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ナル時に終わる

作者: 那須 綾

これは僕が中学三年生の時に思いついた話で、現在の高校一年生で書き上げた作品です。言葉使いなどが素人ですが是非最後までみてください。

最後にこの話の面白さを詰めました。

メリファティ星はまだ地球にその星が反射した光が届かないところにあった。


八月二日

「それ」は中学四年生の三島律の家の表札をじっくりと見ていた。律は塾の夏期講習の最終日を終えて疲れていた。だがそんな疲れすらも吹き飛んでしまうような衝撃を「それ」は律に与えていた。人に近いシルエットではあったが街灯のお陰で「それ」が人間ではないことは黙認できる程であった。だが律は「それ」を無視して家に入ろうとした。

「キミはこの家に住んでいる者か?」

無視して通り過ぎようとしたが肩を掴まれてしまった。これでは無視は出来ない。

「そうだけど」

「そうか、というかどうしてそんなに冷静でいられるんだ?」

「そんなことどうでもいいでしょ」

「まぁ、いいか。それよりもこの家に少しの間だけ住まわせて貰えないか?」

「嫌」

「何故だ?」

「そんなこと分かるだろ!お前みたいな良くわからないやつを家に置いておける訳ないじゃないか!」

「普通の人間ならそうなるか、まぁいい、予想はしていた。だがな、私もそうなると居場所がなくなってしまうんだ、ここは星から遠すぎる、この星の技術では到底生きている間には辿り着けない。」

「僕の家じゃないといけない理由はあるのか?」

「正直誰の家でもいいんだ、だがお前の家のこの赤い屋根というやつを気へに入ってな」

「ダメだ」

「いいと言ってもらえるまではここから動かないぞ」

「勝手にしろ」

「あぁ、するさ」

そう言ってからは律は「それ」の言葉に答えずに家の中に入った、いつもの様にお母さんがご飯先に食べる?と聞いきたので「うん」と答えてご飯を食べる。

そしてお風呂、歯磨き等を済ませてから自分の二階の部屋に入った。窓からはまだ「それ」がいた。これではほんとに動かないのではないかと思い家に入れようと思った。そしてドアを開け「入れ、食べ物はお菓子が少ししかないけどいいよな」

「どうした、気が変わったのか、まぁ礼を言う」

それから二人。いや、正確には一人と一体が赤い屋根の家に入っていった。律はお母さんにバレるとまずいからと静かに入るように用心した。だが「それ」の足音があまりにも大きかったので律は冷や汗をかきながら、「しー」と言いながら口元に指を当てた。一人と一体は、これからは二人という事にする。二人は無事に律の部屋に着いた。

「まずお前は誰?」律は聞くタイミングを完全に間違えたと思った。もっとはやくに聞いておけば良かったと思っている。「私はメリファティ星からきた、この世界の言葉で言えば、宇宙人というやつだ。」

改めて聞いて宇宙人だということが分かり動揺はしたがすぐに冷静でいられることができた。「何しに来た」

「私はこの星のことを学びに来た、この星の文化、歴史、そしてメインはどのようなエネルギーがこの星に眠った間までいるのかを調査しに来たのだ。」

「いつまでここにいるんだ」

「九月までには帰る予定だ、そのときには私がこの星にいる期間私の存在を認識した人間をこの光線銃で撃つという規則がある、すなわち私が帰る時にはお前はこの光線銃の餌食になっている、安心しておけ」

このとき、律は複雑な気持ちになっていた、律は学校でのいじめに悩み自殺しようと考えていたのだ、だが誰にも迷惑をかけずに死ぬ手段が見つからずに死ねないままであった。この気持ちを正直にこいつに伝えてみようか、後のことを何も考えずに行動してみることに好奇心が沸いた。

「それはありがとう、実は死のうと思ってたんだよね、だけど死ぬ方法が見当たらなくてね、喜んでこの光線銃に撃たれるよ、痛くないよね?」まるでミステリードラマの犯人の化けの皮が剥がれた時のような口調で言い放った。

「痛くはないと思うぞ?」

「そうか、なら良かった」

そう言った後、お母さんが寝なさいと言ってきたので寝ることにした、宇宙人と同じベッドで寝るのは嫌だったのでベッドは譲り律のだけ床で寝て、「それ」は律のベッドで寝た。何も見えない暗闇、その中で二人は話をしていた。

「お前名前なんて言うの?名前呼びたい時呼べないと不便」

「名前、それはこの星特有の文明であり最大の発明でもあるかもな。我々に名前などない、近いものとすれば一人一人に番号があるくらいだな」

「そっか、じゃあ付けるか?」

「そいつは嬉しい、付けてくれ」

「ベルでいっか。」

「ベルか、いい名前だな、響きが好きだ」ベルは頭の中で何度も自分の名前を口にした。かなり気に入っている。

「お前のその星ってどんな感じなの、その科学技術とか。」

「私の星はサイファ粒子という画期的な粒子を発明してから急速に科学技術が発展したんだ、光の速さを超える粒子でありそれは様々なものに活用された。例えば、乗り物だ。この星でいう車みたいなものにサイファ粒子のカバーのようなものを付けたんだ。そうすればその車はサイファ粒子に運ばれる。そんなようなものだ。現時点では宇宙船にまで利用することが可能だ。だから私がここに来れたんだ。」

「なんか難しいこと言ってんな、まぁその粒子が凄いってことは分かったけど、じゃあすぐにでも帰れるって訳か、なら日帰りでもいいんじゃないの?わざわざ俺の家で居候する必要あるの?」

「まぁまぁ、すまないな。地球に来てからある問題が発生した。私の宇宙船は確かにサイファ粒子のカバーで動いていた、だが宇宙空間でそれが削れてしまっていたんだ、こんなことは初めてなんだ。つまり今帰れないという状況下にある。そして私には目的が増えたって訳だ。サイファ粒子のカバーが削れた原因の解明。無事に私の星に帰ること。それらと合わせて地球の調査。だがサイファ粒子のカバーが削れた理由については推測した。あとは星に帰ってからのシュミレーションの結果で分かる事だ。まぁとりあえずは今は待つことにしている、私の星からの助けをね。」

「そっかー」

「そう言えば、お前は死にたいのか?」

「あ、覚えてた·····よな。実は学校生活で色々問題があってね」

律は親の仕事の事情で今年の春に引っ越してきた、もちろん転校もした。律が転校して初めての登校日、律は緊張していた。転校なんて初めてだったからだ。もちろん友達ができるかというのが不安であった。前の学校では数人から陰口を言われていたことがあったのだ。それは無視していたが、もしこの学校でもそのようになったら嫌だと思っていた。けれど、引っ越したその日に近所に住んでいる人と友達になった。神谷薫という。律は神谷くんと呼んでいる。だから、少しだが期待していた。前の学校よりは楽しく過ごせるのではないかと。だが律の予想は外れた。初日こそ転校生ということで特別扱いされていたが、問題は神谷薫にあった。彼はイジメの対象にされていたのだ。彼は律をイジメっ子に売ったのであった。変なデタラメを言われ、イジメの対象は律になっていった。初めの方は上履きを隠されたりと、表面的であったが時間が経つにつれてその内容は酷いものになっていった。最近では机が油性ペンで書かれた悪口で埋め尽くされていたりもした。だが律は親、先生などといった大人には頼りたくなかった。そうすれば完全に負けだと思ったのだ。ついに律は自分をここまで追い詰めた人間を精神的に追い込む方法を思いついた。それは自分が自殺するという方法であった。自殺理由は遺書にでも書いておこうと思っていた。ただ一つここで問題があった。それは、死ぬ方法だ首吊りでは他の人に迷惑がかかる、人に迷惑がかからずに自殺と分かる死に方。律にはその方法が思いつかなかった。だが、そこでベルに出会ったのだ。ベルは帰る時に律を光線銃で打つと言っていた。どのような死に様になるかは分からないがこれしかないと思った。律が話を終えたとき、ベルは答えた。「光線銃で撃たれた人を見たことがあるけど、脳細胞を全て殺すという仕掛けらしい。この銃からでる光線は眠っていた脳細胞を呼び起こすというものらしいのだが、それに耐えきれなくなり脳全体が死んでしまう。この銃はもともと私たちの星のある人物のためにつくられたというものらしい。その人物はどこかの星に行く時、この星の記憶を全て消してしまおうと考えた。だがその人物は大変な偉い役職だったためにそれを呼び起こせるものをつくることになった。それこそがこの銃だ。もっとも今はどこにいるかも分からないけどな。」

「なら猟奇的にはならないということだね、良かった。」

「·····」

「おい、無視するなよ」

「·····」

ベルは眠っていた。律も寝ることにした。


八月三日の夜

「あー、今日も疲れた」

「そうだな、まさかあれが飛び跳ねるなんて思いもしなかったぞ」

「バッタは飛ぶよ」

「あれはバッタって言うのか。把握した。」

「お前はどんな事を調査してるの?」

「調査対象はこの星全体さ、使われていないエネルギーがどんなものなのか、我々はこの銀河系の中でも高い文明に位置している、ほかの星を調査し、それがどのような星なのか、星の特徴でまとめているんだ。例えば。ええと、食事だけしかしない星などがあったな。その星の調査結果報告書には食事多目と書いておいて叱られると思っていたんだが何も言われなかった。まあそんな細かいことを調査するわけでは無いさ」。

「そうなんだ。この星の調査結果報告書にはどんなことを書くつもりなんだ?」

「それは今考え中だ、内容が決まれば律には一番最初に教えてやる」

「そりゃ楽しみだな」

律がそう言ったのは本心からだ。


八月四日


律がいつも通り起きると隣にベルはいなかった。どこに行ったのだろうか、親にバレていなければいいが。おそらく調査に行ったのだろう。そう思ったので律はあまり気にすることなくいつも通りの時間に朝ごはんを食べ、ゲームをしたりテレビを観たりといつもよりぐうたらな日常を過ごした。夕方になり、ベルが全然帰ってこないことに律は少しずつ心配になってきた。律はベルを探しに外へ出た、ベルは地球の使われていないエネルギーの調査と言っていたがどこでやっているのか見当が付かない。とにかく近所を探し回っていた。どこからか笑い声が聞こえる、それも律が一番嫌いな笑い声だ。もしやと思い声が聞こえる方向に向かってみると。ベルが暴力を受けていた、中学生の本気の暴力というのはなかなか痛いものだ。どうしようかと迷う前に身体が動いていた。何をしに行くんだ。

行ったところでやられるだけ。笑われるだけ。そこには理屈では説明できない理由があった。おそらくベルの話を聞き同情してしまったのだろう。昨日の夜、調査の話を終えたあともずっと話していた。へんな話をして二人で笑っていた。普段は自分は笑わないように意識している、笑った時に見える八重歯が嫌いなのだ。だがそんなことは忘れられた、そのくらい楽しく新鮮であった。そんな経験をさせてくれた者を裏切るなんて行為はできるはずがないと思っているのかもしれない。

実際は何も考えずに動いた。

「何やってるんだよ‼︎」

今までで一番大きな声を出した気がする。

「正義の味方気取り?どうせこの気持ち悪いやつもお前の代わりだったし、今日はいろいろあって腹立ってるから存分に殴るよ」

そう言っていじめっ子たちは四人で律を取り囲み殴った。ひと段落ついていじめっ子たちは殴るのをやめて帰った。

「お前、なんできたんだ?」

「わからないよ、ただ身体が動いてた」

「人間って不思議な生き物だな」

「その前にまず言うことがあるだろ」

「なんだ?」

「ありがとうって言うんだよ、これは感謝の気持ちを伝えるのに一番効率的な方法だ」

「ありがとう」

ベルは分からなかった、律が自分を助けた理由が、自分が犠牲になってまで他人を守りたいと思う気持ちが。そこには自分では到底理解することのできない高度なものが秘められているような気がした。家に戻るまで二人は一言を言葉を交わさなかった。家に戻ってからはベルが先に口を開いた。

「調査結果報告書になんて書くか決まったんだ、聞いてくれるか?」

「もちろん聞くよ、僕も興味がある」

「人間という意思を持つ生物が存在している、その生物はおそらくその世界での食物連鎖の頂点である。人間の意思はそれぞれの個体によって違う。だがそこには理解できないものが多数ある。例えば自分の身を犠牲にしてまで他人を守る意思。感謝の気持ちを伝えようとする意思。これらは理解できないものであると同時に理解しなくていいものなのかもしれない、理解しないことで個々の違いを発見したりなど、楽しみが多くある。以上、捜査報告終了 執筆20083番」

律はごもっともだと思った、あの時自分がベルを助けた時の気持ちを代弁して

くれているような気がした。窓の外から光が当たる。

とても眩しい、おそらくベルとの別れがきたのだろうと思った。いかにも宇宙船ですよと言っているような機体の中から出てきたのはベルによく似た生物だ。

「20083、お前を迎えにきた。早くこの船に乗れ。」

「今までありがとう、律」

そう言って宇宙船の方に向かっていった。

そして、ベルに光線銃を向けられた。

「お前に殺されるなら本望だよ、ありがとう」

「殺されるのにありがとうをいうのか、やはり人間というのは理解ができない」

そう言ってベルは光線銃の引き金を引いた。

ベルは地球を出発してからすぐ寝てしまった。


メファリティ星


ベルは鐘の音で起きた。状況が掴めなかった。だが、処刑台に立たされていることはわかった。遠くには偉い人たちが沢山いる、顔まではフードのようなものをかぶっていてわからない。ベルは気づいた、あのいじめっ子たちに光線銃を撃っていないことに。最初にして最大のミスを犯した。そしてもう一度鐘が鳴った。その音に合わせて執行人が銃を向ける。ベルはその時心から最後の星が地球でよかったと思えた、そして律に出会えてよかったと。そして三度目の鐘の音で執行人は引き金を引いた。撃たれた直後、朦朧とした意識の中で見えた。偉い人たちが笑っているのを、その中のひとりの口元から八重歯が見えた。





どうでしたか?最後の最後でのベルが見たもの。

どうしてこうなるのか全て辻褄は合うようにしています。分からなかった方は是非初めから読み直してみてください。

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