗ねてましたね」
そう言ってフフっと笑う。
基本的にギルドメンバー以外は敬語で接する彼女。年齢はトップ5の中でも高い方だからかどことなく母性本能的なものが垣間見えるときがある。コウ君はまだしもたかが4~5歳ほどしか違わない勇者様にそれを抱くのはいかがなものかと思いますけど。
「アマリリス、今失礼なこと」
「いいえ、何も」
に、しても。あのカイトさんの話題に上ってくるとは、けっこうくせの強い子達なんですかね?
次あったら食事にでも誘ってみようかしら。




