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選択(後編)

長く更新できず、申し訳なかったです。

人間は必ず選択するもので、必ず後悔をする生き物です。

しかし選択というものは人間が考えたもので、

実はそれを選ぶことですら運命として決められていたとしたら?

もしそうだとしたら何か人生が無気力になってしまう。

けどそうなることすらも運命に決められていたら…

けれども僕は思う。

運命という言葉だってきっと人間が考えたものだ。

だから僕は…この矛盾だらけの世界で…




呼び出されて、出たのはベランダだった。

晴香はその後しょんぼりと後片付けを始めていた。

手伝おうか?と声をかけたのだが

「あ、いいよ、いいよ!良太に悪いし!ね! 早く先輩のところに行ってあげたほうがいいよー?」

と断られてしまった。

瑛大は腹が一杯になると盛大に寝てしまった。まるで子供…というより嵐のような男だ。

ベランダには家の中からの光、星の光、ご近所さんの家の光、街灯の光など、様々な光という光が

入り乱れとても幻想的な場所となっていた。いつもの殺風景なベランダとは思えないほどだった。

そこに少し顔を赤らめた先輩が立っていた。


「あ、晴香ちゃんの手伝いはいいの?」

「あぁ、何故だか断られてしまいました。なんか少し元気なさげだったので少し心配ですけど…」

「そう…」

先輩はそうぽつりと言い残すとうつむいてしまう。そしてわずかな沈黙が訪れた後


「あの、良太君私と付き合ってほしいの」


そう告げられた。告白された。されたのだ。学園のアイドルと称されているほどの美少女に。

この僕が。特に何か秀でたことがあるわけでもなく、ぱっと見さえないこの僕が。


「あ、別に良太君が嫌ならいいよ、でもやっぱり…私はうんって言ってくれたほうがいいかな…」


そうつぶやくと先輩はさらに顔を赤らめ、うつむいてしまった。

この時僕は一体どんなにだらしない顔をしていたのだろうか。

「あ、別に答えは今日じゃなくてもいいよ。明日でもいいよ。」


でも… ゆっくりと先輩は真っ赤にした顔を上げか弱い声で呟く。


「ほんとは今日返事をくれると嬉しいな…」


そういい終わると先輩はベランダから部屋に戻っていく。


僕はそのままベランダに立ち尽くした。上には星空。

何時の間にか近所の家の光、街灯の光は消えてしまっていたようだ。


僕は立ち尽くした。立ち尽くして一体またどれほど時間がたったのだろう。

既に街灯も家の光も消えている。どれだけたったのか予測もできない。


「良太、飲む?夏だからってずっと外にいたら体冷えちゃうよ?」

「あ、あぁ。サンキュ。ずっとってそんなに外にいたのか?僕。」

コーヒーカップに入った暖かいコーヒーを渡してくれる。

7月なんて夏だが夜はやはり昼よりは冷える。こういうのもいいものだ。その暖かいコーヒーを口に運びながら問う。

「出ててから5分くらいで先輩が戻ってきて…それからさらに一時間半近くかな。」

「そんなにたってたのか…」

そういいつつも何だか驚きはなかった。何か冷静だった。

口の中一杯に広がるコーヒーがあったか…

「あっっつ!!!」

あまりの熱さに吹き出してしまった。

「わっ、きたな!」

「あつつつ…なんでまさかのこんなにホット?」

「え、そこまで熱くは…あぁ…」

こいつ…もしや私が猫舌だったのを忘れていたのか…長年の付き合いだというのにお兄さんは寂し…

長年の付き合いかぁ…


「そういえば瑛大は?」

思い出したように、そして先ほどの先輩との会話を忘れ去るように僕は話題をずらそうとする。

「まだぐっすりと寝てる。そういえば先輩と何話してたの…?」

ずらしきれなかった。

「いや、別に何もなかったよ。」

「告白されたの?」

何だよ、わかってるんかい。ならなぜ聞いたし。

やはりおなごは考えを読む。侮れぬぞ。

「やっぱりそうなの…良太は直ぐに顔にでるから…」

そうやって笑顔を見せるものの彼女の笑顔はどこか疲れ切っていた。

「そうか?そんなにわかりやすいかなあ」

「うん、わかりやすい、というか自分で認めたな?わかりやすいってことはあってるってことだね!?そうなんだ…」

で、と声を少し張り上げて続ける。しかしどこか疲れ切った感じは抜けていない。

「どうするの?断るの?それとも受け入れるの?」


「僕は…」


受け入れる、なんていえなかった。先ほど思い出した晴香との長い付き合い、

思い出、そして今日にいたるまでの生活…それを糧とし、さっさと見切る。

そんな残酷なことは僕にはできなかった。けれど本当は、僕は切り捨ても見切ることもできない残酷な人間だった。

恐らく次の話がラストになると思いますが、ならないかもしれません。なるとかフラグ(´・ω・`)

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