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天才たちは異世界での極振り生活を夢見る※改訂版更新中(あらすじにリンクあります)  作者: 月那
第二部 第八章 上空の敵意~因縁の対決ってこういうことですか~
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FS-2 邂逅・青龍

お久しぶりの美雪ちゃん目線です。

FS2


ついた場所は自然豊かな場所。

樹齢何千年ともとれる大木が密集しているが、今歩いている場所は怖いくらいに木がない。

地面も踏み固められている。

という事は、人の出入りがあるということだ。

果たしてそれが人類であるか、は置いておいて。


しばらく歩くと、巨大なツリーハウスが現れた。


「うっわスッゲェ・・・。俺ここに住みたい」


なんか言っているバカがいるけど、無視。

住みたいって・・・。来る途中にモンスターに襲われるけど?

とりあえずあそこが目的地だと思い、足を進める。


__頭をぶつけた。


・・・。

自分でも何が起きたかわからない。

だが、確かに何かがそこにある。

触れることができるが、害はない・・・。

結界?


相当気配が薄い、のに強い。

普通、私くらいのステータスだったらスルッと抜けられるんだけど。

つまり、これを張った主は私より幾分かステータスが上ということだ。


「仕方がない、か」


おそらく、この結界全てを破壊する事は無理。

なら、一時的に穴を開けて通る。


「『氷塊』」


詠唱をすれば、巨大な氷の塊が斜め上に発射され、通り抜けていく。

通り抜けられる、という事は結界は破壊できたのだろう。

・・・ツリーハウスに向かって行ったけど、気にしない。

とりあえず、塞がる前に全員が通り抜けた。


__その瞬間。



『侵入者』



「!?」


見上げると、そこには優雅な出立ちの青い東洋風の龍がいた。

鱗は青と桃色のを融合させたような、綺麗な色をしている。

どこか、青空に映える桜を連想させた。

もし、今のように張り詰めた空気じゃなかったら、後10時間ほど眺めていても飽きないだろう。

美しい、の一言に尽きる。

・・・もっとも、その圧力で、そんなことを考える暇なんてなくなったけれど。


『ここに何か用』


少女のような声で語りかけてくる龍。

うっすらとだが、彼女と同等の気配が後4つ。

ツリーハウスの方でこちらの状況を静観しているようだけれど、いつ襲ってくるかわかったもんじゃない。


ただ、要件によっては見逃してくれそうではあるので、とりあえず会話を試みる。


「勇者の剣がここにあると聞いたから」


『あー』


なるほど、というふうに龍は返事をしてきた。

そして、私たちをジロジロとみる。

・・・まだ見る。

・・・・・・ずーっと見てくる。


・・・・・・・・・・・・。


ウザッ!!

いや、侵入したのが悪いけど、そこまで見なくても良くない?


『名前は』


唐突に名前を聞いてくる。

まあ、機嫌を損ねたら何されるかわからないから、答えるのが吉か。


「如月美雪」


答えると、うんうんとうなづくようにして首を振る。


『ふーん、勇者ご本人か。これは失敬』


・・・名前で何がわかるのかは知らないけど、取り敢えず警戒はやめてくれたみたいだった。

威圧は、まだあるけど。


「侵入した非礼は詫びる。けど、もうすぐ魔王が現れる。だから、勇者の剣を」


『別にそんなものなくても魔王は倒せるよ』


私の話を遮って、彼女はなんでもないようにその言葉を発した。


「なっ・・・」


『事実、事実。実際勇者の剣には殺傷能力なんて一ミリもないからね』


その言葉に固まる私。

いや、後ろの奴らの方がアホヅラで固まってたわ。

一周回って冷静になる。

悪戯が成功した子供のように龍はクスクスと笑う。


『焦ってる?』


その言葉の意図が理解できずに、私は黙る。

焦ってる?何に?

主語を入れて欲しい。


『自分が強くないことに、焦ってるのかい?二十代目』


「っ!別にそんなことは」


そうだ、私は強い。

実際、今まで誰にも負けずにやってこれた。

だから、私は。


「ほんとかなぁ。実際、」


背後から聞こえる声に困惑する。

瞬間、首筋に冷たい感覚。

即座に飛び退くと、そこには一人の少女。

桃色と水色のグラデーションの髪、龍のような角。

先程の龍だろう。

他のメンバーも距離を取るが、それでも冷や汗が垂れる。

彼女の間合いが広い。

武器は接近戦向き。

だというのに、あと1kmは離れないといけないような、そんなじっとりとした恐怖感が背中を伝う。


彼女は両手に持った武器をクルクルと弄びながら私に問う。


「私が移動してることに気づかなかったのに?」


それについては反論の余地もない。

実際、わからなかった。

とびのき遅れていたら、間違いなく首を切られていた。

いや、手加減されているのだから、本気なら、今私は生きていない。

龍。

獣人か、はたまた魔人か。

だが、魔人でも獣人でも、人形態以外の姿はとれないはず。

一体、彼女は、何者?


そんな私の疑問は露知らず、彼女は楽しそうに笑う。


「戦って勝ったら、強くなる秘訣、教えてあげてもいいよ?」


ただし、と彼女は言葉を止め、私の目の前に接近してきて言った。


「負けたら、どうなるだろうね?」


「っ!!」


接近に気付けず、そのまま蹴りを食らう。

そのまま吹っ飛ばされ、近くの木に激突する。

背骨に限らず、全身の骨が悲鳴を上げている。


「ふふ、懐かしいなぁ〜。昔なら、私もこうやって強い人に吹っ飛ばされたっけ」


桜のように笑う彼女は、綺麗で、美しくて、それでいて___。


最恐だった。


これでこの章は終了です。

次はいよいよ、世界に挑みます。

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