終わった日常
予告道理これでおしまいです。
結局僕は逃げたんだ。付き合いとは恐ろしいもので時にそれは呪縛にすらなりえる。
その呪縛から僕は逃げ出せたのだから、この先は明るいと思ってた。
そんなの大間違いだった。呪縛の中でしか見ることのできなかった世界は明るかった。
けどそこから出てみればその世界は真っ暗だった。後ろを振り向けば呪縛は既に存在しなかった。存在しなかったんだ。
なにもそこにありはしなかった。
晴香に答えることが僕にはできなかった。
僕はヘタレだった。僕は傷つくのが怖かった。僕自身が。
部屋に戻り…うなだれる。
晴香と、瑛大と、愛華先輩と…こんな日常は続いてほしい。けど…会ったとき、一目ぼれだった。
その恋が成就するのだ。果たしたい。
しかしそうすれきっとこの関係は崩れ、日常は崩れ去るだろう。
長年続いた日常が…
だから僕は考えを切り替えた。
これから先、もし、先輩と付き合えたら…断ったら…そう僕は考えて…考えて…知らぬ間に僕は眠りについた。
不意に目が覚める。冷たい風が部屋に入り込む。床で瑛大が寝ていた。部屋に戻ってきたときには気づきもしなかった。
やけに目が冴える。もう一度冷え切ったベランダに出る。先ほど出た時と違ってかなり肌寒い。夏ということを忘れさせる。
時計を見ると既に2時になっていた。今日は7月7日。
「良太君も目が覚めたの?」
後ろから突然する声に僕は驚きながらもすぐに声の持ち主がわかり、平常心を取り戻す。
「おどかさないで下さいよ。」
「ごめんなさいね。でもそんなに驚いてないように見えたけど?」
「ちょっとビビりました。」
僕は不意に気になってしまう。なぜ先輩が自分のことが好きになったのか。
こんなに綺麗な人がなぜ僕なんかを…
「あの、先輩…」
「なんで私が良太君を好きになったか気になるの?」
うっ…また見透かされていた。
「そんなに顔に出てるんですか?僕。」
「うん、すっごいわかりやすいよ」
少し赤みを含んだ顔で満面の笑み。
つい僕もそれに見惚れてしまう。
「理由はね、特にないの。」
「ふえ?」
「ふふ…マンガみたいに悪漢から助けて貰える場面なんてなかったし、何か私が悪い子として、それを更生してくれて…とか。
そんな大きな理由はないの。ただ一緒いて、一緒に時間を過ごして、何時の間にか好きになったの。私は貴方がほしくなったの。好きになちゃった。この人なら私を連れ出してくれるって。」
そう、言い放つ。僕がほしくってそんなもぉ…顔は恐らく今真っ赤だろう。顔が熱い。でもそれは先輩も同じだろう。だって顔真っ赤。
「ん?連れ出すって?何から?」
先輩はあっけにとられた顔をする。
「簡単なことだよ。私はよく学園のアイドルだの、優等生だの言われるけど…正直それよりも、友達と作ってお話したかった。遊びたかった。友達の家に泊まって、皆で楽しく騒いで、
いつの間にか寝ちゃって…そんな楽しい時間が送りたかったの。アイドル、優等生、そんな束縛から私は逃げ出したかった。そしたらそこから連れ出してくれたのは、良太君。最初、お弁当誘ってくれた時、本当にうれしかった…」
優等生でもあったんだ…先輩のことを僕はそんなに知らなかった。今それを知った…
先輩のこと…もっと知ってみたい。それに…ここまで思ってくれる人…
それに僕は先輩に一目ぼれだったんだ…この先、この人となら…
「あの、先輩。」
「ん?何かな?」
真っ赤にした顔でこちらを見据える。それに負けじと僕も見据える。
「あの、もしよかったら…僕と付き合ってくれませんか?」
「…え?フ…フ、フフフフ…あははははは」
笑われた。なぜか。あれ?僕もしかしてからかわれた?
「お、おかしいよ良太君、告白したのは私なのに…フフフ。なんで良太君がまた告白するの、あははは。」
「い、いやその、だって…それは…」
しばし先輩が笑い続ける…そして…
「じゃあ、返事を聞かせるね…こちらこそよろしくお願いします。」
僕は反射的にガッツポーズをして
「やっ…むぐっ」
先輩に口をつままれる。
「しっ、深夜だよ。ご近所さんに迷惑。それに…私の告白、良太君から返事聞いてない。」
あっ…顔をまた赤らめる僕。
「あ、あの、」
「うん」
「先輩…こちらこそよろしくお願いします。」
もう後には引けない。僕は先輩と付き合うことになった。
「…うん!嬉しい!やったああああああ!!」
万歳して、大声あげながら飛び跳ねる先輩
「先輩‼深夜!近所迷惑!」
「うるさああああい!」
「ごめんなさい!」
僕は告白と先輩の告白はご近所さんに怒られる印象にのこるモノだった。
今日は7月7日。願いが叶う日。
寝る前に僕は自分の持つ、10秒時を止める力を先輩に話した。最初は驚かれたが、見せてみればやっぱり、と納得された。
何か良太君は持ってると思ったんだよねーと。けなされるどころか受け入れてもらい…ちょっとにやけてしまったのはここだけの秘密。
そのまま僕らは眠りについた…
朝しっかりと晴香、瑛大に告げた。
先輩と付き合うことになったと。
瑛大には凄い文句を言われて、罵倒され、けど最後には「まぁ、お似合いだよ、親友。幸せにな。結婚式呼べよ。」と言われて泣いてしまいそうになった。結婚…できたらしたいね…
晴香はおめでとうと一言残しトイレに行ってしまった。それを追いかけると、ついてこないで!と…そのままトイレに入った。その中から微かに泣き声が聞こえた。
二人とはその後解散し、先輩とはその後デートに行った。
そんなことで7月7日も終わりを告げて行った…
学校が始まり、ある噂が流れる。
俺らのアイドル愛華先輩に彼氏ができた。
誰だ速攻ばらした奴口の軽い人。先輩?いやいや、瑛大?晴香?
「いいの、良太。なんか噂になってるけど。」
「いいんじゃねぇの、それほど大人気の人を手に入れたってことだ。喜べ喜べ。」
心配そうにする晴香といたずらっぽく笑う瑛大。
そんなことで放課後…
「そういえば愛華先輩といつも昼飯喰ってる集団いたよな。」
「あぁ、確か瑛大とか言う奴ともう一人だ。」
「瑛大だって!?アイツは無類の女好きだぞ…」
「もしかして…まさかあの野郎!!!」
「皆の衆!瑛大とやらを捕まえ、求刑に処すぞ!!!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」
そして瑛大は捕まった。
僕はその間に愛華先輩と晴香と帰る。
最初は晴香は一緒に帰るのを遠慮していたが、
愛華先輩がいつもと変わりたくはないの…我儘だけど、私はやっぱり今までの日常を壊したくは…ないの…。我儘だよね…。
ということで晴香も一緒に帰ることになった。何だか会話が進むことなくちょっと気まずい。
晴香の家は僕の家と大きな通り一本挟んでいるため、
いつもそこで別れる。そこは大型な交差点の癖に、歩道橋がついておらず、危ないため、最初は見送りでついてっていたが、「い、いいよいいよ恥ずかしいから!」
って中学の時に言われてしまい、そこから晴香の家まで行くことはなくなった。
「じゃ、じゃぁ私こっちだから!あはは。またね!お二人さん、幸せに!」
そういって交差点に向かう晴香…
おい、ちょっと待て、信号赤だぞ。晴香は気づいていない。横に大型トラック。それに先輩も気づく。晴香も気づく。だけど遅い。
こういうときは頭がフルに回る。
10秒止めれば晴香のところまでいける。
が、時が止まっている間、僕は何にも関渉できない。
恐らく晴香を押し続けて、時が動き出すと同時に晴香は僕の力で、押し出され、トラックからは逃れられるはず。来ているのはトラックだけ。他には車は何も来ていない。
だけどそしたら僕はどうなる。うまくいけば…晴香と一緒に抜け出せるが…失敗すれば死ぬだろう。
長い付き合いとは怖いものだ。どうしても…恋人じゃなくても…守りたくなってしまう。どうしても助けたくなってしまう。
結局僕は呪縛からは逃げ出せてなかったんだ。逃げ出したつもりだったんだ。出れたと思っていた場所はまだ呪縛のなかだったのだ。
時を止めた。そして、晴香の方に走る。
不意にガクンと。足が進まない。後ろを振り返る。先輩が僕の服をつかんでいる。
恐らく、わかっていたんだろう。先輩が僕が時を止めて晴香を助けることを。
そうすれば恐らく僕は死ぬ。先輩は反射的に服をつかんだのだろう。
本当は先輩だって晴香を助けたい。けど…僕を失いたくないとも考えてくれたのだろう。
先輩の時も止まっている。ぎっちりと掴まれた服は先輩の手から抜けない。
抜けない。何か道具も使えない。服を破るしか…一生懸命僕は破こうとあがく。しかし。破けない。
僕は、僕は僕は僕は僕は。ただ逃げたかっただけだ。あの重い空気、僕には耐えれなかった。僕が作り出したはずなのに。
僕はその責任から逃げたかった。本当はちょっと死にたいとも思った。そうすればあんな後悔もしないし、苦しさもない。
同時にきっと今後の幸せも失うだろう。けれどこれからの苦しみを考えれば…
「破れろよ!なんで破けないんだよ!先輩離してくれよ!離して…離してくれよ!!!!!なあ!?」
絶対に誰にも聞こえることない声を上げる。そして手が不意にふと、離れる。
ずっと服を引っ張っていた僕の上に僕の服をつかんでいた先輩が倒れ込む。
それをしっかりと受け止め、すぐに交差点の方を見た僕の顔には…
最後はどうなったかは…またそれも運命というやつでしょう。
未定です。もしかしたらトラックの下に…かもしれませんし、
そのまま…かもしれません。
もしかしたらアフターストーリーがあるかもしれません。
今迄ご愛読ありがとうございました。
これからもまたよろしくお願いいたします。