カラオケ
四カ月ぶりです!こんなに遅れてすみませんでした!
あれから、ほかのゲームをしたりプリクラを一緒に撮らされたりしながら歩いていると、予定より5分ほど早い段階でカラオケの方から連絡が来た。その事を雫に伝える、かなり急かされるようにあのカラオケの場所に戻ってきた。
「では、何時間のご利用ですか?」
「何時間しますか?先輩」
受付とのやりとりを雫に任せて居ると、雫は振り向いて俺に向かってそう聞いてくる。
俺的には何時間でもいいからな......。
「雫に任せるよ」
多分、意見を言った方が良かったんだろうけど、カラオケ行った時は俺以外が時間とか決めてるから考えたことなかったわ。
「分かりました。それじゃあ2時間でお願いします」
そんな内心言い訳を言いまくってた俺を他所にさして気にしてない感じに雫は時間を決めて店員に告げていた。たぶん、元々決めてたんだな。
「分かりました。では、19番の部屋をお使いください。ドリンクは後ほど部屋の方に運ばせて貰います」
店員がそう言いながらカゴに入ったマイクとパネルを渡してくる。それを俺が受け取り、雫と一緒に19番の部屋に向かう。
今更ながらなのだが、男女が個室に2人っきりは少し如何なものかと思い始めたんだが......。雫の様子を見る限りあまり気にしてなさそうだな。しかも上機嫌の様子だし、下手な事言わない方がいいかな。役得と考えよう。
部屋に入りお互い向かい合うようーー座ると思いきや何故か雫は俺の横に座って来た。
「......どうして隣に座るんだ?」
「そりゃあ、先輩。やっぱり操作パネルとかマイクとか向かいにいる相手に渡すより隣にいる相手に渡す方が楽でしょ?......駄目でしたか先輩?」
何故か、駄目といったらしょんぼりしそうな雰囲気を出しながら俺の顔を見てくる雫。......はぁ。
「雫がそれでいいならそれでいいよ」
「ありがとうございます。先輩」
そう言うと、途端に嬉しそうにお礼を言ってくる雫。その笑顔を見て心臓の鼓動が早くなった。
うん、俺が我慢すれば良いだけなのだと自分に言い聞かせて、気を紛らわすように操作パネルを手に取り曲を入力していく。隣に俺より内心ドキドキしてる人物がいる事を知らずに。
とりあえず、一曲を歌い終えてマイクのスイッチを切る。隣では次に歌う曲を入れ終えて俺の歌を聴いていた雫がパチパチパチと小さく拍手をしていた。その間にも、画面には79点と得点が表示される。
うん、予想通り低いな。
「やっぱり点数取れないな」
「え、でも普通に上手でしたよ?」
小さく呟いたその言葉に雫がそう反応する。
「でも、上手い人は90とか普通に取れるんだろ?そう考えるとやっぱり低く感じるからな......。あ、はい。次は雫だろ?」
スイッチを入れてマイクを手渡す。雫は一言お礼を言ってからマイクを受け取り、雫が入れた曲が流れ始める。
確かこの曲って月9ドラマで有名になった曲だよな。音楽番組とかで結構流れてたから、全部とまではいかないけど、殆ど覚えてる曲だ。
そして肝心の歌なんだけど、普通に上手い。加点とか結構入ってるように見えるし、音程のズレも殆どない。俺自身、カラオケに来る事無いからあれだけど。雫が上手いことは分かった。
そして歌い終わり、92点と言う点数が表示させる。
「上手いと思ってたけど、点数も高いな」
「そうですね。初めて歌ったんですけど、自分でも驚くほど点が取れててびっくりしましたよ」
初めて歌ったということの方が俺的にはびっくりなんだけどな。なんて事を思っていると、雫が「あ」となにかを思い出したような声を出した。なんだろう?と思いながら雫の方を向くと雫もこちらを向いていた。
「先輩、次の曲入れましたか?」
「......あ」
聞き入っていたからすっかり忘れてた!急いでなんとか歌えそうな曲を入れて仕切り直す。
そんな感じであっという間に2時間は過ぎていき、俺たちはカラオケを後にした。
カラオケを出てから雫が俺に言っていたのだが、俺の歌はカラオケでは採点されにくい歌の上手さだったらしい。