2話 幹部再び!能力追加覚醒!
ピチュをは起きた時、病院みたいなところにいた。何かの気配を感じて横を見るとそこには片方の腕を包帯でぐるぐる巻いたひめりがいた。
「ピチュ!?大丈夫!?」
「まだかなり体が痛む。それより腕は大丈夫か?」
「まだ動かないけどたぶん大丈夫だよ!うちの腕だし!」
ピチュをは、その自信はどこから来るのかとツッコミたくなったが押さえた。
「てか、何が起きた?手下は?」
「うちも途中で倒れてたからわかんない、後でウィッチに聞こ」
「そうだな、じゃあさっさと行くか…」
ピチュをは立とうとするが全身がひどく痛んだためひめりに「じゃあ、痛みが引くまで動かないで」と言われた。そしてひめりは部屋を出ていき入れ替わるようにバルンが入ってきた。
「お、バルン!無事でよかっt──」
「あなたはバカですか?!」
バルンはピチュをの声をかき消し怒鳴った。
「あなたはなんであんな無茶をしたんですか!死ぬかも知れないんですよ!?私が少しでも遅れていたら...多分もう...」
「ごめんな、バルン。でも俺は思うんだ、無茶してでも仲間を守りたいって」
その瞬間ピチュをの頬に手のひらが飛んで来た
あまり痛くなかったが叩かれると後々痒いんだよなー。
「あなたは本当にバカですね」
「そりゃどうも」
「でも、無事でよかった」
バルンは座り込んで泣いてしまった。
「おいおい!泣くほどかよ!」
と、そこに
「ピチュ...バルンを泣かせてる」
「はぇ?」
部屋のドア辺りを見るとウィッチが立っていた。なんとタイミングの悪い...
「いや、俺が泣かせたんじゃなくて俺が無事で安心したから泣いてるの!」
「焦ってる時点で怪しい。それにその言葉通りでもピチュが無事だから泣いたんでしょ?だったら泣かせたのと代わりなくない?」
間違ってはいないが一言余計だな。こういうのをためらいなく言う辺りすごいと思う。
「いえ、ウィッチさん、ピチュをさんは悪くないです。私が勝手に...」
「あ、ところでウィッチ、手下どもはどうなった?」
「それを話に来たんだけどひめりはいないの?」
「さっき『痛みが引くまで動かないで』って言って出ていった」
「ひめりさんなら屋上に行くとか」
「そっか、じゃあ都合がいいね。ひめりのことから話すよ」
「じゃあひめりを呼ぼうか?」
「いない方がいい、辛いから。ひめりの腕、たぶんもう動かない」
「...は?何言ってんだよ、いくら冗談でも度がすぎる!」
「この場で冗談いうほど性格悪くないと思うけど...とりあえず話すよ」
話によると、ウィッチの力は自分の力だけではなく、相手の触れた部位の筋力や情報を知ることができるらしい。その能力でひめりが寝てる間に確かめたところ、筋力0。筋肉の形状が半壊してるらしい。
「ちなみにピチュは肺の中の肺胞が2つほどつぶれてた」
「さらっとすげぇこと言うな」
「それは大変!少しでもよくなるように薬用意しますね」
と言ってバルンは部屋を出た。その時ひめりが入ってきた。
「ねえ、2人に聞きたいんだけどさ、このまま旅続けるの?魔王を倒すってできるのかな?」
ひめりがふとそんなことを言い、少し沈黙が続いたが
「私は...もう戦いたくない」
ウィッチが言い出した
「うちも、このままだったら死ぬもん。死にたくないもん!」
「ピチュは?ピチュはどう思う?」
「俺は...戦う」
「何で!?怖くないn──」
「怖いに決まってんだろ!」
ピチュをはひめりの言葉を切りながら全力で肯定した。
「でもやらなきゃならねんだよ!ここに来る前にバルンに言ったろ!『絶対助ける』って!その決意を簡単に壊していいのかよ!俺はここで死んだって構わねぇ、俺の命1つでたくさんの命を救えるなら!」
言い終わった後、少し沈黙があったが理解してくれたようだった。
「そうだね、ここの救世主だもんね!うちら!」
「ひめりはともかく、私達救世主だからね!」
「うちはともかくって酷くない!?」
と、話しているとピチュをのポケットが光出した。
「なんだこの光?」
ポケットに手を入れると玉が出てきた。家を出る前に親から貰った玉だ。と、同時にバルンが戻ってきて、
「こ、これは!『能力封印玉』じゃないですか!」
と叫んだ。
「「「何それ!?」」」
と3人は声を揃えて驚いた。
「通りでピチュをさんの能力が見えないと思った!これを持っていると能力が使えない上に無いもの扱いなんです!今から能力を確認しますね!」
と、ピチュをの体に手を当てて能力を見た。
要するにあの玉でピチュをの能力が見られないようにステルス化していたらしい。
ちなみに能力は3つ。1つ目は『瀕死覚醒』。ピンチになるとあり得ない力が沸いてくる。だが発動し終わると今回見たく力尽きる。
2つ目は『全治癒力』。全ての回復魔法が使えるのだがピチュをのは未完成のため範囲内にいる人は敵味方関係なく回復してしまう。
3つ目は最強能力と言われている『全知全能』のいくつか下の『能力確保』。魔法の出し方さえ分かれば全ての魔法が出せるようになる。ただし、魔力の消費量がものすごく激しいらしい。
この3つが俺の能力だとバルンは言った。
「ただ、ここまで能力を持った人と出会うのは初めてです、何が起きるかわからないので注意してください!」
「おう、ありがとうバルン。では早速。」
俺は詠唱を始めた。何を言えば良いかわからないから適当に。
『遠き女神よ、我らに生命の加護を!ヒール!』
傷が癒えて行くのがわかる。ピチュをは動けるまでに回復した。
「よし、行くか!魔王退治の旅に!」
「行こー!」
「うん!」
「はいです!」
ピチュを達たち4人はこの世界を救うと再び固く決意し、再び旅に出る。
ピチュを達は街を後にした。とりあえず、次の街を目指し手下を倒しながら進んでいた。その時
「力技!」
「さっすがウィッチ!その技いいねー!」
「それ、褒めてるの?」
「だってただ殴るだけじゃないんだもん」
「ん?力技は火力重視で殴ってるだけだよ?」
「え?今火が出てたよ?なぁひめり?」
「本当だよ、うちの術を燃やすのかと…」
どうやらウィッチは気づいてなかったようだが火を出して殴っていた。
「おそらく『魔法属性』ですね。今までの技に属性をつけられます。つけ方はわからないですが、気持ちが関係しているとか」
「え?能力って追加解放あんの?」
「ピチュ…今更何言ってんの」
ピチュをが寝てる時に話していたらしい。そんなこと知るかよ!と心の中で叫んで置いた。
「ウィッチ、体力大丈夫?」
「大丈夫、いざとなったらひめりに隠れるから」
「うちは盾か!」
そんな会話をしているといつだか見たような、少し大きめの手下が前に来ていた。3人はすぐに身構えた。
「バルン、隠れてろ」
『おや?どっかで見たと思ったらそこそこ強かったお兄さんとそのお供か』
「「お供ってなんやねん」」
「きれいな突っ込みだこと」
そう、前にいたのは前の街でギリギリ勝てた幹部だった。
『あまり時間はたってないが、少しは強くなったよな?あの時は油断したが今回はそうはいかねえ。俺は戦うのが好きなんだ。俺を楽しませてくれよ!』
幹部はものすごい勢いで走って来た。俺は急いでガード体制に入るも吹き飛ばされてしまった。
「ウィッチ!魔法で支援を!ひめり!トラップ!」
そう、言いながらピチュをは受け身をとってから突っ込んだ。攻撃をかわせるものの当てる事ができない。
「ウィッチ!魔法の出し方を簡潔に教えて!」
「イメージ、それだけ」
「…は?わっかんねよ!」
そこで緩んでしまい強烈な一撃を貰ってしまった。
「痛ぇ、あいつ強くなってらぁ」
「任せて!」
とひめりが地中から木の根を使い、幹部の動きを止めた。
『なんだこれは!くそう!離せ!』
「今のうちに早く!あいつに雷を!」
そしてウィッチは詠唱を始めた。
『天を舞いし竜よ、闇を砕く雷となれ!雷の槍!』
詠唱が終わると共にひめりの根がほどかれ、雷が幹部の右腕を突き抜ける。
『グブッ!や、やりおる!だがまだ終わらんぞ!』
敵も詠唱を始めた。
『水神の力を我が手に、敵を穿て!水の大砲!』
凄まじい勢いの水が飛んで来た。当たれば内臓の1つや2つは持ってかれるだろう。水来ると共に俺は詠唱を始めた。
『全ての力を宿した神よ、今こそここに力を示せ!完全防御!』
前方に大きく頑丈な盾を作り水を防いだ。
「いまだ!ひめり!」
「風の斬撃!」
ひめりは1発飛んで来た水に木の属性を混ぜ跳ね返し幹部に当てた。幹部は
『ガハッ!く、くそぉ!今回はここまでにしてやる!次は確実に仕留める!』
幹部はそう言い残し去っていった。
それと共にみんな倒れこんだ
「はあ、はあ、疲れた」
「うちもー、あ、足が…」
「ひめり?大丈夫か!?」
「なんとか…」
「ボソボソ…(重症ならよかったのに」
「ん?ウィッチなんか言ったろ」
「何も?それよりピチュ、あいつの使った技覚えてる?」
「覚えてると思う?」
「ですよねー。でもそんなんじゃ『能力確保』とかあっても意味ないじゃん!」
「でも、完全防御は覚えたぞ!」
「ほとんどの手下が使ってたからなー」
「てかひめり、よく弱点が雷ってわかったね」
「なんか根を伝って情報が入ってきた」
「それ能力じゃね?」
そんな会話をしながら俺は詠唱無しで出せる、即時ヒールでみんなを少しずづ回復してる。
「みなさん無事ですかー!」
「あ、バルン!見ての通り無事だよ!」
「ひめりさん以外の方は!」
ピチュをもウィッチも「大丈夫」と告げると。「良かった」とバルンが安心してる。
「あれ?バルンにウィッチの性悪移った?」
「ささ、みなさん早く次の街に行きましょうよ!」
ピチュをは内心、ひめりにも構ってあげなよと言い出そうか迷っていた。
それから数十分、敵に会うこともなく街についた。と共にウィッチが居ないことに気づいた。
「あれ?ウィッチいないね」
「道中ではぐれたのでしょうか?」
「俺探して来る!」
と言いながらピチュをは立ち止まったまま詠唱を始めた。
『人間の限界、知能を超え、転移せよ!ワープ!』
と叫ぶとひめりの前にウィッチが出てきた。
「わあぁ!ビックリした !ウィッチどこいってたの!」
「この街の銭湯、入ろうと思って着替えようとしたらひめりが…」
「てかピチュ!ワープって相手をこっちに寄せるんかい!」
「言ってなかったっけ?」ととぼけた感じでピチュをは言った。「聞いてないから」と呆れた顔で言われたので話を切って宿を探した。そのあと今回追加で覚醒した能力を詳しく聞いた。結局わかったのは、ひめりの追加能力は『探知』。対象の苦手なものや得意な者が他の能力を通じてわかるというものだった。そして、バルンいわく、追加能力はほとんどが発動条件がわからないらしい。ひとまずこれで、ひめりとウィッチは2つ、ピチュをが3つの能力を得たわけになる。