9 玲子、混乱す
今回は冬華白輝が書きます!
「・・・ぜんっぜん、眠れなかった・・・!!」
あのワケのわからないモノを結界の中に閉じ込めた後で家に帰って来て、布団にもぐりこんだのが午前4時。
カチカチとなる時計の音がやけにうるさく感じて、目を閉じるもののなかなか寝付けず。そして、全く眠らないうちに朝がやってきてしまったわけだ。
ああ、チュンチュンと鳴くスズメの声が恨めしい。
「・・・なんだ、玲子。珍しくちゃんと起きているじゃないか」
今はもう猫の姿に戻っているミケが部屋に入って来て驚いたように呟く。
「起きたんじゃないの、寝てないのよ!!」
ムッとしながら反論して、ウチはミケを眺めまわした。
「・・・な、なんだ?」
居心地が悪そうに身動ぎしながら訊いてくるミケに、ウチは首を傾げた。
「うーん、アレは夢じゃないわよね。っていうか、寝てないし。・・・あのイケメンがコレ・・・」
目の前で見たけれど、未だに信じられない。というか、いつの間に猫の姿に戻ったんだろう?
そう訊ねれば、ミケは淡々と答えた。
「・・・家に帰ってお前が部屋に入った瞬間戻ったんだ。お前の危機に際して人の姿になったのだとしたら・・・やはりお前のせいというわけだな」
「ウチのせいって・・・ウチはただの幽霊が見える女子高校生で・・・!」
「玲子、お前は自分でも知らないうちに霊に関わり過ぎて、妙な力でも身につけたんじゃないのか?・・・それとも、元々の素質か」
ミケの言葉に、背筋がゾッとした。
「・・・た、ただ見えるだけよ・・・ウチに力なんて・・・」
そう、ただ見えるだけだ。
そんなたいそうな力はない。妖怪であるミケを、本人(本猫?)の意志を無視して猫の姿から人間の姿にしてしまうなんて。
「・・・まぁ、そうだと良いな。それでなくともお前はトラブル吸引体質なんだ。これ以上の面倒事を持ち込まれるのは、俺がめんどくさい」
「な、なによぅ!!そこまで言わなくたっていいじゃない!」
と、いうか。
これってそもそもアイツのせいじゃないのだろうか。ミケとジョンが揃って関わるなと言ったアイツ。
でも、関わるなと言われても、アイツから近寄って来られたらどうすればいい?
ぐるぐると考え始めたら止まらなくなってしまった。
結局、学校に向かうために家を出た後もアイツのことで頭がいっぱいになってしまい、何度か電柱にぶち当たるという情けない姿をさらすハメになったのだった。
というわけで、次は活報にある通りの順番でいきますとりんかさんですね。よろしくお願いします!!