表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

幼稚園時代

大きな歴史の転換点に差し掛かった時代に大きな因果に操られる「俺」に関する自叙伝

これは俺が、幼稚園時代の話だ。



「フィリピンの英雄ホセリサールについて話そうと思う」

俺はそう切り出した。

こいつらの興味を引くにはこれしかないと思っていたからだ。


ちなみにホセリサールとはフィリピンがスペインに占領された際、フィリピン人の独立を訴えた国民的英雄のことである。

「いや、今日の議題はすでに決まってるから」

高橋がそう言った。

ちなみにこいつとは、一言も話したことがない。


こいつの声だって、その時聞いたのが初めてだった。

そしてそもそもなんでこいつがここにいるのか俺は理解していなかった。

「議題って何よ?」

「砂場の所有権は誰にあるかって話だよ」

「いやそれはもういいから」

「いや、よくないから」

高橋は意地になっているらしく、頑として譲らないぞ!という態度をあらわにしている。

すまんな高橋、こちらも譲れんのや。


「ともかく今日はホセリサールの話をするからな、そういうつもりでいてくれ」

「いやよ」

と口を挟んで来たのはエリカちゃんだ。

絵に描いたようなエリカ顔で、ちょっと顔がいいのを鼻にかけている節があり、強引さが目に余るメスだ。

「やだって…、なんで?」

「その話をする必要が今ある?」

「ないけど?」

俺は素直なので思ったままを口にした。


「高橋君の言うように、もう議題は決まってるの」

「えっと、所有権がなんだとかいうやつ?」

「違うわ、『すごい棒』についてよ」

でたよ、女の子はすぐに棒の話をしたがる。

「それこそ嫌だよ、駄菓子の話なんて何のメリットがあってやるのさ?」

「そのセリフをそっくりそのままお返しするわ」

とにかく、だ。俺たちはこうやってその日も、何を議論するのかについての共通理解を得られないままに、日々を過ごしていた。


いかがでしたでしょうか、初の長編に挑戦しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ