表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才たちは異世界での極振り生活を夢見る※改訂版更新中(あらすじにリンクあります)  作者: 月那
第二部 第七章 ディア湖中心部でお茶会?~覆面って流行ってるのかな??~
134/175

第百二十七話 この世界のあれこれ

人間に種族能力あんの?と思ったけど、これから説明されるのだろうから、黙って紅茶をすする。

ムナさんは一息置いて説明を始めた。


「人間の種族能力は"変質"といったところでしょうか。今まで文明の最前線で活躍してきたのは人間が多いです。道具を使う、という発想はなかなか他の種族には思いつかないものです。自然を多少利用する程度で生活できる種族ばっかりでしたから、なにもないところから素材を変質させて自分たちの有利な土俵を作り出すのは一種の種族能力でしょう」


そこで一息置くムナさん。

そのわずかな隙間で私は考えることにした。

"変質"

それがこの世界においての人間の種族能力。

世界中の種族に伝播していった能力だから種族能力としてカウントされることが無くなったんだろう。

でも、それは立派な種族能力。

なんだか不思議な気持ちだ。

地球では人間しかこうやって言葉を介して同じ世界で過ごす知能のある種族はいなかったものだから、当たり前のことが特別と言われても、なんだか現実味が薄いのだ。

私がそう考えた直後、ムナさんが説明すると、その後にムツキさんが続いた。


「その特性を生かし、他の種族が使っている(すべ)を真似、自分たちが使いやすいように"変質"させて作りだしたのが魔法です。魔法に関してはこんなところでしょう。…ただ、この種族能力は現在神の手によってある程度制限されています」


「魔法ができた時は結構世界中がわいたらしいけどねー。今はそんなの当たり前すぎて感謝が薄れちゃうよね」


ほお。人間どこでもやることは変わらんなぁ。

そう思いながら紅茶をすする。

地球においても、人間は発明と発見を繰り返し、機械とお金、そして独自の文化が混ざり合った複雑な文化を織りなしていた。

でも、そこには何回も失敗があって、入れ違いがあった。

国に分かれてるからそんなことになるんだと個人的に呆れたこともある。

まあ、急に地球上全部同じ国ですよーと言われても納得はできないけど。


核爆弾、原子力発電所、領土問題、不正問題、差別、そういったものだって文化の中で一本の糸としており為されてきたのだ。

底を全部水に流せと言っているもので、そりゃまあ、ねえ。

国同士のいざこざがあっても仕方がないというか。

この世界もそうなのかな…ってううん???


待ってほしい。

そんな世界の機密事項みたいなものを自分たちにさっくり教えてもいいのだろうか。

だって今までそんな話聞いたことなかったし、結局のところ宗教のトップ同士だけが持っている情報ってことになるだろう。

うん、隠蔽組織…げふん、情報をちゃんと管理できているからこそだろう。

褒めただけだ。断じて貶してなどいない。

うん、そうだ。

そうだからキリアさん、そんな目で見ないで。


そんな私の心中を察したのか、クロンさんが口を開く。

いや、多分最後のは察してもらってないだろうけど。

隠蔽組織?何のことでしょう。


「全て聞いていただいて大丈夫です。他ならない神の御意向ですから。神の声が聞ける私たちがオッケーと言えばオッケーなのです」


「はあ…」


なんだかいまいちわからないというか、狂信者というか、そんなふうに見えてしまうのも仕方ないけど、嘘を言っているようには見えないので気にせず全部聞いてしまうことにする。

こういうファンタジーチックな世界ではこういうことは気にせずスルーしたほう髪のためってやつです。無宗教勢の日本人にははて?って感じだがね

ムナさんが一二回咳ばらいをし、続きを話し始めた。


「理由は…」


その瞬間、感じたことのない何かに包まれたような感覚が私たちを包み込んだ。

途端に水の音も、時折聞こえてくる生物音も、何も聞こえなくなるような錯覚、いや、現実に陥る。

どうなってんだと思っても口が動かないから声に出せないし、見る以外何もできない。

これは現実を見ろという強引なお告げのようなものなのだろうか。

そこまで、私がきらいなものでもないはずだが。

何も聞こえないけど、ムナさんの声だけが耳の奥に響いた。




人間(先祖)による世界破壊未遂、またの名を世界最大規模の人災と言える、『喚魔人災』が発生したからです」





それは、唐突なこの世界の過去の話だった。


*******


「と、ここまでは良い?頭ついてこれてる?」


私は拠点でお客である少年少女五人組に尋ねる。

氷人が持ってきてくれたお茶菓子を一つ口にすると、代表格の少女は口を開く。


「そうですね、私は大丈夫です」


「待って待って美雪!!俺ら全然わかんない!!」


美雪ちゃんの後ろで喚く男の子は青い髪に桃色の瞳を持った背が高めの子だ。

だが、結構イケメンな見た目に反して頭を使うのはなんだか無理っぽい。

とりあえず美雪ちゃんは理解してもらわないとなー、困るんだよなー。


「それにしても、この数時間で私たちなじみましたねぇ」


「まーね。最初でっかい氷が飛んできたとき結構ビビったんだけど」


平和に余生謳歌してるところに氷飛んでくるって何さ。

めちゃくちゃビビったし、その後無断侵入してきたこの五人組黙らせるのもちょっと時間かかったしねー。今平和にお茶会してるのがびっくりだ。


この子たちとの出会いは数時間前にさかのぼる__________________。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ