第一話 目覚め
ようやく異世界ライフスタート。一回森で寝てみたいな…。
ピチピチという鳥のさえずりで脳がたたき起こされる。
蛍光灯の強い人工的な光ではなく、上から優しく照らす木漏れ日のような自然な光が目の前で揺れる。目を閉じているから周りは見えないが、確実に学校ではない。音が違うというのもあるが、まず寝ころんだ状態ならば先生にたたき起こされ…ん?ってことは先生は起きていない?
周りの状況を確認しようと、目を開けて、一気に注ぎ込んできた光に目眩がする。思わず目を閉じ、もう一度開くと、そこは緑と光の世界、自然豊かな森の中。下は草が生い茂っており、幸いにも土まみれという女子としては最悪な目覚めは避けられたようだ。
周りを見渡すと、クラスメイトの大半はそこにはいない。いるのはいつもの五人組。自分と朱夏、秋白、氷人、金央だ。
寝たいなら寝かせればいいと思うのだが、どうしてもあの赤髪と金髪には制裁したくてたまらないので、さっさと起こして男子が起きる前に状況把握を済ませてしまいたい。
二人のそばへと歩きながら、頭を回す。なぜここにいるのか。そして何によって?科学的に考えると結論は出ない。だが、オカルト含め考えると必然的に答えは出て来るものである。
「七不思議七番だな…気持ちよく寝ようとしてたところ邪魔しやがってこの野郎…」
そうつぶやいたが、結果的に日光に当たりながらゆったり寝られたので結果オーライだ。何なら先生にも怒られない。
さて、殺したくなるほど気持ちよさそうに寝ているあの旧友コンビのそばまでやってきた。
因みに朱夏は耳がいい。少なくとも休憩時間中に八メートル先のひそひそ話が聞こえるくらいには。もうすでに人間をやめたほうがいいと思う。
「さぁて…起きろォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「わ゛ァアアアアアアアアアアア!」
大声で叫ぶとすぐさま反応して叫ぶ朱夏。ただし、男子と金央は起きない。金央はともかく、男子は昨日のゲームでお疲れなのだ。さて、金央の起こし方だが、一番効果があるのは…。
「エー脇腹よーし…これよりこちょこちょの刑に処します(笑)」
そして、初めて2秒とたたずに金央は起きた。
「ちょ、くすぐったい!くすぐったァあはははははは!(割と悲痛な叫び)」
一分後
「ひぃ…ひぃ…ちょ、許して…あとここ何処…」
ぜぇぜぇと息を吐きながら金央は尋ねる。因みに男子はまだ熟睡中である。
「分からないから加害者二名起こして労働させようとしてるんでしょうが」
「「労働はひどい」」
加害者が何言ってんだと思いながら、寝顔がかわいい男子二人はその場で寝かせておいて、周辺の探索に乗り出した。




