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天才たちは異世界での極振り生活を夢見る※改訂版更新中(あらすじにリンクあります)  作者: 月那
第一部 第一章 始まり~夢の異世界ライフ開幕~
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第七話 日常すぎて漫才みたいにボケとツッコミ止まらねぇ

朱夏は拠点への帰路をたどっていた。

女子トークが楽しすぎて危うくスキルを買うのを忘れかけたが、ちゃんと全員分買うことが出来た。朱夏はその場でスキル取得させてもらった。そっちの方が安い値段で済むからだ。

(にしても…びっくりした。MP=魔力じゃないとは…)


朱夏の言う通り、この世界『ルリフェニア』においてMPとは必ずしも魔力ではない。MPは“無力”を数値化したものだ。無力は神力、霊力、魔力、妖力全てを混ぜ合わせた、その4つの原点でもある力である。簡単に言えばオゾンみたいなものだ。酸素から作られ、酸素になる。そう言うものである。


昔…この七大強豪国が作られ始めた1000年前。創世歴から退魔歴へと年代のカウントが移り変わるころまではスキルというものは少なく、基本的には簡単な魔法にどれだけ変化をつけるか、どれだけ無力をつぎ込めるか。その実力主義の戦い方が主流だったようだ。


だが、近年は違うようだ。スキルメインの戦いとなり、スキル同士のかけ合わせ、そして効率的にダメージ、バフ、デバフ、回復ができるスキルの開発によるスキル取得戦争と化している。


そこまで思い出してから、朱夏は上を見上げる。黄昏時。わずかに残った赤い光が拠点を照らしている。


(この世界は思ったより楽しそうだな)


これからの生活への期待に、少し顔が緩んだ。



一週間後。

ラボ以外の拠点設備はすべて完成し、つり橋でつながった。今現在金央はガラス細工の作業中だ。特に必要なわけではないが、たまにはやらないと腕が鈍るとかで勝手にやらせている。全員がペアでレベル上げをしながらの作業で、ステータスは相変わらずあほみたいな数値になっている。ゆったり暮らせればいいのでレベル上げしなくてもいいかなとも思ったのだが、朱夏から不穏なことを聞いたので全員がレベル上げをしている。


異世界おなじみの勇者と魔王の衝突である。


100年周期で魔王が復活するこの世界では復活する数年前に勇者が現れると決まっている。実際、今勇者がいるからである。前下調べした時に出てきた勇者パーティがそれに該当する。前関わらないほうがいいと思ったがどっちにしろ関わることは避けられない世界規模の衝突らしいので諦めてレベル上げをすることになったのだ。


ステータスを振っていると朱夏が試しというようにスキルを詠唱する。


「『飛行レレ』」


すると、ふわっと彼女は浮いた。飛び回る速さはなかなかなもので、移動にも使えそうだ。


スキルには初級、中級、上級、最上級、災害級、神級の六つのランクがある。スキルも大きく分けて3タイプに分けられる。攻撃系スキル、補助系(バフ・デバフ)スキル、ステータス系スキルだ。


攻撃系は六つのランク全て、補助系は中級、上級、最上級、神級の四つが適応され、ステータス系はランクを持たない。『飛行レレ』は補助系の中級スキルで、属性は無属性だ。属性によっても攻撃の方式は変わってくるが、まだ話さなくてもいい。


「たぁ~のしぃ~!そういえば一週間後に大会あるらしいね」


唐突な会話の始まりにいつものことかと納得してから返事をする。


「何の大会?」


「ギルド対抗戦だって~これでギルドの順位決まるらしいよ~」


拠点のはしご近くに腰を下ろし、相変わらず飛び回っている朱夏と梯子の下で作業をしているらしいほか三人の声を聴きながら深呼吸する。

下から声が飛んでくる。恐らく氷人だ。


「ギルドの順位ってそうやって決めてたの…?」


「もちろんクエストの達成度や人気とかもあるっぽいけど大きいのはそこだって。ただし参加できるのはLv30から。私らにはまだまだ遠いお話よ…」


遠くを見て黄昏れた雰囲気を朱夏は出したいようだがお昼間で木漏れ日とのんきな鳥の鳴き声が聞こえる平和な平和な森の中ではそれは無理だ。


すぐ理解したらしい彼女は顔を元に戻す。


するとすぐ下の方で興奮した声がした。


「じゃあ!次は絶対参加しようね!」


直後空気を割るようなピキッという音が鳴る。


「おーちゃんガラス細工割れたよ」


「うゃ⁉」


くすくすと笑う朱夏と変な声を出す金央。話の本題はどこへやら、ガラスの後片付けに追われることになる。ガラス細工は腕がなまるからという名目ではあるがある種の気分転換だ。


金央の横にはたくさんの電球のような形をしたガラスが積みあがっている。横では朱夏が考え込んでいる。


「…ランタンって最初っからハードル高くないかな朱夏」


何で作ろうとするの?と聞くと決まってこの世界にはないからと帰ってくる。


「魔法で動いている世界でわざわざ重いランタン持ち歩くわけないでしょうが」


「その重いランタンをなぜ作ろうとしてるんだ」


突っ込むのも疲れてきた。

時々筋のないことをやりだすのが彼女である。安定しない物質並みに危険で振り回されてしまうが、それでも憎めないのが彼女の人柄である。


「電池……は一回作ったら何となく行けたからちょっと買い出しに行ってほしいな」


「文章が噛み合ってないから」


いつものノリで突っ込みが止まらない。なかなか疲れるというのに勝手に口が動く。


「フォース国には一応小規模だけど鉱山がある。マンガンとか亜鉛とか硫黄とか銅とか鉄とか金とか銀とかプラチナとかダイヤモンドとか黒鉛とか…ゼェ…まあとにかくいろんな金属とかこっち特有の鉱石とか売ってるんだよ…」


「とりあえず調子乗って金属名連呼するのやめよ?喉の寿命が削れるよ」


調子に乗っているかは知らないが調子に乗っているように見えたのでこれで良し。


「その中で『光石コウセキ』っていうのを…100個前後買ってきてほしいんだけど」


「『光石』?どういう漢字‥?」


「光る石って書いて『光石』ね。電池や光源としても機能するんだけど…主にランタンの骨組みに使おうかなと」


なぜ光る石を骨組みに使おうとしているのか、その真意はわからなかったけれど、朱夏が言うのだから何か根拠がある。

長く付き合ってきた仲だからこその信頼というやつだ。私と、一緒に行きたいという秋白はそれを承諾した。ただ、ツッコミはここでは終わらなかった。


「あ、お金は上げるからよく考えて使ってね」


「おかんかいっ!あと一つしか買うものないのにどう頭を使えと!」


結局体力を根こそぎ持っていかれる形で町へと出発した。


一人でボケとツッコミ続けてると悲しくなってくるな~…。

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