12 再度の襲撃
風白狼です。
あの海斗が去ったあと、ウチは知識があるというミケの話を聞いていた。でも、死神とか能力がどうとか、よく分からない!!関わるなと言われても、向こうから来るし…。一体なんなの!?
ウチは足を止めた。だって、目の前にいたのは‥‥‥異様に長い腕をだらりと垂らした、人型のモノ。何コイツキモいんですけど!?こんなゾンビなんて…!驚いているウチを無視して、キモい奴は長い腕を振り回してくる。
「下がれ、玲子!」
いつの間にかイケメンの姿に戻っていたミケに、強引に腕を引かれた。おかげで、攻撃は当たらない。
「コイツは妖怪の類だ。お前じゃ太刀打ちできない!」
ミケが叫んだ。そういえば、ミケも妖怪だったっけ。でも、こんな奴相手にできるの?怪物の攻撃。即座に結界を張ったみたいだけど、防ぎきれずにミケの顔が歪む。でも、防がれたことで怪物に隙ができた。それを見逃さず、ミケは顔面を殴った。よろめく相手の周りに、光が発生する。ミケの術だ。光が怪物を包みこんでしまうと、乾いた粘土のようにボロボロと崩れ落ちた。そこでようやく一息つく。
「玲子、大丈夫か?」
ミケがウチの方に振り向く。あれ、なんかちょっとだけ格好いい!?
…って、違う違う!今までと違って、妖怪とかが襲ってくるようになった。ノコシーやウラミーの除霊だけでも大変なのに、なんでこうなるの!?もしかして、あいつが関わってくる限りずっと…?そんなのは嫌ぁ~~!
一人と一匹の気づかないところで、もう用はないとばかりに小鳥が飛び立った。ふわりと空を飛ぶと、小鳥は16歳ほどの少女の手の中に収まる。その途端、小鳥は紙切れに姿を変えた。それは、少女の使役する式神だったのだ。
「ふふ、金華猫に護られし“陰姫”…か。見留玲子、ますます気に入った。」
少女はどこか面白そうに笑った。
「私のかわいい妖怪達を、一度のみならず二度までも…」
金華猫や強力な霊の助けを借りたとは言え、退治されてしまった。いやむしろ、そうさせたのは彼女の力だとみる事もできる。素晴らしい力だ。ただ残念なのは、彼女自身それを意識できていないうえ、今だ目覚めきっていないことか。それを目覚めさせたくとも、上限が未知数であるが故に慎重にならざるを得ない。まさしく眠れる獅子だ。
死神に見初められたあの楠木海斗とかいう目立ちたがりが介入してくれたおかげで、金華猫にも玲子にも、今までの所行は全て不良男の仕業だと思われている。正体を気取られていない事は、少女にとって好都合だ。少女にとって、表舞台に上がる事は芳しくない。直接会いに行って親しくなる手もあるのだが、警戒されてしまったらそこで終わりだ。ならば、地道でも確実な道を選ぼう…。
邪魔なのはあの金華猫と地縛霊だ。なら、玲子一人になる状況を作り出せばいい。手段など選ばない。結局、えげつない者が勝つのだから。
「楽しませてよ…?」
少女は自分の髪の毛を抜くと、息をそっと吹きかけた。そして、何事もなかったかのように人混みに紛れ、すぐに見えなくなった――
なんか勢い余って新キャラ作っちゃいましたwすみません
名前すら明かされていませんが…
果たして彼女の目的とは!?