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九話:魅力的な提案

FGOやり過ぎて執筆をおろそかになってしまいました。

皆さんも始めるなら今ですよ!!

 人から頼み事をされる。それはよくあることだ、些細なことから少し厄介なことまで、基本は酷く忙しくない限り頼みを聞いてきた。でも、今回の頼み事は以前にあったものと比較にならなかった。


「攫う!? サルビアさん、急に何言ってるんですか!俺はまだ一人前じゃ在りません。しかも、今日会ったばかりの人間ですよ、そんな奴に何で攫って欲しいなんて頼むんです?」


 サルビアさんはどこか遠くを見つめながら話し始めた。


「ずっと考えていたの、アカネは何を望んでいるかを」

「それなら直接聞けばいいじゃないですか」


 無神経かもしれないがこの方法が一番手っ取り早く相手の気持ちを知れると思う。


「確かにね。でも、それが出来たら困ってないわ」

「なら、直接じゃなくても間接的に聞けばいいじゃないですか。そうですね……例えばユキナさんに聞いて貰うとか」


 あの人ぐらいの話し上手なら容易くやってのけるだろう。


「ユキナじゃ駄目なの。いや、ユキナだと余計かしら」

「余計? なんでです?」


「あの子は本当に優しく育ってくれた。けどその反面、周りに気を使いすぎる様になってしまった。そのせいなのかな、あの子はあんまり本音を言ってくれないの」


 なるほど、近しい人には気を遣うからか。

 俺はその辺のところはあんまり分からないな、我ながら結構、自分勝手に生活しすぎなのかもしれない。


「でも、今日初めてあの子の本音が知れた。ナスタ君のお陰でそれで分かったの」


 えっ俺のお陰? 何か特別なことはしてないが……彼女の口から本音なんか出てきたか?


「本音って結局なんです?」

「私はただ、普通の女性の様な生活を送れるだけで良かった。でも、アカネは違う。あの子の願いはどこか知らない場所に行って、色々なものを見たり、体験することを望んでいると思うの」

「なるほど……」


 それが彼女の本音の正体なのか。

 確かにそれなら、あの時彼女が言っていた『羨ましい』の答えかもしれない。


「だから君にアカネを攫って欲しいの」

「何でそうなるんですか!」

「チャンスは今しか無いの、わがままな頼みだと分かってる。でも、あの子の望みを叶えてあげたいの」


 言い終わると、急にサルビアさんが立ち上がったかと思うと、頭を深々と下げてきた。


「あの子をここから連れ出して頂けますか?」


 そんな事、急に言われても……もしだ、もし俺が彼女を攫ったところでその後はどうする? 行くあても無いぞ。攫うにしても、そもそもの疑問がある。


「……何で俺なんですか?」

「親って言うのは心配性なの、だから娘が1人でどこか遠くへ行くって言っても私達はすぐに頭を縦に振れないと思う」

「なら、俺じゃなくても誰か護衛をつければいいじゃないですか」


 俺なんかより強い護衛なら金額を弾めばいくらでも名前を挙げる。なんせ、この国はこんなにも栄えているんだ、わざわざ他国から探す必要もない。


「確にその通りだと思う。でもね、今日のあの子の態度を見て、やっぱり君に頼みたいと思ったの」

「態度? そんなに俺気に入られてましたか? 全然、気がつかなかったんですが」


 アカネと話したのはあの時だけだしな……どうやったらそう思うんだ。


「あの子って人見知りなの、知らない人が居たら基本は自分から近づいて行かない。でも、ナスタ君、君だけは違った。今日初めて会ったのにも関わらず、あの子から近づいて話しかけた」


 この人、知らぬ間に俺たちのやり取りをを見てたのか。


「それってそんなに凄いことなんですか? あんまり分からないんですけど」


 サルビアさんは随分興奮気味に言ってるが、全く凄いことをしてる実感がないな。


「アカネはね、あのユキナですら、最初の頃はまともに会話が出来なかったのよ」

「なるほど……それは結構深刻かもしれませんね」


 会って間もないのに、あんなにも親しく話が出来た……というか、俺の話を引き出してからかわれていた気がするが、ユキナさんはとても親しみやすかった。

 その彼女ですら会話が成り立たないとは、サルビアさんの言う通りよりも人見知りが酷いのかもしれないな。


「ナスタ君はさ、明日からどうやって過ごしていくか決まってるの? 全然決めてないでしょ」

「……確かに決めて無いですね」


 言われてみればそうだ、俺はこれから何を目標に生きていくのか。

 まぁ大体予想は出来る。

 一人旅をするか、村に戻って、畑を耕したり狩りをしながらのんびり暮らすのが関の山だろう。

 俺が今後について考えていると、サルビアさんが何かを思いついたのか手を合わせ俺に質問してきた。


「それならさ、君をアカネの護衛として雇いたいんだけど……どうかな?」


 今後の生活がありきたりな物だと考えていた俺にとって、それはとても魅力的な提案だった。

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