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天才たちは異世界での極振り生活を夢見る※改訂版更新中(あらすじにリンクあります)  作者: 月那
第一部 第零章 プロローグ~七不思議に引っかかった~
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第零-二話 成績上位者はゲームがしたい

途中から蒼桜視点になります。


蒼桜の家に集合した4人…ともう一人、金髪の少女は課題をしていた。


「もうそんなところやってるの…?公立遅すぎる・・・」


金髪の少女はそうこぼす。羨ましげに4人の問題集を茶色の目で見つめながら。


「おーちゃん…涙を拭きな…」


そう言って朱夏はおーちゃんと呼んだ少女にハンカチを差し出す。その光景に残り3人は苦笑いする。


金央オオ…じゃあ何で受験しなかったの…」


蒼桜がそう聞くと金央はふぇ?と答える。


「面倒くさかった」


その答えにだめだこりゃという風に頭を抱える蒼桜。

彼女は中龍金央チュウリュウ オオ。彼女は四季中学ではない公立中学校に通っているが、そこでは学年トップの成績を維持している。彼女は朱夏の幼馴染で喧嘩をすることはほぼない。モノ作りが好きな彼女にとって受験というのは大幅に好きなことが出来る時間をロスしてしまうので、受験しなかった。それだけの理由なのだが、ここにきて影響が出始めている。


そんな会話をしているうちに全員の課題が終わったようで、蒼桜はTVの電源を入れる。番組は表示されず、代わりにゲームのスタート画面がBGMと共に映し出された。

数分後、にぎやかな会話とゲーム機を操作するガチャガチャという音が響き始めた。彼らは天才でありながらゲーム、アニメ、漫画…そういった日本を代表するエンタメ文化を愛してやまないゲーマー達でもある。


じゃあ何で勉強できるのか、ということだが…

まず、彼らにも得意分野はある。それぞれの得意分野は親の影響だったり、興味があったりしてなんとなくスルッと覚えられる。DNAとかそういう感じでなぜが覚えられる。もうこれはある種のハンデを持っているレベルだ。もう一つはゲームに関連することで…。


「何でこの火球まっすぐ飛ぶの?」


疑問に思ったことをすぐ口に出す秋白。それにTVの方を向いたまま朱夏が答える。


「それなりの重さあるんじゃない?軽いものッて空気抵抗受けてあんまり飛ばないし。でもそうしたら威力がねぇ…爆薬なんぼよ」


その直後朱夏はゲーム世界の土はどれだけ堅いのかとか、なぜ切られても切り傷がつかないのか…などの質問を他4人に浴びせかけながら着々とゲームを進めていく。ただ、それを解決するのは大概彼女なので他のメンツはお前だよという目線を送っている。


そんなことは露知らず、彼女はゲームに出てくるモンスターをスケッチし始める。


見てわかるように彼女の得意分野は理科、そして美術である。

理科は数学や国語の計算力や読解力なども問われる教科で、そこのところ応用すれば数学と国語でもまあまあいい点が取れたりする。それに加えて他4人のそれぞれの得意分野解説を吸収した朱夏はぶっちぎりで頭がいいのだ。


そして、蒼桜は数学、秋白は社会、氷人は体育、金央は英語と技術がそれぞれ得意分野であり、その分野に関しては天才と表したほうがいい。


そしてこういうゲームというのは科学的に考えてみたり、生物学的にはどうだとか、戦いにおいてこういう戦法は歴史上でだれが行ったとか、そういうのをついでに考えてみると案外覚えられるものである。


つまり、ゲームを副教材にして勉強中、ということである。

彼ら曰く、だが。


そんな天才たちは常日頃異世界に行ってみたい、そこで生活できたなら、一生現世に戻れなくてもいいと思っている。だが、現実世界ではほぼ無理に近いので半分諦めである。


約数時間後、空も暗くなり、時計を見た5人。そろそろ帰らなくてはならない。


「…18時、なったから、そろそろ…」


氷人がそっとその場を後にしようとすると、朱夏が彼の服を軽く引っ張って止めた。それをいやな予感がするとでもいう風に強行突破しようとする氷人。それでもなお朱夏は手を離さない。


「後、もう少し、やりましょ?」


その言葉にため息をついた氷人はストンッと元の居場所に戻った。

それから21時までゲームは続いた。


翌日。


「あの赤娘~‥‥ついでに金娘も‥‥」


カフェオレ片手に蒼桜は空に不満を吐き出した。


21時までゲームをしたうえ、それから風呂に入って寝るとなると22時にはなってしまう。そしてベッドに入ったとしてもブルーライトで目がさえてしまってなかなか寝付くことが出来ない。基本的に21時には寝ている5人にとってこれ以上の大打撃はない。しかも加害者二名は何があろうとも3分ほどで寝ついてしまうので被害はこちら側にしかないということになる。なんとも理不尽だ。


それと並行して蒼桜の脳内ではさらに大変なことが起きている。ぼーっとしていると身近にあるものを計算しだすのだ。意図的ではなく、自動的に。


(カフェオレは現在3本目、3人だけで150円のカフェオレを9本買った、ということになる。自販機が得をした…。合計が1350円で原価は一本当たり44円。差し引き954円の利益を飲料会社が得たことになる。これのおかげで今月のお小遣いが5000円を切った…)


こんな感じのことが頭の中で渦巻いているのだ。当然周りからの声は聞こえにくくなる。


「…お、蒼桜!大丈夫ー!?」


「あ…」


秋白が心配そうにこちらを見ている。大丈夫と言いかけて時計を見る。


「っ!?始業2分前だと⁉」


その衝撃で一気に目が覚めた。とはいえ教室までは30秒。授業の準備もしているから特に問題はないのだが、それ以上に5分以上ぼーっとしていたのかと自分で自分にあきれた。



2021/4/7 少し修正と文を追加。

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