第二十八話 決勝。
いよいよ決勝戦。ツートップの熱戦開幕。
「仲良かったねー」
「そうだねぇ」
…。
仲良くケンカしてた。ハイ。
某ネズミと猫の追いかけっこアニメ的な?
あの二人は殺しあいしてと言われてもできなさそうだなーと思う。
その前に二人して自害しそう。
…冗談じゃねぇ。
ただの憶測と偏見でものを言ってはいけない。
次は決勝戦。
ステータスを見た今、全員思うことは同じ!
勇者さんが勝つんだろうなー。
な?うん。
いやもちろんさ、最弱ヤローが成り上がってたりだとか弱者が強者を罠とか毒とか仕掛けてどんどん進化していくラノベや漫画もあるけれども。
流石に強者だし罠もはらんやろあの勇者様に対して。人間が。
アラクネとかトラップ持ちとかがいたら話は別だけどあいにくそんなマイナーな種族も武器持ちもインフェルノにはいらっしゃらない。
そもそも虚がつける属性がほぼないのが問題。
勇者っていうのと出したスキルから見て属性適正は脅威の四つ…くらいあるんじゃないかなと思う。
水、火、雷、光。
木は火で燃える。
地も水の前では無力。
金は若干であるが火に弱い、ついでに水も。溶けるし錆びるから。
闇も光と打ち消しあって消えてしまう。
空も火で消える。
魔も雷で消される
聖はほぼ回復やバフだけ。
毒は熱=火に弱い。
霊はそもそも使う人が少ないしRESがあるから効くかどうか。
氷も火にかかれば一瞬で溶ける。
霧は主に幻術だからやっぱりRESで防がれそう。
精霊は…ほぼほぼ加護を与えるだけの属性だから除外。
残るは無属性。けどこれも取得がムズイ。
で、これについて五人で話し合った結果、火力でごり押しするしかないんじゃないかと。
だってあの異常なステ。
頑張ってどうにか火力が防御を上回るようにしたら行けるんじゃないかなーと。
もう一個案が出たけどそれはほぼ無理ゲーなので諦め。
何で勝とうとしてるかって私らじゃなくレンゴクさん達の勝算を導き出してみたいから。
結末がわかっているけど折角だしっていうことで暇つぶ‥‥ゲフンゲフン、推理するのだ。
ただ、それも終わったので後は全員で覚悟を決めて試合観戦するだけである。
覚悟とは、勇者様の本気を見る覚悟。
さっきの試合でさえ若干手を抜いていたようにも見えたためである。
実際のところは本人しか知らないだろう。
…ついでにこんな感じで試合から目をそらしているのには理由がある。
実はもう始まってる。
見たくない。
というかここにいたくない。
両者の覇気がすごすぎる。
現在二組総出で遠回しな今までの試合はしていない。
正面衝突、マジな殺し合い。
殺せる勢いで攻撃を仕掛けていく。
さっきまではエンターテインメント。
所詮お遊び。
少なくとも勇者様にとっては。
レンゴクさんにしてもそうだろう。
その二人の本気は。
「『炎帝煉獄』っ!」
「『海神』!」
灼熱の炎が舞台上を照らし、焼き、溶かす。
観客席前には結界があるため攻撃は飛んでこないが、熱は伝わってくる。
熱い。
舞台上ではカイトさんによる水の刃が拡散され、豪雨のごとく降っている。
こちらは寒い。
ポセイドン、海の神。
ここで確定するのはこの世界はやっぱり地球に近い。
文化が融合しているといっても過言ではない。
なぜ?
そもそも神の名前がついているスキルがあるということさえ驚きだ。
多分神級スキルという奴。
灼熱の地獄とそれを冷やす水。
地球の始まりの頃はマグマオーシャンから発生した水蒸気で雲ができ、その雨が徐々にマグマを冷やして海になっていったと言われているが、まさにその状況だ。
双方のHPがじりじりと減っていく。
カイトさんが持っているであろう[火炎無効]をいともたやすく貫通している。
それほど火力が高い一撃。
そしてレンゴクさんのHPがそこまで激しく減っていないのは恐らく、レンゴクさんの二つ目の属性適正である氷が関係してくる。
氷は水に対して優位に立てるからだ。
凍らせれば主導権が自分にわたる。
故に耐性も手に入りやすいだろう。
加えて毎年行われるこの大会でいくらか耐性のレベルが上がるに違いない。
刃の雨、灼熱の地。
カザンさんはニャズさん相手に後手に回り、ヒバナさんとヒドリさんはイースさんとラズーリさんと相対している。炎とその他さまざまな属性攻撃が飛び交い、時折金属音が響く。
先ほどの試合が可愛く見えるほどの地獄絵図。
その中心はやはり二人のギルドマスター。
「前々から思っているがお前のその異常なまでのステータスとスキルは何だ」
「俺が「勇者」だからとしか答えらんねぇ。おっしゃ続き行くぞ」
「三年連続同じ答え…」
レンゴクさんは片方の槍で攻撃を受けながらもう片方の槍に炎をまとわせてカイトさんに向かって突き出す。それを彼はいともたやすく見てから避ける。
カウンターと言わんばかりにカイトさんは[渦潮]をまとわせ、横薙ぎでレンゴクさんを攻撃した。
それすらも炎で蒸発させる。
会場の熱気も今までの倍以上。涼しさは何処へやら、灼熱の赤い光が会場を包んでいた。
年に一度の熱戦がここに開幕した。




