第十七話 控室平和。
ナカビはお前なぁといった感じでカイトをにらむ。その横にはNo.5のメンバーであるオニビがいる。ナカビとオニビは瓜二つといっても過言ではないくらい、似ている。見分け方は少しだけある身長差と角の数。ナカビが一本なのに対し、オニビは二本だ。
「全員お前強すぎて勝てないの自分が弱いせいだとか何とかちったあ思っちまう訳。んで気に病むっていう。その異常な強さはどっからきてんの?」
「秘密~♪」
笑顔で胸の前で指をクロスさせ、「×」を作る。
まーた始まったとニャズは思う。結構長い付き合いだが今でもたまにイラっとする。
「またそれかよ…。まあ俺は良いんだけどな?レンゴクとかガルメラのストレス量が半端じゃないのよ。そこんとこどうなん?」
ナカビがレンゴクと呼ばれた男性の方に目線を移す。No.2ギルド『インフェルノ』ギルドマスター。青い髪と緑の目を持つ彼は名前と見た目が合わないというコンプレックスを抱えていると同時にナンバー的には一番カイトに近いはずの自分が圧倒的な差を見せられてストレスがものすごいことになっている。
ガルメラの心労の原因はほかにある。
この勇者様、なかなかに難儀な性格をしている。いい意味でも悪い意味でも人懐っこいのだ。
No.2~No.4は拠点がフォース国にあることもあり、気軽に会えるのだが、年が同じガルメラはフォース国外に拠点を持っている。同年代は少ないため、なんとなくさみしいのだろう。だからか、年に一度、確実に会えるこの日はカイトは暴走するのである。
元々捨て子という立場、イースもその時一緒に捨てられたそうだが、その時点で同年代の同性の友達がいなかったことが今の彼の性格に起因しているのではないか、なんとなくだがここのメンツはそう思っている。表面上迷惑がったりはしているものの、本気で迷惑とは思っていない。
そんな中、レンゴクはふうとため息を一つつき、口を開く。
「大半はコンプレックスに対するストレスだ、あとは特に」
「ならいいですけど…無茶しないでくださいね」
ガルメラが心配そうに言うと、オニビがおいおいと口をはさむ。
「それ見事にブーメランだぞお前」
「う…」
ガルメラもガルメラで結構無理する性格をしている。そこを踏んでの指摘である。
なんだか微妙な空気になったところで、黄緑色の髪をした女性が提案をする。
No.3ギルド『ネイティア』のギルドマスター、ネイルスである。蒼桜が人を殺せそうな笑顔をしていると評した彼女である。ただし、今は聖母のような顔をしている。
「ナイファズアと妖忌は次の試合があるのでしょう?ルーティーン等はやっておくことをお勧めしますわ」
その声を合図にナイファズアと妖忌の面々がそれぞれのウォーミングアップやルーティーンに入る。
何もしない者もいれば、ストレッチをしたり、素振りをしたりする者まで様々だ。
その中でレンゴクの隣でずっと立っている女の子はカイトをにらみ続けていた。それに気づいたカザンが注意する。
「ヒバナ、勇者様を目の敵にするのもほどほどにね‥うん、レンゴクさんが勝てないのでやきもきするのはわかるけど、世界一位くらいの実力ないと勇者としてはきついかもよ」
(カザンナイス・・・あの女隊長こえぇ)
睨む目線がやんだことでカイトはなんとなく安心した。
インフェルノでは人数が多すぎるため、3つの大隊とそこから分岐する数百の小隊によってグループを保っている。小隊の内でメンバーをまとめるにふさわしいと認識された人物は小隊長、大隊の隊長、そして副隊長は単なる実力で役職を授けられる。このシステムを取っているため、インフェルノが世界一ギルド決定戦に出るときは必ず大隊の隊長か副隊長が出る。
そのうちの一人が一番隊隊長、ヒバナである。
レンゴクを敬愛してやまない彼女はレンゴクの敵には容赦ない。それこそ目線で人を殺せるくらいの殺気を放つこともある。良くも悪くもいい部下である。
カザンは三番隊隊長。残り一人の隊長、ヒドリは今は室外に行っている。
「ところでネイルス、他のメンバーはどうした」
レンゴクがネイルスにたずねる。ネイルスはふふっと笑って答える。
「あの子たちなら休憩時間を利用して町の甘味処に行ってますわ。若いっていいわねぇ」
全員があなたまだ20代だろうと心の中で突っ込んだ。
次回も控室です。




