牙
暮らしの調べは
ぐちゃぐちゃなげんじつ
それがなによりとうとくて
わたしの雑多な生活は
透明な詩歌
意識的に透けた
都会のアタラクシアに於いて
すべてを乱す音楽が
わたしの鼓動などであり
水平なひとびとの未来と心と祈りに
報復する牙だ
あまりものな生活ですら
神聖な領域をかんたんに侵せる
報復の詩歌だ
幽明界を異にした日々の
ありていなかなしみのしかたとか
安寧に脅かされている
おさない不慣れなよわさとかが
神域に手を伸ばして
報復は
近い未来の暮らし
いかりはたぶん赤色に膨らみ
やがて白色に縮んでいく
まぜこぜになって
わたしたちあいまいになって
暮らしの調べは
なにかひとつ巨大な偶像的悪に向かう
そういう報復の牙だよ